パンくずリスト
  • ホーム
  • 質問の多い問題・暗記しにくい問題
カテゴリー:質問の多い問題・暗記しにくい問題

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、ネフローゼ症候群についてです。

 

ネフローゼ症候群は、成人だけでなく小児の問題でも出題されるため、出題されやすい問題です。

 

ネフローゼ症候群となる機序を理解し、症状をしっかりと理解しましょう。

 

~はじめに~ ネフローゼ症候群は疾患ではない

 

ネフローゼ症候群は、何かしらの原疾患により糸球体に障害が起こり、正常であればろ過されないはずのタンパク質が尿として流出するために起こる病態、になります。

 

ネフローゼ症候群になる原疾患の例は以下のようなものです。

 

糖尿病性腎症

ループス腎炎

微小変化型ネフローゼ症候群

IgA腎症

アミロイド腎症

etc・・・

 

『ネフローゼ病』では無いということをまずは覚えておきましょう。

 

ネフローゼ症候群の診断基準

 

ネフローゼ症候群は4つの診断基準があり、そのうち①②は必須条件となります。

 

①タンパク尿:3.5g/日以上

②低アルブミン血症:血漿アルブミンが3.0g/dl以下

③浮腫

④脂質異常症

 

診断基準を丸覚えするのではなく、機序を理解することが大事です。

 

ネフローゼ症候群の機序

 

ネフローゼ症候群の機序を①→②→③④というように、流れで覚えることが重要です。

 

①タンパク尿

 

先述のとおり、何かしらの原疾患により糸球体が障害されるため、正常であればろ過されない、タンパク質が尿として流出してしまうため、タンパク尿となります。

 

②低アルブミン血症

 

正常であればろ過されずに体内に残るタンパク質が、ろ過されて尿として排出されてしまいます。

 

そのため、体内のタンパク質(アルブミン)が低下してしまい、低アルブミン血症となります。

 

③浮腫

 

アルブミンは血管内に水を引き付ける力(=膠質浸透圧)の源です。

 

低アルブミン血症になると、血管内に水を引き付ける力が弱まり、間質液に水が貯留してしまうため、浮腫となります。

 

④高脂血症

 

アルブミンは肝臓で合成されます。

 

低アルブミン血症になると、肝臓はアルブミンを合成し、元の量に戻そうとします。

 

その際、肝臓はコレステロールも同時に合成してしまうため、コレステロール量が多くなるため、高脂血症となります。

 

ネフローゼ症候群の治療と看護

 

ネフローゼ症候群の治療と看護は、大きく以下の4つに分けられます。

 

①保温・安静

②食事療法

③薬物療法

④感染対策

 

①保温・安静

 

低体温の状態や、運動のように体を動かすと、体内にあるタンパク質を代謝してエネルギーをつくる異化が亢進してしまいます。

 

タンパク質を代謝すると、代謝産物が産生され、腎機能に悪影響を与え、ネフローゼ症候群が悪化する可能性があります。

 

できるだけ、保温・安静を保ち、腎血流を維持することが重要となります。

 

②食事療法

 

◉塩分制限:浮腫を軽減するため。

 

◉高エネルギー食:体内にあるタンパク質の代謝を防ぐため。

 

◉低たんぱく食:タンパク質の代謝産物が腎臓に悪影響を与えるため。(小児の場合は、あまり制限しない)

 

③薬物療法

 

副腎皮質ステロイド薬を用います。

 

ステロイドの副作用として、満月様顔貌、易感染、肥満、多毛、骨粗しょう症などがあるため、観察が必要です。

 

④感染対策

 

低アルブミン血症=低栄養状態であり、免疫力が低いため、易感染の状態です。

 

加えて、ステロイドの副作用で易感染の状態となっているので、感染対策が重要です。

 

まとめ

 

ネフローゼ症候群とは、何かしらの原疾患により、糸球体が障害されたために以下のことが起こる症候群である。

 

①糸球体からのタンパク質の流出(=タンパク尿

②体内からタンパク質の流出による低アルブミン血症

③低アルブミン血症(膠質浸透圧の低下)による浮腫

④肝臓でのコレステロール合成量の増加による高脂血症

 

①~④の治療のため、

 

保温・安静、食事療法、薬物療法、感染対策が重要である。

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は白血病の種類とそれぞれの特徴について、簡単に解説します。

 

白血病と一言で言っても、種類と特徴を掴むのが難しいので、理解するための手がかりになればと思います。

 

白血病とは

 

白血病は、血液のがんと言われています。

 

血液の造血幹細胞が骨髄の中でつくられる過程でがん化することで、白血病となります。

 

白血病の分類は、がん化した細胞がどの細胞なのか、によって決定されます。

 

血液の細胞ががん化し、血液が正常な働きができないため、主症状は貧血、出血傾向、易感染などになります。

 

そのため、白血病の患者さんは感染に注意しなければならず、部屋は無菌室・陽圧室にいるなどの問題も出題されます。

 

では、細かく見ていきます。

 

白血病の種類

 

『急性』か『慢性』、『骨髄性』か「リンパ性』の組み合わせで、大きくは4つに分類されます。

 

①急性骨髄性白血病

②急性リンパ性白血病

③慢性骨髄性白血病

④慢性リンパ性白血病

 

理由は以下のように、どの細胞が増殖するかで分類されます。

 

◉場所で分類すると、骨髄性リンパ性に分類される

 

骨髄性とリンパ性の違いは、がん化して増える細胞が、骨髄性由来のものか、リンパ性由来のものかで判別ができます。

 

※骨髄性とは、骨髄系肝細胞が好中球や赤血球、血小板など分化する過程。

 

※リンパ性とは、Bリンパ球やTリンパ球に分化する過程。

 

◉白血球の成熟度で分類すると、急性慢性に分類される

 

急性は成熟していない幼若な白血球が増加しますが、慢性は未熟なものから成熟したものまですべての白血球が増加します。

 

他の疾患は、急性が長引くと慢性となることがありますが、急性白血病と慢性白血病は意味合いが違うことも特徴です。

 

 

1.急性白血病(①急性骨髄性白血病・②急性リンパ性白血病)

 

①急性骨髄性白血病と②急性リンパ性白血病を合わせて、急性白血病とひとくくりにされて、看護の問題ではよく出題されます。

 

どちらも『急性』なので、幼若な白血球が著しく増加している状態で、成熟した細胞が減少してしまっています。

 

そのため、造血の3系統(赤血球・白血球・血小板)が減少しているため、

 

貧血や易感染、出血傾向などの汎血球減少の症状がみられます。

 

その他、骨髄や各臓器への白血病細胞の湿潤により、胸骨叩打痛、骨の自発痛、リンパ節腫脹、皮膚浸潤などの症状もあります。

 

骨髄性白血病とリンパ性白血病の違いを問われる問題としては、発生率の差があります。

 

◉成人では、骨髄性:リンパ性=4:1と骨髄性の方が頻度が高い

 

◉小児では、骨髄性:リンパ性=1:4とリンパ性の方が頻度が高い

 

小児看護の問題でも出題されるため、急性白血病の特徴はしっかりと理解しておきましょう。

 

急性白血病の治療と看護

 

抗がん剤投与により白血病細胞を崩壊させる、抗がん剤の効果が乏しい場合は造血幹細胞移植などがあります。

 

抗がん剤投与による白血病細胞の崩壊により、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症などの腫瘍崩壊症候群を起こす可能性があります。

 

そのため、急性腎障害や不整脈などのリスクがあると考えて、観察が必要です。

 

白血病の病態や治療を理解することも大事ですが、その病態や治療の副作用を理解した上でどのような看護(観察)をしていくことが必要かを理解しておきましょう。

 

寛解の目安は、骨髄穿刺で芽球が5%以下となります。

 

(白血病の急性期は芽球20%以上で、白血病裂孔がみられる)

 

③慢性骨髄性白血病

 

『慢性』なので、幼若なものから成熟したものまで、様々な白血球細胞が増殖します。

 

慢性骨髄性白血病の特徴は、染色体異常(フィラデルフィア染色体)が見られ、成人に多く発症します。

 

初期は無症状であり、脾腫などの左上腹部膨満感がみられる程度ですが、急激に悪化する(急性転化を起こす)と、急性白血病同様に、貧血・出血傾向・易感染の状態を示します。

 

④慢性リンパ性白血病(悪性リンパ腫)

 

『慢性』のリンパ性白血病なので、幼若なものから成熟したものまで、様々なリンパ球の腫瘍性細胞があります。

 

リンパ球はリンパ組織に存在しているため、初期はリンパ節の腫脹がみられます。

 

リンパ節の腫大が進むと、圧迫により、上下肢の浮腫などがみられます。

 

リンパ球は血流にのって流れるため、あらゆる臓器に病変が出現する可能性もあり、リンパ節の腫れも様々な部位に起こります。

 

症状も様々ですが、原因不明の発熱、大量の寝汗、体重減少などが見られます。

 

慢性リンパ性白血病は日本では稀なためか、同型の悪性リンパ腫の問題がよく出題されまています。

 

悪性リンパ腫の特徴

 

悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫に分類されます。

 

ホジキンリンパ腫はホジキン細胞やRS細胞などの大型細胞がみられます。

 

一方、非ホジキンリンパ腫は上記の大型細胞を認めないのが特徴で、日本人は非ホジキンリンパ腫が90%以上を占めています。

 

がん化しているリンパ腫の種類によって、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫に分類されます。

 

慢性リンパ性白血病は、B細胞リンパ球が増殖し、リンパ節腫脹や肝脾腫を認めます。

 

成人T細胞白血病T細胞リンパ腫の一種で、レトロウイルス(HTLV-1)がT細胞に感染し、腫瘍化することが原因です。症状は易感染など。

 

 

多発性骨髄腫

 

多発性骨髄腫は、B細胞の分化先の形質細胞に異常を認め、腫瘍性の形質細胞が増殖します。

 

症状は、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変や、異常な免疫グロブリンを産生するために、易感染状態にもなります。

 

まとめ

 

白血病は、血液細胞が分化する過程でがん化した病気で、血液細胞がどの細胞かによって分類される。

 

血液細胞が正常な働きをできないため、主症状は易感染・貧血・出血傾向である。

 

細胞の種類によって、骨髄性かリンパ性か、急性か慢性かが分類される。

 

急性白血病(骨髄性・リンパ性をまとめ)が頻出で、幼若な白血球(芽球)が増加することにより、易感染、貧血、出血傾向を認める。

 

慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体を認める。

 

慢性リンパ性白血病では、ホジキンリンパ腫や非ホジキンリンパ腫などに分類され、それぞれに特徴などがある。

 

白血病に細かく分類はありますが、原則は血液のがんになり、造血能に異常をきたすため、症状は類似しています。

 

それぞれの疾患に特有な症状などは、個別に覚えるようにしましょう。

 

 

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、ホルモンって何者?という大元となる疑問について解説していきます。

 

ホルモンの作られ方(化学構造)を理解すると、ホルモンの種類がわかり、ホルモンの受容体との関連も分かるので、前提知識として覚えておくことをおすすめします。

 

では、解説していきます。

 

ホルモンの元となるもの 〜3種類を理解する〜

 

ホルモンの種類は、化学構造に分類すると以下の3種類に分けられます。

 

①ペプチドホルモン

②ステロイドホルモン

③アミン・アミノ酸誘導体ホルモン

 

①ペプチドホルモン

 

アミノ酸がペプチド結合した、ポリペプチドから構成されます。

 

ペプチドホルモンの合成は、アミノ酸がペプチド結合するので、タンパク質の合成方法と同じになります。

 

また、アミノ酸が主体なので性質は水溶性です。

 

視床下部ホルモンや下垂体ホルモンなど、多数のホルモンが分類されます。

 

性質が水溶性なので、細胞膜を通過できません。

 

そのため、ホルモンの受容体は細胞膜上に存在します。

 

 

受容体に関する詳しい記事はこちらを参照ください。

 

②ステロイドホルモン

 

コレステロールから合成され、ステロイド骨格を持ちます。

 

(※コレステロールは酢酸から合成されるか、血中のリポ蛋白から供給され、それが酸化反応、水酸化反応し、ステロイドに変換されます。)

 

コレステロールが主体なので、脂溶性です。

 

副腎皮質ホルモンや性ホルモンが分類されます。

 

コレステロールは脂溶性なので、細胞膜を通過できます。

 

そのため、ホルモンの受容体は細胞質内にあります。

 

 

③アミン・アミノ酸ホルモン

 

①と同様、少数のアミノ酸で構成されています。

 

アミン型は、カテコールアミン(アドレナリンなど)が分類されます。

 

アミン型のホルモンは水溶性なので、細胞膜上に受容体があります。

 

要注意:アミノ酸型ホルモン

 

アミノ酸型ホルモンは甲状腺ホルモンだけが該当します。

 

アミノ酸で構成されているため、本来は水溶性のはずですが、甲状腺ホルモンはベンゼン環を2個もつため脂溶性となります。

 

アミノ酸型ホルモン=甲状腺ホルモン=脂溶性ホルモンと例外として覚えておいてください。

 

そのため、ホルモン受容体は細胞質内(核内)にあります。

 

まとめ

 

ホルモンの原料は、アミノ酸コレステロールである。

 

アミノ酸から構成されるホルモンは水溶性である。

 

例)視床下部ホルモン、下垂体ホルモンなど多くのホルモンが該当する

 

コレステロールから構成されるホルモンは脂溶性である。

 

・副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン)

・性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン)

 

アミノ酸型ホルモンである甲状腺ホルモンは例外として脂溶性である。

 

・甲状腺ホルモン(T3:トリヨードサイロニン、T4:サイロキシン)

 

ホルモンは、アミノ酸かコレステロールから作られていることを覚えておきましょう。

 

作られる場所は内分泌臓器(甲状腺や膵臓、副腎など)です。

 

 

 

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、細胞内と細胞外の水分量を調節に大事な血漿浸透圧について解説します。

 

血漿浸透圧を理解する上で大切なのは、半透膜を介した浸透と溶液の拡散を理解することが重要です。

 

順番に説明していきます。

 

浸透圧と半透膜の関係

 

浸透圧といえば、半透膜を隔てて、2種類の濃度の異なる溶液を放置する絵を思い浮かべるかと思います。

何故、半透膜の勉強をするのかというと、血管や細胞壁は半透膜でできており、半透膜の原理を理解しておくことが、細胞内外の水分の移動を理解することにつながるからです。

 

この半透膜で隔てた2種類の濃度の違う溶液が、どのように混ざり合うのかを理解することが非常に大事になります。

 

半透膜の原理と溶液の拡散

 

①半透膜の原理:半透膜は分子の小さい物質(溶媒など)は通すが、分子の大きい物質(溶質)は通さないという性質を持ちます

 

②拡散:液体に溶けている物質は、濃度の低い方から高い方へ流れる性質を持つ。

 

①②の性質により、浸透圧は生じますので、必ず覚えておいてください。

 

では、半透膜を隔てて2種類の濃度の異なる溶液を放置すると、どうなるのかを考えます。

②の性質により、濃度の高い方へ溶液は流れ濃度を均一にしようとします。

 

①の性質により、半透膜を通って、濃度の高い方に移動できるのは、溶媒(水分子など)になります。

 

半透膜で隔てた濃度の違う2種類の溶液を放置すると・・

濃度の低い溶液の溶媒(水分子など)が、濃度の高い溶液に流れ込むことで濃度を低下させ、半透膜が隔てている2種類の溶液の濃度を均一にします。

 

結果、濃度の高い溶液の方の水分が多くなるため、液面が高くなります。

 

この濃度の低い方から濃度の高い方へ、水が流れようとする圧力(浸透する力)のことを浸透圧といいます。(図中の赤矢印)

 

 

血漿浸透圧とは

 

血漿の浸透圧は285mOsm/Lに保持されています。

 

血漿の浸透圧を決めるのは、細胞外液の90%を占めるNa+イオンの濃度になります。

 

【ポイント】

◉Na+イオン濃度が高くなる=血漿の浸透圧が高くなる=細胞内から細胞外へ水分が流れる

◉Na+イオン濃度が低くなる=血漿の浸透圧が低くなる=細胞外から細胞内へ水分が流れる

 

 

Na+イオン濃度が高くなる=血漿浸透圧が高くなる原因

 

脱水、塩分の多い食事を摂取した場合などに起こりやすいです。

 

汗をかくことで、細胞外にある水分が外に排出されたり、塩分の多い食事を摂取して、細胞外にNa+が増えた場合に、血漿浸透圧は高くなります。

 

血漿浸透圧が高くなると、細胞内から細胞外へ水分が流れ込むため、細胞内が脱水になってしまいます。

 

そのため、血漿浸透圧を低くしよう(ホメオスタシスを維持しよう)として、身体は以下のような反応をします。

 

①細胞内の水が減少するため、口渇を感じて、水分を摂取を促します。

 

抗利尿ホルモン(バソプレシン)を分泌し、腎臓の集合管において、水の再吸収を促進し、細胞外の水分を増やそうとします。

 

血漿浸透圧を低下させるために、血漿中のNa+濃度を下げようと、水分を取り入れようと反応します。

 

血漿浸透圧が低くなる原因

 

大量に汗をかいた後に、水だけを摂取した場合などに起こりやすいです。

 

汗で血漿中のNa+を大量に失ったにも関わらず、水だけを飲んで水分を補給すると、血漿中のNa+濃度が下がり、血漿浸透圧が低下します。

 

すると、細胞外から細胞内へ水分が流入し、細胞内浮腫が生じます。

 

脳細胞に浮腫が生じてしまい、頭痛・嘔気・嘔吐などが出現しますが、これが低張性脱水(Na+欠乏性脱水)となります。

 

大量に汗をかいた時には、スポーツドリンクなど塩分などの電解質を含んだものを摂取することで、血漿浸透圧が低下せずに水分補給ができます。

 

まとめ

 

浸透圧とは、半透膜を隔てた2種類の溶液において、濃度の低い方から濃度の高い方へ、水が流れようとする圧力(浸透する力)のこと

 

血漿の浸透圧を決めるのはNa+イオンの濃度。

 

脱水や塩分を多く摂取すると、血漿中のNa+イオン濃度が上がり、血漿浸透圧が上昇し、細胞内から細胞外へ(濃度の低い方から濃度の高い方へ)水が流れる。

 

血漿浸透圧の上昇に呼応して、バソプレシンが分泌されるのは、血漿に水分を再吸収したいからです。

 

逆に血漿浸透圧が低下すると、細胞外から細胞内へ水が流れるため、細胞内浮腫が生じます。

 

これは、Na+欠乏性脱水の理解につながる知識です。

 

血漿浸透圧を理解すると、身体における水分の調節機構が理解できるようになりますので、苦手意識を持たずに理解していきましょう。

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、心臓の刺激伝導系のしくみ 〜なぜ心臓は拍動するのか:洞房結節と自律神経作用〜について解説します。

 

心臓は、1分間に60-80回程度拍動していますが、無意識に拍動してくれています。

 

なぜ心臓は拍動しているのか、どのように拍動しているのか、そこで立ち止まってしまい、心臓の勉強に入れないという方も目にします。

 

今回は、そのような心臓の拍動に関する疑問を深堀りしていきます。

 

心臓の拍動には刺激伝導系が関与している

 

心臓が規則的なリズムで拍動できるのは、刺激伝導系という電気の流れ道が決まっているからです。

 

刺激伝導系は、洞結節→房室結節→ヒス束→左右脚→プルキンエ線維で構成されています。

 

刺激伝導系の心筋は収縮にほとんど関与しないため、特殊心筋と呼ばれます。

 

(収縮に関与する心筋は固有心筋と呼びます。)

 

なぜ心臓は拍動するのかという疑問の答えは、刺激伝導系の始まりである洞結節にありそうなので、洞結節を詳しく見ていきます。

 

洞結節はなぜ心拍動のリズムを刻むのか

 

洞結節の心筋細胞は、他からの刺激が無く、活動電位が自動的に発生し、心臓の収縮を行っています。

 

他の心筋細胞は洞結節からの電気刺激を受けて収縮しているので、洞結節だけが特殊中の特殊な心筋細胞になります。

 

要するに、洞結節は特殊中の特殊な心筋細胞なので、1分間に60回電気刺激を作り出すと設定されている、ということです。

 

また、洞結節は単調にリズムを刻んでいるのではなく、自律神経の影響を受け、拍動のリズムを変えています。

 

緊張した時など交感神経が優位な時は、1分間に80〜100回と設定が上がり、逆にリラックスした時など副交感神経が優位な時は、1分間に50回と設定が下がったりします。

 

心臓の洞結節は自律神経の影響を受け、拍動する回数を設定し、その回数分の電気信号を作り出しています。

 

どのように拍動は伝わるのか

 

次は洞結節で生じた電気信号がどのように刺激伝導系を伝わっていくかを説明します。

 

静止膜電位(細胞内は-70mVのマイナス荷電となっている)

 

心臓の静止時は、ポンプ機能により、陽イオンを細胞外に流出させるため、細胞内の方がマイナス荷電(-70mV)となっています。

 

刺激が無く、細胞内の方がマイナス荷電になっている状態を静止膜電位と呼びます。

 

チャネル・イオンなど、細胞膜の構造と機能についてはこちらの記事を参照ください。

 

 

 

洞結節から始まる活動電位

 

静止膜電位の状態は、細胞内の方が-70mVのマイナス荷電でしたね。

 

そんな中、洞結節からの電気刺激を受けると、細胞内と細胞外を隔てる細胞膜にあるNa+チャネルが開口します。

 

細胞内と細胞外の濃度勾配により、細胞外から細胞内にNa+イオンが一気に流入します。

 

すると、細胞内にNa+が増加するため、細胞内がプラス荷電にシフトします。

 

細胞内外の分極状態(電位差のある状態)が解消されるため、脱分極と呼びます。

 

その後、K+チャネルが開口し、濃度勾配に従って、細胞内のK+イオンが細胞外へ流出することで、再度細胞内がマイナス側にシフトします。

 

細胞内外が再度分極状態になるため、再分極と呼びます。

 

一連の流れが終わったら、再度洞結節からの電気刺激が起こり、脱分極→再分極が起こり、これが永遠に繰り返されています。

 

洞結節が自律神経の影響で設定した回数分、電気刺激を発生させ、刺激伝導系を電気刺激が流れていきます。

 

また、細胞が脱分極して再分極するまでの電位変化を活動電位と呼びます。

 

このままだと、細胞内にNa+イオンが、細胞外にK+イオンが増えていきそうです。

 

それをナトリウム-カリウムポンプが働き、濃度勾配に逆らって、細胞内にK+イオンを取り込み、細胞外にNa+イオンを流出させます。

 

そのため、元の膜電位の状態=細胞内にはK+が多い状態、細胞外にはNa+が多い状態を維持しておくことができます。

 

 

まとめ

 

なぜ心臓は拍動するのか?

 

①特殊心筋の洞結節が、自律神経の影響を受けながら、1分間に60-80回程度のリズムを刻み、電気刺激を送る。

 

②洞結節から電気刺激を受け取ると、細胞内にNa+イオンが流入し、脱分極が起こる。

 

③その後、K+イオンが細胞外へ入出し、再分極が起こる。

 

洞結節の刺激→脱分極→再分極の繰り返しで、心臓は収縮し、拍動し続けています。

 

 

 

 

 

 

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、細胞膜の構造と機能 〜リン脂質二重構造とチャネル・ポンプの機能〜について解説します。

 

細胞膜の構造は分かりづらいですが、細胞の内と外を隔てる重要な役割を担うため、物質がどのように輸送されていくのか理解しておくことが大事になります。

 

では、一つずつ解説していきます。

 

細胞膜の構造

 

細胞膜はリン脂質二重構造となっており、細胞の内と外を隔てる生体膜となります。

 

(リン脂質二重構造とは、親水性の頭部を細胞の中と外に分け、疎水性の尾部を突き合わせたように並んでいる構造になります。)

 

特徴は、脂質などの脂溶性の物質は膜を通過できるが、水などの水溶性の物質は膜を通過できないということです。

 

そのため、細胞膜にはところどころに膜たんぱく質が埋まっており、通過できない水溶性の物質の輸送を行います。

 

物質の輸送を行うチャネルやポンプは膜たんぱく質の中にあります。

 

【ポイント】

 

①細胞膜はリン脂質二重構造となっており、水溶性の物質は通過できない。

 

②水溶性の物質を通すため、膜たんぱく質の中にチャネルやポンプがある。

 

 

受動輸送はチャネル、能動輸送はポンプ

 

細胞の内外を細胞膜は隔てていますが、細胞膜の内外は常に物質のやりとりをしています。

 

物質の輸送は、受動輸送と能動輸送の2種類に分けられます。

 

受動輸送

 

受動輸送は、エネルギーを使わずに物質が移動する仕組みで、チャネルなどが該当します。

 

物質が濃度の高い方から低い方へ移動(拡散)するため、エネルギーは必要としません。

 

脂溶性の物質はそのまま膜を通過し、水溶性の物質は膜たんぱく質にあるチャネルを通過します。

 

受動輸送は、濃度勾配を利用し、拡散によって物質が移動します。

 

能動輸送

 

能動輸送は、エネルギーを使って、物質を移動させる仕組みで、ポンプが該当します。

 

受動輸送は濃度勾配に従って物質輸送が行われていましたが、能動輸送は濃度勾配に逆らって物質を移動させるので、エネルギーが必要となります。

 

覚えておきたいのは、ナトリウム-カリウムポンプです。

 

濃度に関係なく、エネルギー(ATP1分子)で、Na+3分子を細胞内から細胞外へ、K+2分子を細胞外から細胞内へ移動させます。

 

そのため、細胞外はNa+の濃度が高く、細胞内はK+の濃度が高くなっています。

 

細胞膜にはホルモン受容体もある

 

ホルモンの受容体が細胞膜上にあるのか、細胞質内にあるのか、という問いもよく出題されますので、詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

 

 

ホルモン受容体は、細胞膜にある膜たんぱく質に存在します。

 

なぜ脂溶性ホルモンの受容体は細胞質内にあり、水溶性ホルモンの受容体は細胞膜上にあるのかも、細胞膜の構造を理解できれば、覚えやすいかと思います。

 

まとめ

 

細胞膜は、リン脂質二重構造となっており、細胞内と外を隔てている。

 

細胞膜は脂溶性の物質は通過できるが、水溶性の物質は通過できない。

 

水溶性の物質は、細胞膜に埋まっている膜たんぱく質の中のチャネルやポンプで、物質の輸送が行われる。

 

チャネルは濃度勾配による物質移動で、受動輸送である。

 

ポンプは濃度勾配に逆らっての物質移動で、エネルギーを使った能動輸送である。

 

細胞膜の構造と機能は難しいですが、覚えると解剖生理全般の理解につながると思いますので、しっかりと理解することをおすすめします。