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カテゴリー:よく出題される問題

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、消化と吸収 〜消化酵素の分泌器官とその機能〜についてです。

 

人は植物とは違い、生きるために栄養素を食事からとる必要があります。

 

ただ、ご飯や唐揚げを食べたからといって、そのまま血液の中・細胞の中にご飯粒や唐揚げが入る訳ではありません。

 

ご飯や唐揚げに含まれる栄養素を体内に取り込む必要があり、そのために身体は消化と吸収を行っています。

 

今回は、消化と吸収について細かく見ていきます。

 

消化と吸収

 

消化とは、ご飯粒や唐揚げを、体内に取り込めるまでに細かく分解する働きのことを指します。

 

一方、吸収とは、その消化した物質を体内に取り込むことを指します。

 

吸収は小腸の吸収上皮細胞で行われるので、小腸に達するまでに食べ物を消化する必要があります。

 

(大腸では水分が吸収されます)

 

つまり、消化は口・胃・(上部小腸)で行われます。

 

消化には物理的消化と化学的消化がある

 

物理的消化とはその他の通り、物理的に食塊などを細かくする消化です。

 

化学的消化とは消化酵素などにより分子の鎖を切り、高分子化合物を低分子化合物にする消化になります。

 

物理的消化

 

物理的消化で意識的に行っているのは、食塊を歯で噛み砕く行動です。

 

小さく砕くことで、胃、十二指腸での消化を助けられるので、しっかり噛んで食べることは大事になります。

 

その他、物理的消化には、胃や小腸で行われる振子運動や分節運動も含まれます。

 

消化管で振子運動や分節運動が起こることで、胃の内容部を撹拌したり、つぶしたりすることができます。

 

(蠕動運動は、食べ物を先へ送る働きであり、全消化管でみられる運動です。)

 

化学的消化

 

物理的消化によってどんなに細かく砕いて、撹拌したとしても、まだ小腸の吸収上皮細胞を通り、血液やリンパ管に入るには、まだ不十分です。

 

その細かく砕かれた食塊に消化酵素が混ざり、高分子化合物(糖質・蛋白質・脂質)を低分子化合物(グルコース・アミノ酸・脂肪酸とグリセロール)まで分解することで、栄養素として吸収ができます。

 

糖質・蛋白質・脂質の三大栄養素は小腸で大半が吸収され、水分やミネラルは大腸で吸収されます。

 

国家試験では三大栄養素を消化する消化酵素がよく出題されますので、必ず覚えておきましょう。

 

三大栄養素に対する消化酵素

 

必ず押さえておきたいポイントを記載します。

 

◉糖質→アミラーゼ(唾液と膵液)

 

◉蛋白質→ペプシン(胃液)、トリプシン・キモトリプシン(膵液)

 

◉脂質→リパーゼ(膵液)+胆汁

 

※胆汁は消化酵素ではありませんが、脂質を乳化し、消化を助ける物質です。

 

必ず上記の消化酵素は押さえておきましょう。

 

特に膵液は、糖質・蛋白質・脂質全てを消化する酵素が含まれており、大変重要な消化酵素です。

 

膵液は、膵管を通り、十二指腸に注ぎ込まれます。

 

吸収された栄養素は肝臓へ

 

口から食べた食べ物(高分子化合物)は、物理的消化・化学的消化を受けることで低分子化合物となり、小腸の吸収上皮細胞から栄養素は吸収されました。

 

では、小腸の吸収上皮細胞に吸収された栄養素はどうなるのか?

 

小腸の吸収上皮細胞を介して、血液(一部リンパ管)に入った栄養素は、門脈を経由して肝臓へ入ります。

 

※そのため、小腸などの消化管から出る静脈(上腸間膜静脈・下腸間膜静脈)は栄養素が豊富に入った血管になります。

 

上・下腸間膜静脈→門脈→肝臓に入り、吸収された栄養素は肝臓で代謝され、身体に必要なように分解・貯蔵などを行っています。

 

(栄養素を吸収され、水分も吸収され、最後の老廃物が便となって排泄されています)

 

肝臓の4つの機能

 

消化と吸収の側面から見て、肝臓は様々な栄養素を集め、身体の必要な物質を作ったり、いらないものを排出したりする働きを持っていることがわかります。

 

肝臓の主の働きを最後に見ていきます。

 

三大栄養素の代謝

 

①糖代謝:吸収して集めたグルコースをグリコーゲンとして貯蔵したり、グリコーゲンを分解してグルコースにしたりすることで、血中のグルコース濃度を保つ。

 

②蛋白質代謝:吸収したアミノ酸から血漿タンパク質(アルブミンや血液凝固因子など)を合成する。

 

③脂質代謝:吸収した脂肪酸とグリセロールからコレステロールやリン脂質を合成する。

 

④その他:吸収したビタミンやホルモン、ビリルビンなどを代謝する機能もある。

 

解毒

 

肝臓は、アルコールや薬物、アンモニア、毒素などの有害物質を解毒する機能もあります。

 

胃腸で吸収されたアルコールや薬物は、門脈を経由し肝臓に入ると、上記のような有害物質を解毒し、無害化します。

 

胆汁の生成

 

胆汁は胆汁酸と胆汁色素からなります。

 

胆汁酸は脂質代謝後のコレステロールからつくられる物質で、脂質を乳化させる役割を持ちます。

 

生成された胆汁は、胆のうに貯蔵されます。

 

生体防御

 

肝臓には消化管からの多くの血液が集まり、その血液中に異物がいないかをマクロファージがパトロールしてくれています。

 

血中に異物・有害物質がいた場合、貪食することで、生体防御に関わっています。

 

まとめ

 

普段食べている食事は、糖質・蛋白質・脂質といった高分子化合物の状態であり、そのままでは体内に吸収できません。

 

そのため、消化管の各所で消化が行われ、低分子化された栄養素を小腸で吸収しています。

 

吸収された栄養素は門脈を経由して肝臓に入り、代謝されています。

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は国家試験頻出問題、酸塩基平衡について丁寧に解説していきたいと思います。

 

よく出題される上、とにかく難しいと評判の問題で、受験生から毎年質問のある問題です。

 

確かに難しい問題ですが、根拠に基づいて考えると理解でき、理解できると点数は絶対に落とさない問題ですので、あきらめずに一つ一つ理解していくようにして下さい。

 

そもそも酸塩基平衡って何?

 

酸塩基平衡を一言で表すと、体内にある酸とアルカリのバランスをとる体の能力、のことです。

 

人間の体内には胃酸などの酸性のもの、腸液などのアルカリ性のもの、酸とアルカリどちらも存在します。

 

その体内(血中)の酸性・アルカリ性の状態を表すのがpHであり、正常値はpH=7.4±0.05となります。

 

pH=7.0が中性になるので、体内のpH=7.4は弱アルカリ性になります。

 

なぜ、pH=7.4なのか

 

体温を例にとると、人間の体温は36.5℃±0.5℃が正常値です。

 

これは、36.5℃が人間の代謝などに適しているからです。

 

pH=7.4が正常値の理由も同様で、人間の代謝(酵素の働きなど)に適しているため、pH=7.4をキープしようと体(肺と腎臓)がバランスをとっています。

 

(暑い・寒いという環境があっても、体温は36.5℃をキープしようとしますが、それと同様の考え方です)

 

pH=7.4が変動する理由

 

体温の場合は、外気温の変化や風邪を引いた場合などに体温が変動します。

 

pHの場合は、体内にある酸性物質の量により、pHが変動します。

 

酸性物質はなぜ体内で増えるのか(減るのか)

 

ヒトは、食事や酸素を取り込み、それらの酸素や栄養素は細胞内で代謝されます。

 

その細胞からは、CO2や酸性の代謝産物(塩酸や硫酸)が老廃物として排出されます。

 

まとめると、ヒトは栄養素や酸素を代謝すると、CO2などの酸性物質を血中に排出するということです。

 

そのため、ヒトは生きている以上、体は常に酸性に傾こうとしている状態にある、と考えて下さい。

 

酸性物質は肺と腎臓から排出される

 

代謝する度に排出される酸性物質をそのまま体内にとどめておくと、体内が酸性になってしまいます。

 

それを防ぐために、肺からCO2を排出したり、腎臓から酸性物質のH+(水素イオン)を排出したりしています。

 

この酸とアルカリの調節機構を酸塩基平衡と呼んでいます。

 

酸塩基平衡が崩れる=肺と腎臓に異常

 

今まで説明してきた酸とアルカリの調節機構が崩れるのは、酸性物質を調節するために重要な肺や腎臓に異常が起きた場合です。

 

肺や腎臓に異常が起きると、酸性物質を排出することができなくなるため、体内に酸性物質が残り、体内は酸性に傾いてしまいます。

 

この体内が酸性に傾いた状態をアシドーシス(acid=酸)と呼びます。

 

肺が原因(PaCO2の増加が原因)で引き起こされたアシドーシスを呼吸性アシドーシス、腎臓等が原因(H+などの酸性物質の増加)で引き起こされたアシドーシスを代謝性アシドーシスと定義されています。

 

呼吸性アシドーシスと代謝性アシドーシスの分類については、こちらの記事を参照下さい。

 

 

 

※アルカリ性=アルカローシスにはなりにくい

 

少し戻りますが、ヒトは生きている以上、体は常に酸性に傾こうとしている状態にあるということでしたね。

 

要は、アシドーシスにはなりやすい(酸性にはなりやすい)ですが、アルカローシスにはなりにくい(アルカリ性にはなりにくい)ということです。

 

代謝することで自然と体内に酸性物質が産生されるにも関わらず、それよりも多くの酸を体外に排出するしか方法が無いからです。

 

その過剰に酸を排出するための方法が2つあります。

 

①過換気症候群:CO2を過剰に排出すること(=酸性物質を喪失)。

 

→PaCO2の減少が原因となるため、呼吸性アルカローシスとなります。

 

②嘔吐による胃酸(H+)を過剰に排出すること(=酸性物質を喪失)。

 

→H+の減少が原因となるため、代謝性アルカローシスとなります。

 

アルカローシスにはなりにくく、アシドーシスにはなりやすいということを前提として暗記するようにして下さい。

 

覚えやすくするために、やや限定的に記載していますが、看護師国家試験の問題対策としては上記の2個がアルカローシスの原因と覚えておきましょう。

 

(臨床においても、アシドーシスが問題となることはあっても、アルカローシスが問題となることはほとんどありません。)

 

アルカローシスの詳細な内容についても、先程の記事を参照下さい。

 

まとめ

 

◉酸塩基平衡とは体内にある酸とアルカリのバランスをとる体の能力のこと

 

◉体内の酸性・アルカリ性の状態を表すのがpHであり、正常値はpH=7.4±0.05

 

◉pH=7.4が人間の代謝に適しているため肺と腎臓がpH=7.4をキープする

 

◉肺と腎臓に障害が起こると、酸と塩基のバランスが崩れ、アシドーシスやアルカローシスになる

 

アシドーシスやアルカローシスになる原因については、こちらの記事を参照下さい。

 

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、過換気症候群でなぜテタニーが起こるのか、その原因について解説します。

 

テタニーとは、低Ca血症になった時に起こることです。(既に知っている方も多いかと思います。)

 

過換気症候群だと、二酸化炭素が無くなるため、呼吸性アルカローシスになります。(これもよく知っているかかと思います)

 

しかし、過換気症候群でなぜテタニーが起こるのかは不思議に思っている方が多いです。

 

少々難しい話になりますが、根拠を知ることで丸覚えより覚えやすくなりますので、簡単に解説します。

 

過換気症候群による呼吸性アルカローシスが要因

 

過換気症候群になると、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が低下し、血中のH+が減少するため、呼吸性アルカローシスとなります。

 

すると、血中に低下したH+を補うため、アルブミン(Alb)と結合しているH+が血中に遊離します。

 

アルブミンは負の荷電、カルシウムイオンは正の荷電であるため、単独となったアルブミンにカルシウムイオンが結合する。

 

※下図参照

 

 

結果、血中のカルシウムイオン濃度が低下します。

 

呼吸性アルカローシスと過換気、テタニーと低Ca血症の関係

 

過換気症候群=テタニーを理解するためには、以下のステップを理解しておくことが必要です。

 

①過換気症候群になると、呼吸性アルカローシスとなる

 

何らかの原因(心因性など)により、過換気症候群になると、動脈血二酸化炭素分圧が低下するため、呼吸性アルカローシスとなる。

 

②呼吸性アルカローシスになると、アルブミンと結合しているH+が遊離する

 

呼吸性アルカローシスによる血中H+の低下を補うために、アルブミンと結合しているH+が遊離し、血中のH+を上昇する(代償機構)。

 

③単独となったアルブミンとカルシウムイオンが結合する

 

血中のカルシウムイオンと血漿蛋白アルブミンはもともと結合する性質を持つ。

 

それに加え、呼吸性アルカローシスになると、単独となるアルブミンが増加するため、アルブミンとカルシウムイオンがさらに結合する。

 

すると、血中のカルシウムイオン濃度が低下してしまうため、テタニーが生じる。

 

まとめ

 

『過換気症候群ではテタニーが生じる』根拠を理解するためには、複数の知識を理解しておくことが必要です。

 

このように色々な知識を活用しなければ、理解できない問題もありますので、「なぜ・どうして」と思ったことは色々と調べたり、質問することをおすすめします。

 

『過換気症候群ではテタニーが生じる』と問題無く丸暗記ができるという方は、丸暗記でも問題無いありませんが、少しは根拠を覚えておくと良いかと思います。

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、疾病・障害・死の受容について、解説していきます。

 

主に、フィンクの危機モデルとキューブラー=ロスの5段階モデルについて説明します。

 

似た概念であり、ごちゃごちゃに覚えがちなので、しっかり区別して覚えましょう。

 

フィンクの危機モデル

 

フィンクの危機モデルは4つの段階に分かれます。

 

 

第1段階:衝撃

 

最初の強いショックを受ける。無気力や強い不安感、パニック状態。

 

第2段階:防御的退行

 

自分を守ろうとする時期。現実を否認して、希望的思考にふける。

 

第3段階:承認

 

危機の実現に直面する時期。深い抑うつや喪失感。

 

第4段階:適応

 

建設的な方法で現実に対処する時期。新しいアイデンティティの獲得。

 

 

キューブラー=ロスの5段階モデル

 

こちらは5段階。HITUJIと覚えましょう。

 

 

第1段階:否認

 

状況の否認 「何かの間違いだ!」

 

第2段階:怒り

 

「なぜほかの人ではなく私が・・」という割り切れない思い

 

第3段階:取引

 

善行を行うことで治癒を獲得しようとする「治るなら何でもします・・」

 

第4段階:抑うつ

 

喪失「もうあかん、ほんまに無理や・・」

 

第5段階:受容

 

死の受容「これも運命やし、今を生きよう!」

 

 

過去問に挑戦

 

第107回 フィンクの危機理論

 

フィンクの危機管理モデルの過程で第3段階はどれか。

 

  1. 1.防御的退行
  2. 2.衝撃
  3. 3.適応
  4. 4.承認

 

解答 4

 

第106回 キューブラー=ロスの5段階モデル

 

キューブラー=ロスによる死にゆく人の心理過程で第2段階はどれか。

 

1.死ぬことへの諦め

2.延命のための取引

3.死を認めようとしない否認

4.死ななければならないことへの怒り

 

解答 4

 

その他:ションツとコーンの障害受容過程

 

ションツの障害受容過程

 

理論の背景:子どもに聴力障害のあると知った親など

 

第1段階:最初の衝撃

第2段階:現実認知

第3段階:防御的退行

第4段階:承認

第5段階:適応

 

コーンの障害受容過程

 

理論の背景:突然に身体に障害を受けた人

 

第1段階:ショック

第2段階:回復への期待

第3段階:悲嘆

第4段階:防衛

第5段階:適応

 

まとめ

 

疾病・障害・死の受容には4つの似た概念がある。

 

・フィンクの危機モデルは唯一4段階モデル

 

・キューブラー=ロスの5段階モデルは死にゆく者の心理過程

 

・ションツとコーンも5段階の障害受容過程

 

それぞれ似た概念であり、ごちゃごちゃにならないように覚えるようにしましょう。

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

耳鼻科の問題は、伝音性難聴と感音性難聴、メニエール病、突発性難聴、老人性難聴・・出題数は少ないものの、なかなか難しいです。

 

今回は、難聴の種類と検査方法に絞って解説していきたいと思います。

 

難聴の種類

 

難聴は、伝音性難聴・感音性難聴・混合性難聴の3種類がありますが、基本的に伝音性難聴か感音性難聴を問う問題が出題されます。

 

簡単に表すと、伝音性難聴は音の伝わる経路の障害、感音性難聴は内耳まで伝わった音が脳にまで伝えられない障害ということになります。

 

それぞれ見ていきたいと思います。

 

伝音性難聴

 

音の伝わる経路の障害、つまり外耳や中耳の伝音系の障害ということになります。

 

音は、空気の振動となって外耳道を通って鼓膜に伝わり、耳小骨で20倍程度の大きさの振動に拡大されます。

 

この内耳までの経路を気伝導、気導聴力など表現され、ここが障害されることを伝音性難聴と呼びます。

 

原因としては、中耳炎や鼓膜穿孔、耳の垢による塞栓などがあり、音センサーの内耳まで音を届けることができない状態になります。

 

音の伝わる経路の問題であり、治癒する可能性が高いです。

 

気導聴力は低下しますが、骨導聴力は正常の状態となるため、気導聴力<骨導聴力となります。

 

感音性難聴

 

一方、音センサーの内耳まで音が届けられている(気伝導はOK)にも関わらず、内耳より中枢の障害により、脳にまで音を届けられない状態を感音性難聴と呼びます。

 

原因は、老人性難聴や騒音性難聴、メニエール病、突発性難聴などです。

 

伝音声難聴と比較すると、治りにくいです。

 

また、老人性難聴は両側性ですが、メニエール病や突発性難聴は一側性という特徴もあります。

 

感音性難聴は、気導聴力だけでなく、骨導聴力も低下するため、気導聴力>骨導聴力となります。

 

耳の検査

 

標準純音聴力検査は、オージオメータを使用します。

 

気導聴力と骨導聴力を調べる時には、音叉による聴力検査:ウェーバー試験やリンネ試験を実施します。

 

ウェーバー試験

 

音叉を鳴らして、被験者の頭頂部に当て、左右どちらの音が強く聞こえるかを調べます。

 

これは、骨伝導が左右対象に伝わっているかを確認するために実施しています。

 

感音性難聴の場合は健側、伝音性難聴の場合は患側が強く聞こえます。

 

なぜ、伝音性難聴の場合は、患側の耳は耳垢などで周囲から入る音が遮断されているため、大きく音が聞こえるように感じます。

 

感音性難聴の場合、患側の耳は骨伝導も低下しているため、健側の耳の方が音が大きく聞こえます。

 

リンネ試験

 

リンネ試験は、骨伝導と気伝導はどちらが長く聞こえるかを計測する試験です。

 

①音叉を鳴らしてから、被験者の耳介後方の骨に押し当てます。(被験者は音を感じます)

 

→この時間は骨伝導で聴こえている時間になります。

 

②被験者が音を感じなくなったタイミングで合図をしてもらい、すぐに音叉を耳元に近づけ、再び音が聴こえなくなるまでの時間を測定します。

 

→最初に音叉を鳴らしてから、音が聴こえなくなるまでの時間が気伝導で聴こえた時間です。

 

伝音性難聴の場合、気伝導<骨伝導であるため、耳元に音叉を近づけたタイミングから音が聴こえません。(リンネ陰性と表現されます)

 

感音性難聴の場合、気伝導>骨伝導であるため、耳元に音叉を近づけたタイミングは音が聴こえています。(リンネ陽性と表現されます)

 

健常者でも、リンネ陽性となるため、リンネ試験だけでは正常か感音性難聴か分かりませんので、ウェーバー試験なども実施することが必要です。

 

まとめ

 

難聴には伝音性難聴と感音性難聴がある。

 

伝音性難聴は、耳の垢などによる気伝導の問題であり、気伝導<骨伝導となる。

(気伝導は低下、骨伝導は正常)

 

感音性難聴は、内耳から中枢の音を感じる部分に問題があり、気伝導>骨伝導となる。

(気伝導も骨伝導も低下している)

 

感音性難聴には両側性の老人性難聴、一側性のメニエール病や突発性難聴がある。

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、国家試験に頻出の薬をまとめていきます。

 

薬理学は範囲が広く難しいですが、よく出る問題は決まっているので、コツコツ覚えるよりも一気に覚えることをおすすめします。

 

一問一答形式で簡潔にまとめていますので、薬理学を学ぶ足掛かりにしてください。

 

Instagramの方にも、問題形式で載せています👇

https://www.instagram.com/p/Cpqvy2shvju/?utm_source=ig_web_copy_link

 

薬理総論

 

薬物の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法は?

 

A. 静脈内注射

 

逆に、比較的遅いのは経口投与です。

 

内服薬の初回通過効果が主に起こる部位は?

 

A. 肝臓

 

内服した薬剤が吸収された後に門脈を通り、肝臓で代謝されることをいいます。

 

薬物の有害事象

 

血中濃度を確認する必要性がある医薬品は?

 

A. ジゴキシン、テオフィリン、バルプロ酸ナトリウム、フェニトイン、炭酸リチウム、リドカイン塩酸塩

 

特にジゴキシンはジキタリス中毒を引き起こします。(強心薬の項目で解説)

 

薬物の相互作用=食べ合わせ危険の組み合わせ

 

ワルファリンカリウム

 

A. ビタミンKを多く含む食品(納豆・ほうれん草など)を避ける必要があります。

 

ワルファリンカリウムはビタミンKの作用を弱め、血液の凝固を妨げるため、ビタミンKを多くとってしまうと効果が弱ってしまう。

 

カルシウム拮抗薬

 

A. グレープフルーツ

 

グレープフルーツ中の成分であるフラボノイドが、カルシウム拮抗薬の肝臓での代謝を妨げるため、作用が残り、効果が強くなってしまう。

 

テトラサイクリン

 

A. 牛乳

 

牛乳のカルシウムがテトラサイクリン系薬と結合してしまい、吸収されなくなるため、効果が減弱してしまう。

 

抗菌薬と抗ウイルス薬と抗癌薬

 

菌・ウイルス・癌細胞など、対象によって使用する薬剤が異なります。

 

ウイルスに対して、抗菌薬は効かないので、対象に応じた薬剤の名前とその薬効を整理しながら覚えていくことが重要です。

 

全ての薬を片っ端から覚える必要はありませんので、主要な薬の名前を紹介していきますので、重要なものを確実に覚えていきましょう。

 

抗菌薬

 

A. ペニシリン、バンコマイシン

 

抗菌薬でよく出題されるのは上記の2つです。

 

特にバンコマイシンは、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)という抗菌薬に耐性を持つ菌にも効く薬なので、よく出題されます。

 

抗ウイルス薬

 

A. アシクロビル

 

アシクロビルはヘルペスウイルスに効果のある薬として有名です。

 

インフルエンザウイルスに罹った場合は、リレンザやタミフルなどの抗ウイルス薬を使用して治療します。

 

抗癌薬

 

A. シスプラチン

 

抗癌薬の副作用(骨髄抑制・脱毛・消化器症状)がよく出題されます。

 

シスプラチンは骨髄抑制を引き起こしにくい反面、白金を含むため、腎毒性を起こしやすい特徴もあります。

 

自律神経作用薬

 

自律神経系に作用する薬を自律神経作用薬といい、交感神経作用薬と副交感神経作用薬に分けられます。

 

交感神経作用薬には、交感神経作用を強めるアドレナリン作動薬作用を弱める抗アドレナリン薬があります。

 

一方、副交感神経作用薬には、副交感神経作用を強めるコリン作動薬作用を弱める抗コリン薬があります。

 

交感神経が優位になるのはアドレナリン作動薬抗コリン薬

副交感神経が優位になるのは抗アドレナリン薬コリン作動薬

 

アドレナリン作動薬

 

主な作用は、交感神経優位による、血管収縮、心収縮力増強、気管支拡張です。

 

β刺激薬は気管支拡張作用により、気管支喘息患者への吸入薬として用いられます

 

抗アドレナリン薬

 

主な作用は、副交感神経優位による、血管拡張、心収集力減少、気管支収縮です。

 

β遮断薬は気管支を優位に収縮させるため、気管支喘息の患者には禁忌です。

 

β刺激とβ遮断、どちらが気管支を拡張/収縮させるのか、確実に覚えましょう。

 

コリン作動薬

 

副交感神経を優位にすることで、眼圧の低下となるため、緑内障に適応されます。

 

一方、副交感神経が優位になることで、気管支収縮、腸管運動の促進につながるため、気管支喘息の患者や消化性潰瘍のある患者には禁忌になります。

 

抗コリン薬

 

副交感神経を抑制することで、気管支の拡張、腸管運動の抑制になるため、気管支喘息や消化性潰瘍の患者に適応となります。

 

一方、副交感神経を抑制することにより、眼圧が上昇するため、緑内障の患者には禁忌となります。

 

※抗コリン薬=アトロピン

 

副作用としては、排尿困難、顔面紅潮、口渇、めまい、便秘などがあります。

 

排尿困難になることから、前立腺肥大症の患者にも禁忌となります。

 

 

心臓(血圧・循環)に関係する薬剤

 

心臓に関係する薬剤として、強心薬・狭心症治療薬・降圧薬・利尿薬を覚えます。

 

強心薬(強心作用)

 

A. ジギタリス、アドレナリン

 

ジギタリスは蓄積しやすく、中毒を起こしやすいため。血中濃度のモニタリングが必要な薬剤です。(薬物有害事象)

 

ジギタリス中毒の症状は、消化器症状(悪心・嘔吐)、不整脈、視覚障害、神経症状(めまいなど)です。

 

狭心症治療薬

 

A. ニトログリセリン

 

冠動脈を拡張して、冠動脈の血流を増加させるため、狭心症発作時など冠血流が低下した場合に使用する薬である。

 

投与方法は舌下投与である。内服はしない。

 

降圧薬

 

A. カルシウム拮抗薬、β遮断薬、ACE阻害薬、利尿薬

 

降圧薬は血圧を下げる機序により、4つに分類される。

 

①カルシウム拮抗薬は、血管平滑筋細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制し、血管を拡張させ、血圧を低下させます。

 

②β遮断薬は、β受容体を遮断して心拍出量を低下させることで、血圧を低下させます。

 

③ACE阻害薬は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の作用に関係し、アンジオテンシンⅡの作用を阻害することで、血圧を低下させます。

 

④利尿薬は、腎臓からのナトリウム・水の排泄を促進し、循環血液量を減少させることで、血圧を低下させます。

 

利尿薬

 

A. ループ利尿薬(フロセミド)

 

腎臓からのナトリウム・水の排泄を促進しますが、カリウムの排出も促進するため、低カリウム血症になるリスクがあります。

 

血圧を下げる目的以外に、浮腫などを改善する目的でも使用されます。

 

抗血栓薬

 

抗血栓薬は、細かく分類すると、抗凝固薬と抗血小板薬に分けられます。

 

抗凝固薬

 

A. ワルファリン

 

ワルファリンは、ビタミンK依存性凝固因子(Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)の生成を阻害し、血液凝固を阻害します。

 

そのため、ワルファリンとビタミンKは食べ合わせが危険な組み合わせになります。

 

抗血小板薬

 

A. アスピリン

 

ワルファリンと違い、アスピリンは血小板凝集を阻害することで、抗血栓作用を示します。

 

また、アスピリンは、抗炎症作用をもち、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)のひとつです。

 

副腎皮質ステロイド薬

 

A. プレドニゾロン

 

副腎皮質ステロイド薬は、抗炎症・免疫抑制作用をもち、広く使用されているため、国家試験に頻出です。

 

副作用は、満月様顔貌、高血糖、易感染、骨粗鬆症、中心性肥満などがあります。

 

鎮痛薬

 

鎮痛薬は、麻薬性鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬などが分類されます。

 

麻薬性鎮痛薬

 

A. モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル

 

副作用としては、腸蠕動低下による便秘・悪心・嘔吐が有名です。その他、呼吸抑制、眠気などがあります。

 

非ステロイド性抗炎症薬

 

A. インドメタシン、アスピリン

 

副作用としては、消化性潰瘍が頻出。その他、腎障害や出血傾向(アスピリンの場合)などもあります。

 

精神疾患治療薬

 

抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬、抗認知症薬などがあり、これらを総称して向精神薬と呼ぶ。

 

精神疾患治療薬は、種類が多く、色々と覚えると混乱しますので、優先度の高いものだけを覚え、知識を広げていきましょう。

 

抗精神病薬

 

A. 統合失調症や躁状態の治療に用いる

 

副作用として、ドパミン遮断作用による錐体外路症状が有名です。

 

錐体外路症状の主は、アカシジア、ジストニア、遅発性ジスキネジア、パーキンソン症候群などの症状が起こります。

 

抗うつ薬

 

A. うつ病(セロトニン神経やノルアドレナリン神経の機能を正常化する)

 

副作用には、セロトニン活性過剰による、セロトニン症候群がある。

 

セロトニン症候群には、不安・焦燥、発熱、ミオクローヌスがある。

 

気分安定薬

 

A. 双極性障害(気分の波を小さくする)

 

炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウムなどが代表的な薬剤。(血中濃度のモニタリングが必要な薬剤)

 

リチウム中毒では、発熱、悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状、めまい、運動失調、構音障害などの中枢神経症状が起こる。

 

重症化すると、急性腎不全や意識障害、全身けいれんなどが起こる。

 

抗不安薬

 

ベンゾジアゼピン系の薬物は、抗不安作用の他、筋弛緩、催眠・鎮静作用がある。

 

副作用として、依存性、呼吸抑制、刺激興奮、眠気、血圧低下、ふらつきなどがある。

 

薬理学のまとめ

 

『薬』と一言で言っても、本当に多くの薬が世の中に出回っているため、全ての薬剤を覚える必要はありません。

 

(薬剤の詳しい知識は、薬剤師や医師にお任せましょう。)

 

ただ、少なくともここだけは覚えてほしいというような、メジャーな薬剤は覚える必要があります。

 

そして、その薬剤を患者さんに使用するからには、どのような薬効があるのか、どのような副作用があるのかを覚えておくことが重要です。

 

看護師として、どのような知識を身につけておくべきなのかも考えつつ、暗記を進めていくことで、効率良く・必要な知識だけを覚えていけると思います。

 

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