こんにちは、講師のサキです。
今回は、過換気症候群でなぜテタニーが起こるのか、その原因について解説します。
テタニーとは、低Ca血症になった時に起こることです。(既に知っている方も多いかと思います。)
過換気症候群だと、二酸化炭素が無くなるため、呼吸性アルカローシスになります。(これもよく知っているかかと思います)
しかし、過換気症候群でなぜテタニーが起こるのかは不思議に思っている方が多いです。
少々難しい話になりますが、根拠を知ることで丸覚えより覚えやすくなりますので、簡単に解説します。
過換気症候群による呼吸性アルカローシスが要因
過換気症候群になると、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が低下し、血中のH+が減少するため、呼吸性アルカローシスとなります。
すると、血中に低下したH+を補うため、アルブミン(Alb)と結合しているH+が血中に遊離します。
アルブミンは負の荷電、カルシウムイオンは正の荷電であるため、単独となったアルブミンにカルシウムイオンが結合する。
※下図参照
結果、血中のカルシウムイオン濃度が低下します。
呼吸性アルカローシスと過換気、テタニーと低Ca血症の関係
過換気症候群=テタニーを理解するためには、以下のステップを理解しておくことが必要です。
①過換気症候群になると、呼吸性アルカローシスとなる
何らかの原因(心因性など)により、過換気症候群になると、動脈血二酸化炭素分圧が低下するため、呼吸性アルカローシスとなる。
②呼吸性アルカローシスになると、アルブミンと結合しているH+が遊離する
呼吸性アルカローシスによる血中H+の低下を補うために、アルブミンと結合しているH+が遊離し、血中のH+を上昇する(代償機構)。
③単独となったアルブミンとカルシウムイオンが結合する
血中のカルシウムイオンと血漿蛋白アルブミンはもともと結合する性質を持つ。
それに加え、呼吸性アルカローシスになると、単独となるアルブミンが増加するため、アルブミンとカルシウムイオンがさらに結合する。
すると、血中のカルシウムイオン濃度が低下してしまうため、テタニーが生じる。
まとめ
『過換気症候群ではテタニーが生じる』根拠を理解するためには、複数の知識を理解しておくことが必要です。
このように色々な知識を活用しなければ、理解できない問題もありますので、「なぜ・どうして」と思ったことは色々と調べたり、質問することをおすすめします。
『過換気症候群ではテタニーが生じる』と問題無く丸暗記ができるという方は、丸暗記でも問題無いありませんが、少しは根拠を覚えておくと良いかと思います。