こんにちは、講師のサキです。

 

耳鼻科の問題は、伝音性難聴と感音性難聴、メニエール病、突発性難聴、老人性難聴・・出題数は少ないものの、なかなか難しいです。

 

今回は、難聴の種類と検査方法に絞って解説していきたいと思います。

 

難聴の種類

 

難聴は、伝音性難聴・感音性難聴・混合性難聴の3種類がありますが、基本的に伝音性難聴か感音性難聴を問う問題が出題されます。

 

簡単に表すと、伝音性難聴は音の伝わる経路の障害、感音性難聴は内耳まで伝わった音が脳にまで伝えられない障害ということになります。

 

それぞれ見ていきたいと思います。

 

伝音性難聴

 

音の伝わる経路の障害、つまり外耳や中耳の伝音系の障害ということになります。

 

音は、空気の振動となって外耳道を通って鼓膜に伝わり、耳小骨で20倍程度の大きさの振動に拡大されます。

 

この内耳までの経路を気伝導、気導聴力など表現され、ここが障害されることを伝音性難聴と呼びます。

 

原因としては、中耳炎や鼓膜穿孔、耳の垢による塞栓などがあり、音センサーの内耳まで音を届けることができない状態になります。

 

音の伝わる経路の問題であり、治癒する可能性が高いです。

 

気導聴力は低下しますが、骨導聴力は正常の状態となるため、気導聴力<骨導聴力となります。

 

感音性難聴

 

一方、音センサーの内耳まで音が届けられている(気伝導はOK)にも関わらず、内耳より中枢の障害により、脳にまで音を届けられない状態を感音性難聴と呼びます。

 

原因は、老人性難聴や騒音性難聴、メニエール病、突発性難聴などです。

 

伝音声難聴と比較すると、治りにくいです。

 

また、老人性難聴は両側性ですが、メニエール病や突発性難聴は一側性という特徴もあります。

 

感音性難聴は、気導聴力だけでなく、骨導聴力も低下するため、気導聴力>骨導聴力となります。

 

耳の検査

 

標準純音聴力検査は、オージオメータを使用します。

 

気導聴力と骨導聴力を調べる時には、音叉による聴力検査:ウェーバー試験やリンネ試験を実施します。

 

ウェーバー試験

 

音叉を鳴らして、被験者の頭頂部に当て、左右どちらの音が強く聞こえるかを調べます。

 

これは、骨伝導が左右対象に伝わっているかを確認するために実施しています。

 

感音性難聴の場合は健側、伝音性難聴の場合は患側が強く聞こえます。

 

なぜ、伝音性難聴の場合は、患側の耳は耳垢などで周囲から入る音が遮断されているため、大きく音が聞こえるように感じます。

 

感音性難聴の場合、患側の耳は骨伝導も低下しているため、健側の耳の方が音が大きく聞こえます。

 

リンネ試験

 

リンネ試験は、骨伝導と気伝導はどちらが長く聞こえるかを計測する試験です。

 

①音叉を鳴らしてから、被験者の耳介後方の骨に押し当てます。(被験者は音を感じます)

 

→この時間は骨伝導で聴こえている時間になります。

 

②被験者が音を感じなくなったタイミングで合図をしてもらい、すぐに音叉を耳元に近づけ、再び音が聴こえなくなるまでの時間を測定します。

 

→最初に音叉を鳴らしてから、音が聴こえなくなるまでの時間が気伝導で聴こえた時間です。

 

伝音性難聴の場合、気伝導<骨伝導であるため、耳元に音叉を近づけたタイミングから音が聴こえません。(リンネ陰性と表現されます)

 

感音性難聴の場合、気伝導>骨伝導であるため、耳元に音叉を近づけたタイミングは音が聴こえています。(リンネ陽性と表現されます)

 

健常者でも、リンネ陽性となるため、リンネ試験だけでは正常か感音性難聴か分かりませんので、ウェーバー試験なども実施することが必要です。

 

まとめ

 

難聴には伝音性難聴と感音性難聴がある。

 

伝音性難聴は、耳の垢などによる気伝導の問題であり、気伝導<骨伝導となる。

(気伝導は低下、骨伝導は正常)

 

感音性難聴は、内耳から中枢の音を感じる部分に問題があり、気伝導>骨伝導となる。

(気伝導も骨伝導も低下している)

 

感音性難聴には両側性の老人性難聴、一側性のメニエール病や突発性難聴がある。

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