こんにちは、講師のサキです。
今回は、国家試験に頻出の薬をまとめていきます。
薬理学は範囲が広く難しいですが、よく出る問題は決まっているので、コツコツ覚えるよりも一気に覚えることをおすすめします。
一問一答形式で簡潔にまとめていますので、薬理学を学ぶ足掛かりにしてください。
Instagramの方にも、問題形式で載せています👇
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薬理総論
薬物の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法は?
A. 静脈内注射
逆に、比較的遅いのは経口投与です。
内服薬の初回通過効果が主に起こる部位は?
A. 肝臓
内服した薬剤が吸収された後に門脈を通り、肝臓で代謝されることをいいます。
薬物の有害事象
血中濃度を確認する必要性がある医薬品は?
A. ジゴキシン、テオフィリン、バルプロ酸ナトリウム、フェニトイン、炭酸リチウム、リドカイン塩酸塩
特にジゴキシンはジキタリス中毒を引き起こします。(強心薬の項目で解説)
薬物の相互作用=食べ合わせ危険の組み合わせ
ワルファリンカリウム
A. ビタミンKを多く含む食品(納豆・ほうれん草など)を避ける必要があります。
ワルファリンカリウムはビタミンKの作用を弱め、血液の凝固を妨げるため、ビタミンKを多くとってしまうと効果が弱ってしまう。
カルシウム拮抗薬
A. グレープフルーツ
グレープフルーツ中の成分であるフラボノイドが、カルシウム拮抗薬の肝臓での代謝を妨げるため、作用が残り、効果が強くなってしまう。
テトラサイクリン
A. 牛乳
牛乳のカルシウムがテトラサイクリン系薬と結合してしまい、吸収されなくなるため、効果が減弱してしまう。
抗菌薬と抗ウイルス薬と抗癌薬
菌・ウイルス・癌細胞など、対象によって使用する薬剤が異なります。
ウイルスに対して、抗菌薬は効かないので、対象に応じた薬剤の名前とその薬効を整理しながら覚えていくことが重要です。
全ての薬を片っ端から覚える必要はありませんので、主要な薬の名前を紹介していきますので、重要なものを確実に覚えていきましょう。
抗菌薬
A. ペニシリン、バンコマイシン
抗菌薬でよく出題されるのは上記の2つです。
特にバンコマイシンは、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)という抗菌薬に耐性を持つ菌にも効く薬なので、よく出題されます。
抗ウイルス薬
A. アシクロビル
アシクロビルはヘルペスウイルスに効果のある薬として有名です。
インフルエンザウイルスに罹った場合は、リレンザやタミフルなどの抗ウイルス薬を使用して治療します。
抗癌薬
A. シスプラチン
抗癌薬の副作用(骨髄抑制・脱毛・消化器症状)がよく出題されます。
シスプラチンは骨髄抑制を引き起こしにくい反面、白金を含むため、腎毒性を起こしやすい特徴もあります。
自律神経作用薬
自律神経系に作用する薬を自律神経作用薬といい、交感神経作用薬と副交感神経作用薬に分けられます。
交感神経作用薬には、交感神経作用を強めるアドレナリン作動薬と作用を弱める抗アドレナリン薬があります。
一方、副交感神経作用薬には、副交感神経作用を強めるコリン作動薬と作用を弱める抗コリン薬があります。
◉交感神経が優位になるのは、アドレナリン作動薬と抗コリン薬
◉副交感神経が優位になるのは、抗アドレナリン薬とコリン作動薬
アドレナリン作動薬
主な作用は、交感神経優位による、血管収縮、心収縮力増強、気管支拡張です。
※β刺激薬は気管支拡張作用により、気管支喘息患者への吸入薬として用いられます。
抗アドレナリン薬
主な作用は、副交感神経優位による、血管拡張、心収集力減少、気管支収縮です。
※β遮断薬は気管支を優位に収縮させるため、気管支喘息の患者には禁忌です。
β刺激とβ遮断、どちらが気管支を拡張/収縮させるのか、確実に覚えましょう。
コリン作動薬
副交感神経を優位にすることで、眼圧の低下となるため、緑内障に適応されます。
一方、副交感神経が優位になることで、気管支収縮、腸管運動の促進につながるため、気管支喘息の患者や消化性潰瘍のある患者には禁忌になります。
抗コリン薬
副交感神経を抑制することで、気管支の拡張、腸管運動の抑制になるため、気管支喘息や消化性潰瘍の患者に適応となります。
一方、副交感神経を抑制することにより、眼圧が上昇するため、緑内障の患者には禁忌となります。
※抗コリン薬=アトロピン
副作用としては、排尿困難、顔面紅潮、口渇、めまい、便秘などがあります。
排尿困難になることから、前立腺肥大症の患者にも禁忌となります。
心臓(血圧・循環)に関係する薬剤
心臓に関係する薬剤として、強心薬・狭心症治療薬・降圧薬・利尿薬を覚えます。
強心薬(強心作用)
A. ジギタリス、アドレナリン
ジギタリスは蓄積しやすく、中毒を起こしやすいため。血中濃度のモニタリングが必要な薬剤です。(薬物有害事象)
ジギタリス中毒の症状は、消化器症状(悪心・嘔吐)、不整脈、視覚障害、神経症状(めまいなど)です。
狭心症治療薬
A. ニトログリセリン
冠動脈を拡張して、冠動脈の血流を増加させるため、狭心症発作時など冠血流が低下した場合に使用する薬である。
投与方法は舌下投与である。内服はしない。
降圧薬
A. カルシウム拮抗薬、β遮断薬、ACE阻害薬、利尿薬
降圧薬は血圧を下げる機序により、4つに分類される。
①カルシウム拮抗薬は、血管平滑筋細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制し、血管を拡張させ、血圧を低下させます。
②β遮断薬は、β受容体を遮断して心拍出量を低下させることで、血圧を低下させます。
③ACE阻害薬は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の作用に関係し、アンジオテンシンⅡの作用を阻害することで、血圧を低下させます。
④利尿薬は、腎臓からのナトリウム・水の排泄を促進し、循環血液量を減少させることで、血圧を低下させます。
利尿薬
A. ループ利尿薬(フロセミド)
腎臓からのナトリウム・水の排泄を促進しますが、カリウムの排出も促進するため、低カリウム血症になるリスクがあります。
血圧を下げる目的以外に、浮腫などを改善する目的でも使用されます。
抗血栓薬
抗血栓薬は、細かく分類すると、抗凝固薬と抗血小板薬に分けられます。
抗凝固薬
A. ワルファリン
ワルファリンは、ビタミンK依存性凝固因子(Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)の生成を阻害し、血液凝固を阻害します。
そのため、ワルファリンとビタミンKは食べ合わせが危険な組み合わせになります。
抗血小板薬
A. アスピリン
ワルファリンと違い、アスピリンは血小板凝集を阻害することで、抗血栓作用を示します。
また、アスピリンは、抗炎症作用をもち、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)のひとつです。
副腎皮質ステロイド薬
A. プレドニゾロン
副腎皮質ステロイド薬は、抗炎症・免疫抑制作用をもち、広く使用されているため、国家試験に頻出です。
副作用は、満月様顔貌、高血糖、易感染、骨粗鬆症、中心性肥満などがあります。
鎮痛薬
鎮痛薬は、麻薬性鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬などが分類されます。
麻薬性鎮痛薬
A. モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル
副作用としては、腸蠕動低下による便秘・悪心・嘔吐が有名です。その他、呼吸抑制、眠気などがあります。
非ステロイド性抗炎症薬
A. インドメタシン、アスピリン
副作用としては、消化性潰瘍が頻出。その他、腎障害や出血傾向(アスピリンの場合)などもあります。
精神疾患治療薬
抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬、抗認知症薬などがあり、これらを総称して向精神薬と呼ぶ。
精神疾患治療薬は、種類が多く、色々と覚えると混乱しますので、優先度の高いものだけを覚え、知識を広げていきましょう。
抗精神病薬
A. 統合失調症や躁状態の治療に用いる
副作用として、ドパミン遮断作用による錐体外路症状が有名です。
錐体外路症状の主は、アカシジア、ジストニア、遅発性ジスキネジア、パーキンソン症候群などの症状が起こります。
抗うつ薬
A. うつ病(セロトニン神経やノルアドレナリン神経の機能を正常化する)
副作用には、セロトニン活性過剰による、セロトニン症候群がある。
セロトニン症候群には、不安・焦燥、発熱、ミオクローヌスがある。
気分安定薬
A. 双極性障害(気分の波を小さくする)
炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウムなどが代表的な薬剤。(血中濃度のモニタリングが必要な薬剤)
リチウム中毒では、発熱、悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状、めまい、運動失調、構音障害などの中枢神経症状が起こる。
重症化すると、急性腎不全や意識障害、全身けいれんなどが起こる。
抗不安薬
ベンゾジアゼピン系の薬物は、抗不安作用の他、筋弛緩、催眠・鎮静作用がある。
副作用として、依存性、呼吸抑制、刺激興奮、眠気、血圧低下、ふらつきなどがある。
薬理学のまとめ
『薬』と一言で言っても、本当に多くの薬が世の中に出回っているため、全ての薬剤を覚える必要はありません。
(薬剤の詳しい知識は、薬剤師や医師にお任せましょう。)
ただ、少なくともここだけは覚えてほしいというような、メジャーな薬剤は覚える必要があります。
そして、その薬剤を患者さんに使用するからには、どのような薬効があるのか、どのような副作用があるのかを覚えておくことが重要です。
看護師として、どのような知識を身につけておくべきなのかも考えつつ、暗記を進めていくことで、効率良く・必要な知識だけを覚えていけると思います。
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