年別:2024年

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、重症筋無力症(MG)に関する記事です。

 

脳神経系は目に見えない、イメージしにくいということで敬遠されがちですが、ポイントを掴んで理解しておくことが重要です。

 

国家試験で問われるポイントを中心に解説していきます。

 

重症筋無力症とは

 

名称の通り、筋力が無力化してしまう病気です。

 

手足を動かすとすぐに疲れる、まぶたが下がってしまう(眼瞼下垂)などの状態になります。

 

筋力が弱ってしまう、力が入らなくなる原因は何なのかを理解することが重要です。

 

重症筋無力症の原因は?

 

筋肉が原因そうに思えますが、そうではありません。

 

筋肉を動かすために必要なアセチルコリンの伝導に原因があります。

 

(補足:骨格筋と副交感神経ではアセチルコリン、交感神経ではノルアドレナリン)

 

筋肉を動かすためには、脳からの司令であるアセチルコリンを筋肉が受け取ることが必要です。

 

しかし、重症筋無力症では、神経の接合部にアセチルコリンを受け取るのことを妨げる抗体(抗アセチルコリン受容体抗体)が体内で作られてしまい、脳からの司令を筋肉が受け取りにくくなっています

 

そのため、筋肉を動かしにくい、すぐに疲れるなどの症状が出現します。

 

(自己免疫疾患に分類されます)

 

重症筋無力症の治療:抗コリンエステラーゼ薬の内服

 

アセチルコリンが伝わりにくい状態であるため、アセチルコリンを増やすような治療になります。

 

コリンエステラーゼは神経末端から放出されるアセチルコリンを分解するので、コリンエステラーゼの働きを阻害することで、アセチルコリンを分解するのを防ぐことができます。

 

結果的に、筋肉まで届くアセチルコリンの量を増やすことができます。

 

重症筋無力症の合併症:胸腺腫

 

胸腺は、免疫に関係する器官ですが、重症筋無力症の患者さんは胸腺肥大を合併することが多々あります。

 

胸腺腫を合併した場合には、手術で胸腺を摘出することもあります。

 

重症筋無力症の症状

 

病態を理解すると症状もなんとなく想像しやすいかと思います。

 

筋肉が疲れやすい、力が入らない、まぶたが下がる(眼瞼下垂)、複視などの症状が出ます。

 

症状は朝よりも夕方に強くなる傾向があります。

 

女性に多く、年齢層は小児から成人まで幅広くかかります。

 

重症筋無力症に類似した症状(名称や疾患)

 

筋肉が動かなくなる疾患として、以下のようなものがありますので、合わせて覚えていきましょう。

 

◉筋萎縮性側索硬化症(ALS)

 

上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの障害が同時にみられ、徐々に全身の筋肉が萎縮する進行性の疾患です。

 

◉脳梗塞

 

上位運動ニューロンの障害で、片麻痺を生じます。

 

◉ギランバレー症候群

 

急性の運動麻痺を起こす自己免疫性の末梢神経障害で、四肢の筋力低下がみられます。末梢神経の髄鞘に対する自己抗体(抗ガングリオシド抗体)が産生されて、運動神経、感覚神経が障害されます。

 

まとめ

 

重症筋無力症は、筋力低下や易疲労感がみられ、日内変動があったり、休息すると筋力が回復するといった特徴がある。

 

原因は、骨格筋の神経筋接合部において、アセチルコリン受容体が自己抗体により攻撃され、神経から筋への刺激伝達が障害されるためである。

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、【必修問題】体性感覚・特殊感覚・内臓感覚のうち、触覚はどれに分類されるのか?という問題に対する解答・解説です。

 

必修問題には非該当と判断された問題ですが、ポイントを掴み、しっかりと覚えていきましょう。

 

 

第112回 午前10問

 

体性感覚はどれか。

 

  1. 1.視覚
  2. 2.触覚
  3. 3.聴覚
  4. 4.平衡覚

 

 

正答:2

 

この問題を解くためには、体性感覚とは何かを理解することが大事です。

 

「触覚は体性感覚だ」と覚えるだけでは不十分なので、次項のように理解していきましょう。

 

体性感覚とはなにか

 

感覚は、体性感覚、特殊感覚、内臓感覚に大別されます。

 

つまり、体性感覚とは感覚の一つになります。

 

視覚、聴覚、平衡覚、触覚がどの感覚に該当するのか分かることが、この問題を解くのに重要なポイントになります。

 

特殊感覚とは

 

視覚、聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚は特殊感覚に分類されます。

 

設問の選択肢にあった、視覚、聴覚、平衡覚は全て特殊感覚であるため、誤答となります。

 

体制感覚とは

 

体制感覚とは、皮膚感覚と深部感覚のことを意味しています。

 

皮膚感覚とは触って皮膚で分かる感覚、深部感覚とは重さなどを深部の筋肉などで分かる感覚を指しています。

 

触覚、温度感覚、痛覚などの皮膚感覚、筋や腱、関節などに起こる深部感覚は、体性感覚になります。

 

内臓感覚とは

 

内臓感覚には、内臓痛覚と臓器感覚があります。

 

内臓痛覚は、内臓が痙攣したり、炎症したり、拡張したりすることで生じる痛みになります。

 

臓器感覚は、空腹感、のどの渇き、尿意など、臓器が物理的・化学的に刺激されることによって生じる感覚になります。

 

まとめ

 

この設問から「触覚は体性感覚である」と覚えるだけでは不十分。

 

感覚は、特殊感覚、体性感覚、臓器感覚に大別される。

 

特殊感覚は、視覚、聴覚、平衡覚などが分類され、触覚は体性感覚に分類される。

 

体性感覚は、皮膚感覚や深部感覚がある。

 

臓器感覚は、内臓痛覚と臓器感覚があり、臓器の痙攣を痛みと感じたり、空腹感を感じたりする感覚である。

 

といったように問題の正答だけを覚えるではなく、設問の解答のポイントを読み取り、必要な事項を調べ、理解していくことが重要になります。

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は年齢調整死亡率と粗死亡率についてです。

 

年齢調整死亡率と粗死亡率、どちらも死亡率ですが、少々意味合いが違います。

 

看護師のレビューブックなどにも記載されていますが、かなり簡略化されているため、その意味がわからず、なんとなくで進んでいる方もいるかと思います。

 

そういった問題を解消するために、この記事では年齢調整死亡率の意味合いを説明していきます。

 

粗死亡率の考え方(令和4年の日本の死亡者数と死亡率)

 

令和4年の日本の死亡者数は、約157万人です。

 

令和4年の日本の総人口は、1億2,495万人です。

 

これらの指標から、粗死亡率は計算することができます(年央人口で計算するため、計算の答えに若干の誤差があります)。

 

粗死亡率の計算方法

 

157万人÷1億2,495万人×1,000=12.9(人口千対)

 

つまり、日本の総人口と全死亡数から計算されたものが粗死亡率となります。

 

人口千対というのは、日本の総人口が1000人だった場合、死亡数は12.9人となるということを意味しています。

 

ちなみに、出生率も同様の計算ができます。

 

出生率の計算方法

 

令和4年の日本の出生数は、約77万人となります。

 

出生率は、77万人÷1億2,495万人×1000=6.3(人口千対)

 

日本の人口が1,000人だった場合、出生数は6,3人となることを意味しています。

 

令和4年の死亡数は157万人、出生数は77万人、つまり、令和4年の日本では、80万人もの人口減少が起きています。

 

日本では少子高齢化が大きな問題となっています。

 

 

年齢調整死亡率とは

 

粗死亡率の計算は先述した通り、

 

死亡者数÷日本の総人口×1000となります。

 

日本では高齢化が進んでいる影響で、死亡者数は毎年増加傾向にあります。

 

また、死亡者数の増加に加え、出生数は減少傾向にあるため、日本の総人口は減少傾向にあり、粗死亡率は年々上昇しています。

 

そこで、高齢化の影響を排除するために活用されるのが年齢調整死亡率になります。

 

年齢調整死亡率では、単純に死亡者数÷総人口という計算をするのではなく、

年代ごとの死亡率を算出し、その各年代の死亡率を平成27年の高齢化が進んでいない人口に当てはめて死亡率を計算してみる、という考え方になります。

 

年齢調整をして死亡率を算出してみると、男性では14.4、女性では7.9(人口千対)となります。

 

年齢調整死亡率の特徴と計算方法

 

先述しているように、年齢調整死亡率では、年齢構成が異なる人口集団の死亡率を、年齢構成の影響を取り除いて比較することができます。

 

例として以下のようなA村とB町があったとします。

 

A村    人口   死亡数

0~14才  5000人   5人

15~64才  20000人  20人

65才以上 15000人  150人

合計   40000人  175人

 

A村の粗死亡率:175÷40000×1000=4.375(人口千対)

 

B町    人口   死亡数

0~14才  10000人  10人

15~64才  25000人  25人

65才以上 5000人    100人

合計   40000人  135人

 

B町の粗死亡率:135÷40000×1000=3.375(人口千対)

 

上記の結果を比較すると、A村の方が粗死亡率は高くなります。

 

年齢調整死亡率の計算方法

 

A村とB町では年齢構成が違い、直接死亡率を比較することは難しいため、以下のようなC市というモデルを使って比較します。

 

C市    人口

0~14才  15000人

15~64才  55000人

65才以上 30000人

合計   100000人

 

 

まずはA村の各年代の死亡率を算出し、C市の人口に当てはめて考えてみます。

 

A村    人口   死亡数  死亡率

0~14才  5000人   5人   0.001

15~64才  20000人  20人    0.001

65才以上 15000人  150人   0.01

合計   40000人  175人

 

A村の死亡率をC市のモデル人口にあてはめると、各年代の死亡数が以下のように算出されます。

 

C市    人口   死亡率  死亡数

0~14才  15000人  0.001   15人

15~64才  55000人  0.001   55人

65才以上 30000人   0.01    300人

合計   100000人      370人

 

A村の年齢調整死亡率:370÷100000×1000=3.7(人口千対)となります。

 

 

次に、B町の各年代の死亡率を算出し、C市の人口に当てはめて考えます。

 

B町    人口   死亡率  死亡率

0~14才  10000人  10人   0.001

15~64才  25000人  25人   0.001

65才以上 5000人    100人    0.02

合計   40000人  135人

 

B町の死亡率をC市のモデル人口にあてはめると、各年代の死亡数が以下のように算出されます。

 

C市    人口   死亡率  死亡数

0~14才  15000人  0.001   15人

15~64才  55000人  0.001   55人

65才以上 30000人   0.02    600人

合計   100000人      670人

 

B町の年齢調整死亡率:670÷100000×1000=6.7(人口千対)

 

年齢調整死亡率で比較してみると、A村よりもB町の方が死亡率が高くなっていることが分かります。

 

このように、高齢化の影響を排除するために用いられるのが年齢調整死亡率になります。

 

結果を考察すると、A村は少子高齢化が進んできているが、元気な高齢者が多く、高齢者の死亡率は低い、と考えることができます。

 

まとめ

 

年齢調整死亡率では、年齢の影響を排除して、死亡率を算出することができる。

 

粗死亡率は、単純に総死亡数÷総人口(×1000)で算出することができる。

 

令和4年の日本の総人口は1億2495万人、死亡者数は157万人、出生数は77万人。

→死亡率は12.9、出生率は6.3(人口千対)。

 

看護師の国家試験では、計算までは出題されませんが、死亡者数や死亡率の数値などは暗記しておくことが重要です。

 

保健師の国家試験では、計算問題も出題範囲なので、計算方法や計算結果の意味も分かるようにしておくことが大事です。

 

 

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

必修問題を効果的に得点UPするために、必修問題の出題基準に沿って、問題をまとめています。

 

看護師国家試験の必修問題の分析についてはこちらの記事へ

 

 

どのように問題を解き、解説を覚えることが重要かも記載しています。

 

ただ問題を解くに終わらず、関連事項もまとめて覚えていくことが重要になります。

 

出題基準:人口動態・人口静態

 

問題1 令和4年(2021年)の日本の総人口に最も近いのはどれか。
1. 1億人
2. 1億500万人
3. 1億2500万人
4. 1億4500万人

 

 

 

解答:3

 

日本の総人口は令和4年10月1日現在、1億2,495万人である。

 


 

問題2 令和3年の日本の人口推計で10年前より増加しているのはどれか。
1. 総人口
2. 年少人口
3. 老年人口
4. 生産年齢人口

 

 

解答:3

 

老年人口のみ増加している。

 


 

問題3 日本における令和4年の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。
1. 19%
2. 29%
3. 39%
4. 49%

 

 

解答:2

 

老年人口は29.0%である。

 


 

問題4 令和4年における日本の高齢化率はどれか。
1. 9%
2. 19%
3. 29%
4. 39%

 

 

解答:3

 

問題3と同様。高齢化率とは、総人口に占める老年人口の割合のことである

 


 

問題5 日本の令和3年の生産年齢人口の構成割合に最も近いのはどれか。
1. 49%
2. 59%
3. 79%
4. 89%

 

 

解答:2

 

生産年齢人口の構成割合は59.4%である。

 


 

問題6 人口年齢区分における15歳から64歳までの年齢区分はどれか。
1. 従属人口
2. 年少人口
3. 老年人口
4. 生産年齢人口

 

 

解答:4

 

【補足:レビューブックより】

 


 

問題7 労働力調査による労働力人口の令和3年の平均に最も近いのはどれか。
1. 4900万人
2. 5900万人
3. 6900万人
4. 7900万人

 

 

解答:3

 

労働力人口とは、15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を合わせたもので、令和4年は6,902万人。

 


 

問題8 日本の将来推計人口で令和52年(2070年)の将来推計人口に最も近いのはどれか。
1. 6700万人
2. 8700万人
3. 1億700万人
4. 1億2700万人

 

 

解答:2

 

令和5年の将来推計人口によると、総人口は今後長期にわたって減少過程に入り、2056年には1億人を下回り、2070年には8,700万人になると推計されている。

 


 

問題9 日本の令和4年(2022年)における家族の世帯構造で最も少ないのはどれか。
1. 単独世帯
2. 三世代世帯
3. 夫婦のみの世帯
4. 夫婦と未婚の子のみの世帯

 

 

解答:2

 

下記記載の【資料:世帯構造別にみた世帯数の割合の推移】を参照

 


 

問題10 令和4年の国民生活基礎調査で,世帯総数における核家族世帯の割合に最も近いのはどれか。
1. 27%
2. 43%
3. 57%
4. 73%

 

 

解答:3

 

核家族世帯は、全世帯の57.1%を占める

 


 

問題11 令和元年の国民生活基礎調査で,単独世帯の占める割合はどれか。
1. 12.9%
2. 32.9%
3. 52.9%
4. 72.9%

 

 

解答:2

 

単独世帯は32.9%

 


 

問題12 令和元年の家族世帯構造で最も多いのはどれか。
1. 夫婦と未婚の子のみの世帯
2. 三世代世帯
3. 単独世帯
4. 母子世帯

 

 

解答:3

 

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、採血ミスによる溶血で上昇する物質、何故カリウムが上昇するのか?という問いに答えていきます。

 

採血がうまくいかず溶血してしまうと、カリウムが上昇するというのは、看護師になると自然と覚えてしまっています。

 

しかし、何故上昇するのか?というと答えられないという方もいます。

 

忘れない知識とするために、根拠も必ず一緒に覚えるようにしましょう。

 

溶血とは?

 

溶血とは、簡単に説明すると、赤血球が崩壊し、溶けてしまうような状態です。

 

(溶血性貧血は、なんらかの理由で赤血球が過剰に破壊されてしまい、貧血に陥ってしまう病態です。)

 

採血時に起こる溶血の原因は、採血に用いる針が細すぎた場合や採血時に陰圧をかけすぎる場合などが多いです。

 

国試には、採血時に用いる注射針のG数は?という問題も出題されますので、必ず覚えておいてください。

 

答えは22G(20-22G)です。

 

では、なぜ溶血するとカリウムの値が上昇するのでしょうか?

 

溶血によりカリウムが上昇する原因

 

溶血とは、赤血球が崩壊することでしたね。

 

つまり、赤血球の中にある細胞内液が血漿中に漏れ出てきてしまうことになります。

 

細胞内液と血漿中の電解質の差を思い出してみてください。

 

血漿中には、K:4.0mEq/L程度とわずかな量しかありませんが、細胞内液中には、K:150mEq/Lもあります。

 

採血時に赤血球が崩壊し、血球内の細胞内液が血漿中に漏れ出てきてしまうと、カリウムの値が上昇してしまうということが分かるかと思います。

 

逆に、Naを考えてみると、血漿中にはNa:140mEq/Lありますが、細胞内液にはNa:10mEq/L程度しかありません。

 

採血時に溶血しても上昇することはありません。

 

この細胞内外の電解質濃度の差が国家試験で問われています。

 

溶血に関する過去問

 

第111回午後79問目

採血時に操作を誤ったため溶血し、採血管内の血漿が暗赤色になってしまった。この血漿の電解質濃度を測定したときに、本来の値よりも高くなるのはどれか。

 

1.塩化物イオン

2.重炭酸イオン

3.カリウムイオン

4.カルシウムイオン

5.ナトリウムイオン

 

答え: 3 カリウムイオン

 

塩化物イオン、重炭酸イオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオンはそれぞれ細胞内液よりも血漿中に多く含まれているため、上昇することはありません。

 

まとめ

 

溶血とは、赤血球がなんらかの原因で崩壊し、赤血球中の細胞内物質が血漿に漏れ出てくることである。

 

溶血した血液の電解質濃度を測定した場合、細胞内液に多く含まれる電解質:カリウムの値が上昇して測定される。

 

細胞内液よりも血漿に多く含まれる電解質(ナトリウムなど)は上昇しない。

 

「溶血したらカリウムが高くなる」とだけ覚えるのではなく、なぜ・どうしても合わせて覚えることをぜひ心がけてください。

 

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、【第113回看護師国家試験】必修問題50問を解説します。

 

まだ、完全な正答はありませんので、個人的な見解で解答・解説をします。

 

P1. 令和3年の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。

 

  1. 1. 77年
  2. 2. 82年
  3. 3. 87年
  4. 4. 92年

 

解答:3

 

よくある問題ですね。男性は82歳、女性は87歳です。

 

P2. 日本人の食事摂取基準に示されている、18-49歳女性(月経あり)の鉄摂取推奨量はどれか。

 

  1. 1. 5.5mg/日
  2. 2. 10.5mg/日
  3. 3. 15.5mg/日
  4. 4. 20.5mg/日

 

解答:2

 

塩分なら覚えているけど・・というような問題ですね。正答率は低そうな問題で、隅々まで覚えられているか問われているようです。

 

P3. 労働安全衛生法に規定されているのはどれか。

 

  1. 1. 失業手当の給付
  2. 2. 年少者の労働条件
  3. 3. 過労死に関する調査研究
  4. 4. 労働者に対する健康診断

 

解答: 4

 

労働安全衛生法といえば、健康診断と覚えていた方は多かったのではないでしょうか。

 

P4. 平成13年の「身体拘束ゼロの手引き」において身体拘束の禁止対象となる行為はどれか。

 

  1. 1. L字バーを設置する。
  2. 2. 離床センサーを設置する。
  3. 3. 点滴ルートを服の下に通して視野に入らないようにする。
  4. 4. ベッドを柵(サイドレール)で囲んで降りられないようにする。

 

解答:4

 

必修問題でもあまり見ない問題ですが、消去法で4を選べたかどうかでしょうか。平成13年とかに目を奪われ、余計なことを考えなければ正解できそうな問題です。

 

P5. 看護師の業務従事者届の届出先はどれか。

 

  1. 1. 保健所長
  2. 2. 厚生労働大臣
  3. 3. 都道府県知事
  4. 4. 都道府県ナースセンターの長

 

解答:3

 

看護師の業務従事者届は、2年ごとに、都道府県知事に届けることになっています。看護師免許の交付元は厚生労働大臣です。

 

P6. 成長・発達における順序性で正しいのはどれか。

 

  1. 1. 頭部から脚部へ
  2. 2. 微細から粗大へ
  3. 3. 複雑から単純へ
  4. 4. 末梢から中心へ

 

解答:1

 

頭部から脚部へ進みます。2,3,4は逆ですね。

 

P7. 第二次性徴が発現し始めた思春期に関心が向くのはどれか。

 

  1. 1. 善悪の区別
  2. 2. 仕事と家庭の両立
  3. 3. 自己の身体の変化
  4. 4. 経済力の確保と維持

 

解答:3

 

第二次性徴により、自己の身体の変化に関心が向きます。

 

P8. 老化に伴う視覚の変化で正しいのはどれか。

 

  1. 1. 視野が狭くなる
  2. 2. 近くが見やすくなる。
  3. 3. 色の識別がしやすくなる。
  4. 4. 明暗順応の時間が短縮する。

 

解答:1

 

老化の基本的な知識なので、落ち着いて解けば分かるかと思います。遠視になり、識別や暗順応などの能力が低下し、視野も狭くなります。

 

P9. 人口統計資料集2020年版における生涯未婚率(50歳時の未婚割合)で、2010年から2020年の推移で適切なのはどれか。

 

  1. 1. 変化はない
  2. 2. 下降し続けている
  3. 3. 上昇し続けている
  4. 4. 上昇と下降を繰り返している。

 

解答:3

 

新しい問題ですが、時事問題と捉え、現状の日本を考慮すると、正答にたどり着けるかと思います。

 

P10. 令和2年の人口動態統計における合計特殊出生率に最も近いのはどれか。

 

  1. 1. 0.8
  2. 2. 1.3
  3. 3. 1.8
  4. 4. 2.3

 

解答:2

 

頻出問題なので、これは大丈夫だったのではないかと思います。

 

P11. 上行大動脈から分岐するのはどれか。

 

  1. 1. 冠状動脈
  2. 2. 腕頭動脈
  3. 3. 左総頸動脈
  4. 4. 左鎖骨下動脈

 

解答:1

 

上行大動脈すぐに分岐するのが、冠状動脈です。解剖の問題なので、解剖の理解が不十分だった人には難しかったかもしれません。

 

P12. 膵管と合流して大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)に開口するのはどれか。

 

  1. 1. 肝管
  2. 2. 総肝管
  3. 3. 総胆管
  4. 4. 胆嚢管

 

解答:3

 

P11に続いて解剖的な問題です。肝臓から左右の肝管が出て、合わさって総肝管となり、胆嚢が出る胆嚢管と総肝管が合流し、総胆管となり、ファーター乳頭に開口します。

 

P13. 正期産となる出産時期はどれか。

 

  1. 1. 妊娠35週0日から39週6日
  2. 2. 妊娠36週0日から40週6日
  3. 3. 妊娠37週0日から41週6日
  4. 4. 妊娠38週0日から42週6日

 

解答:3

 

正期産の出産時期は頻出問題なので、大丈夫だったのではないでしょうか。

 

P14. 器質的変化で嚥下障害が出現する疾患はどれか。

 

  1. 1. 食道癌
  2. 2. 脳血管疾患
  3. 3. 筋強直性ジストロフィー
  4. 4. ギランバレー症候群

 

解答:1

 

器質的な問題と機能的な問題を考えて、解くような問題ですね。器質的という意味が分かれば正答できたかと思いますが、やや難易度は高めかと思います。

 

P15. 高血圧が原因で起こりやすいのはどれか。

 

  1. 1. 脳出血
  2. 2. 脳塞栓症
  3. 3. 脳動静脈奇形
  4. 4. 急性硬膜下血腫

 

解答:1

 

高血圧が原因で起こるものを推理して解くような問題ですね。高血圧が原因で起こりうるのは、脳出血になります。脳塞栓症は心房細動、脳動静脈奇形は奇形、硬膜下血腫は頭を打つなどが要因になりそうなので、消去法でも解けそうかと思います。

 

P16. 手術予定の患者が服用している場合、安全のために術前の休薬を検討するのはどれか。

 

  1. 1. 鉄剤
  2. 2. 抗血小板薬
  3. 3. 冠血管拡張薬
  4. 4. プロトンポンプ阻害薬

 

血が固まりにくくなる抗血小板薬は安全のために休薬が必要になります。

 

P17. 看護過程における客観的情報はどれか。

 

  1. 1. 家族の意見
  2. 2. 患者の表情
  3. 3. 患者の痛みの訴え
  4. 4. 患者の病気に対する思い

 

表情以外は主観的情報になります。意見、訴え、思いは S情報になりますね。

 

P18. フィジカルアセスメントで問診の次に行うのはどれか。

 

  1. 1. 視診
  2. 2. 触診
  3. 3. 打診
  4. 4. 聴診

 

解答:1

 

身体に侵襲の少ない順にアセスメントすることが重要です。

 

P19. 男性の導尿でカテーテルを挿入するとき、体幹に対する頭部側からの挿入角度はどれか。

 

  1. 1. 0-10度
  2. 2. 40-50度
  3. 3. 80-90度
  4. 4. 120-130度

 

解答:3

 

基礎看護の基礎的な問題ですし、過去問にもあるので、正答率は高そうです。

 

P20. 床上で排便しやすい体位はどれか。

 

  1. 1. 仰臥位
  2. 2. 側臥位
  3. 3. シムス位
  4. 4. ファウラー位

 

解答:4

 

こちらも基礎看護の基礎的な問題なので、大丈夫だったのではないでしょうか。

 

P21. ストレッチャーでの角の曲がり方で適切なのはどれか。

 

(※図式の問題なので、画像がありません)

 

解答:1

 

ストレッチャーの基本原則は足側へと進みます。ただ、問題の1と3はどちらも足側から進んでいるので、選択肢3も絶対に間違いとは言えないように思います。

選択肢3は方向転換が急すぎるため、患者への負担を考えると、不適なように見えます。

 

P22. 成人の静脈血採血の穿刺部位で適切なのはどれか。

 

  1. 1. 腋窩動脈
  2. 2. 上腕動脈
  3. 3. 腕頭動脈
  4. 4. 肘正中皮静脈

 

解答:4

 

頻出な基礎看護の採血の問題かと思いますので、大丈夫だったかと思います。

 

P23. AEDを使用するときに、胸骨圧迫を中断するのはどれか。

 

  1. 1. 電源を入れるとき
  2. 2. 電極パットを貼るとき
  3. 3. 心電図の解析中
  4. 4. 電気ショックの直後

 

解答:3

 

基本的に心停止時は常に胸骨圧迫をしておくことが重要ですが、心電図解析中に胸骨圧迫をすると不整脈を検知できないため、中断することが必要です。

 

P24. 側臥位における褥瘡の好発部位はどれか。

 

  1. 1. 後頭部
  2. 2. 耳介部
  3. 3. 仙骨部
  4. 4. 肩甲骨部

 

解答:2

 

正答以外は仰臥位における褥瘡の好発部位になります。

 

P25. 緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。

 

  1. 1. コデイン
  2. 2. アスピリン
  3. 3. アトロピン
  4. 4. ジゴキシン

 

解答:3

 

頻出の薬理学の問題になります。抗コリン薬であるアトロピンと抗血小板薬であるアスピリン、名前が似ているため混乱してしまった人もいるかもしれません。

 

午後25問のまとめ

 

午前中よりも午後の方が解きやすい問題が多かったように思います。

 

しかし、解剖の問題はやや難しく、最後の薬理学の問題も抗コリン薬ではなく、アトロピンを選択させるなど、簡単に解けないように工夫をしているように思います。

 

必修50問のまとめ

 

過去問を勉強していれば解けるような頻出問題も多く見られました。

 

一方で、過去問などで一度も見たことが無いような問題も見られ、時事問題を考慮して推理して解く、一般問題の知識を噛み砕いて解くような問題もあったように思います。

 

昨年と比較すると、今年の方が難易度は高く、平均点も下がりそうな印象です。

 

 

 

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