年別:2023年

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、神経伝達物質の種類と特徴 ~アセチルコリンとノルアドレナリン~です。

 

神経伝達物質は目に見えない上に、働きも様々で分かりにくい分野です。

 

神経伝達物質の種類は多いですが、国家試験に出題されるものは主要なものだけですので、全体を把握しつつ、主要なものの働きを覚えられるようにまとめました。

 

神経伝達物質の種類

 

国家試験で問われたことのある神経伝達物質は、以下の6種類です。

 

①アセチルコリン

②ノルアドレナリン(とアドレナリン)

③ドパミン

④セロトニン

⑤GABA

⑥グルタミン酸

 

頻出はアセチルコリンとノルアドレナリンなので、この2種は最後に解説します。

 

⑤GABAと⑥グルタミン酸:脳内でニューロンの働きに関与する

 

⑤GABAは最近テレビなどでも耳にする言葉かと思います。

 

働きは、中枢神経系(脳)で、ニューロンの興奮を抑制することです。

 

そのため、GABAをとることで、身体を落ち着かせることができるといわれています。

 

逆に、⑥グルタミン酸は、中枢神経系で、ニューロンを興奮させる作用があります。

 

④セロトニン:幸せホルモン

 

セロトニンは幸せホルモンと呼ばれているものです。

 

気分を落ち着かせる作用などがありますので、セロトニンが不足することでうつ症状になると言われています。

 

脳内でのセロトニンの再取り込みを阻害する薬が、抗うつ薬として使われています。(SSRI、SNRIなど)

 

③ドパミン:脳内報酬系の活性

 

ドパミンは、何かを達成したときに快く感じる要因となる神経伝達物質です。

 

中脳黒質から産生され、中枢神経系(脳内)作用します。

 

③〜⑥を問う問題は、あまり無いかと思いますが、予備知識として覚えておいてください。

 

①アセチルコリンと②ノルアドレナリンの違い

 

神経伝達物質の問題では、①アセチルコリンと②ノルアドレナリンが頻出です。

 

問題のポイントとなるのは以下の部分です

 

①アセチルコリンは副交感神経終末運動神経終末での神経伝達物質であり、

 

②ノルアドレナリンは交感神経終末での神経伝達物質であるということです。

 

上記の特徴を言い換えると、

 

①アセチルコリンは、副交感神経の興奮によって収縮する筋肉運動神経に支配される骨格筋を支配しているということです。

 

一方、②ノルアドレナリンは、交感神経の興奮によって収縮する筋肉を支配しています。

 

支配する筋肉についての問題が出題されるのは、この部分を理解できているかを問いています。以下のような問題です。

 

問. アセチルコリンで収縮するのはどれか。

 

  1. 1.心筋
  2. 2.排尿筋
  3. 3.腓腹筋
  4. 4.立毛筋
  5. 5.瞳孔散大筋

 

アセチルコリンで収縮するのは、副交感神経の興奮によって収縮する筋肉運動神経に支配される骨格筋を選ばなければなりません。

 

まず一つ目は、3.腓腹筋です。

 

これは骨格筋ということで選びます。なんとなく理解しやすいかと思います。

 

次に問題となるのは、副交感神経の興奮で収縮する筋肉は何かを理解しておくことが必要です。

 

交感神経と副交感神経の違い

 

交感神経と副交感神経を簡単に説明すると、両者の違いは以下のようになります。

 

交感神経が興奮することで起こる身体の反応は、瞳孔散大、気管支拡張、脈拍増加、排尿筋の弛緩(畜尿)、立毛筋の収縮などです。

 

副交感神経が興奮することで起こる身体の反応は、瞳孔縮小、気管支収縮、脈拍低下、排尿筋の収縮(排尿)など交感神経と反対の反応が起こります。

 

つまり、アセチルコリンで収縮する筋肉=副交感神経の興奮で起こる身体の反応(収縮する筋肉)排尿筋の収縮や瞳孔を収縮させる瞳孔括約筋になります。

 

選択肢の正解は、2.排尿筋となります。

 

(瞳孔散大させる瞳孔散大筋や立毛筋は、交感神経支配の筋肉となり、ノルアドレナリンの働きで収縮します。)

 

アセチルコリンとノルアドレナリンの働きをしっかりと理解して覚えることが大切です。

 

②ノルアドレナリンとアドレナリンの違い

 

最後に、ノルアドレナリンとアドレナリンの違いについてです。

 

どちらもカテコールアミンであり、作用など明確には区別して明記されていませんので、そこまで深く追い求める必要は無い部分かと思いますが、気になる方も多いので、簡単に説明します。

 

簡単に区分すると、アドレナリンはホルモン(兼神経伝達物質)、ノルアドレナリンはホルモン+神経伝達物質となり、アドレナリンの方が作用する範囲が狭いです。

 

基本的に、アドレナリンは副腎髄質ホルモンで血圧を上昇する作用などを持ちますが、血液脳関門を通過できないため、脳など中枢神経系では働きません

 

ノルアドレナリンは、副腎髄質からも産生されますが、交感神経節でも産生される神経伝達物質でもあるので、中枢神経系でも働きます。(そのため、精神症状にも関わってきます。)

 

まとめると、産生場所の違いにより、作用範囲が少し異なるが、作用に大きな差は無いと考えて良いかと思います。

 

結局は、ストレスなどを感じると、自律神経が刺激され、アドレナリンやノルアドレナリンが放出されるため、血圧上昇、不安、恐怖などの身体症状が起こります。

 

まとめ

 

神経伝達物質は、6種類程度あるが、ポイントはアセチルコリンとノルアドレナリン。

 

①アセチルコリンは副交感神経終末運動神経終末で活躍する神経伝達物質である。

 

②ノルアドレナリンは交感神経終末で活躍する神経伝達物質である。

 

アセチルコリンで収縮する筋肉、ノルアドレナリンで収縮する筋肉が分かるために・・

 

交感神経や副交感神経が興奮した時に起こる身体反応を覚えておくことが重要である。

 

アセチルコリンを止める薬が抗コリン薬・・と薬剤の話にもつながってきますので、難しいですが、しっかりと理解しましょう。

タグ

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、小児の発達過程について、解説していきます。

 

小児の発達過程というと、モラトリアム、ギャングエイジ、心理的離乳、分離不安・・、といった用語が並べられます。

 

その中に、空の巣症候群や青い鳥症候群など、似ていそうな用語も並べてくるので、毛嫌いしてしまいつつある部分です。

 

小児看護の国試対策のポイントとしては、ごちゃごちゃとすべてを丸覚えしようとするのではなく、一つ一つを整理しながら、小児の成長段階も踏まえながら、ストーリーにしながら、覚えていくことになります。

 

分離不安:生後6ヶ月〜 人見知りの原因

 

数ある用語の中で、最初に出てくるキーワード:分離不安

 

分離不安とは、基本的に母親と離れ離れになることを不安に思う状態です。

 

母親などなじみのある人と、見知らぬ人との区別がつくようになり、なじみのある人と離れ離れになることを恐れるようになるため、人見知りや後追いが始まります。

 

生後6ヶ月頃から始まるというのも重要なポイントです。

 

ギャングエイジ:学童期 〜徒党時代〜

 

ギャングエイジとは、小学校3-4年生にみられる、反抗期のようなものです。

 

子供同士だけで徒党を組んで、親や先生にも反抗し、反抗的な言動がみられたりします。

 

学級崩壊に陥りやすい学年でもあり、ギャングエイジは親や先生にとっては厄介な時期ですが、正常な成長発達過程を辿っていると考え、見守ることが大事な時期でもあります。

 

心理的離乳:思春期におけるアンビバレントな感情

 

心理的離乳とは、思春期に親への依存状態から抜け出し、心理的に自立しようとすることを指します。

 

その一方で、これまでどおり親への依存を保っておきたいという気持ちもあります。

 

その両方の感情をもつことを両価性(アンビバレント)な感情を持つと表現されます。

 

親に干渉されたくないと思いつつも、経済面や様々な面では親の援助を受けたいという複雑な感情を持つという、これも正常な子どもの発達なので、見守ってあげることが大事です。

 

思春期と青年期の違い

 

思春期と青年期は時期的に重複しており、分かりづらい部分です。

 

基本的には、青年期の方が広い概念で、11歳〜20歳(大学卒業くらいまで)を指します。

 

その青年期の初期、11〜14歳(中学生くらい)を思春期と呼びます。

 

モラトリアム :青年期の「成人までの猶予期間」

 

モラトリアムは、エリクソンが提唱した発達心理学の用語なので、覚えているという方も多いかと思います。

 

子どもと大人の境界で、大人の領域に踏み込めず、うろうろとしている状態です。

 

高校生〜大学生〜社会人初期の人々がここに該当し、自己を探し求めています。

 

青い鳥症候群

 

青い鳥症候群とは、現実の自分を受け入れられず、自分にはもっと力があり、能力を発揮できる場所があるはずと、理想の職場を探し求めるような状態を指します。

 

自我を探し求めているモラトリアムとよく似ている概念です。

 

違いとしては、青い鳥症候群は自分の能力が発揮できない原因が職場などの環境にあるとし、転職などを繰り返してしまう、他力本願的な状態にあるということです。

 

自分に原因が無いと思いがちであるため、自分自身が成長できず、環境は好転しないまま、うつ病に移行してしまうこともあります。

 

空の巣症候群:子どもが巣立った後の母に見られる

 

こちらも同じような名称な症候群ですが、小児成長発達には分類されないものです。

 

空の巣症候群は、子どもが結婚などで巣立ってしまい、巣の中(家の中)が空っぽになってしまった状態になり、一種の喪失体験のようなものを感じている状態です。

 

子育てを生きがいとしていた主婦に多く見られます。

 

看護師国家試験過去問

 

以下のように、似た概念が並べて出題されます。

 

Q. 発達段階と心の健康問題の組合せで最も関連が強いのはどれか。
1. 幼児期 ― 摂食障害
2. 青年期 ― 分離不安
3. 成人期 ― アルコール依存症
4. 老年期 ― 青い鳥症候群

 

解答 3

 

分離不安は人見知りの原因、青い鳥症候群は、青年期の若者が自分の居場所を探し求めている時期です。

 

アルコール依存は、飲酒ができる成人期〜くらいに関連が強いです。

 

まとめ

 

ここで挙げたもの以外にも似た概念はありますが、重要なものを確実に覚えることが重要になります。

 

・分離不安:人見知りの原因=6ヶ月くらい

・ギャングエイジ:学童期の徒党時代=小3-4

・心理的離乳:思春期の中学生くらい

・モラトリアム:青年期

 

・青い鳥症候群:青年期〜「自分の居場所を求めて飛び回る」

・空の巣症候群:子どもが巣立った後の喪失感

 

用語と簡単な特徴を一括りにして、覚えていきましょう。

カテゴリー
タグ

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、ネフローゼ症候群についてです。

 

ネフローゼ症候群は、成人だけでなく小児の問題でも出題されるため、出題されやすい問題です。

 

ネフローゼ症候群となる機序を理解し、症状をしっかりと理解しましょう。

 

~はじめに~ ネフローゼ症候群は疾患ではない

 

ネフローゼ症候群は、何かしらの原疾患により糸球体に障害が起こり、正常であればろ過されないはずのタンパク質が尿として流出するために起こる病態、になります。

 

ネフローゼ症候群になる原疾患の例は以下のようなものです。

 

糖尿病性腎症

ループス腎炎

微小変化型ネフローゼ症候群

IgA腎症

アミロイド腎症

etc・・・

 

『ネフローゼ病』では無いということをまずは覚えておきましょう。

 

ネフローゼ症候群の診断基準

 

ネフローゼ症候群は4つの診断基準があり、そのうち①②は必須条件となります。

 

①タンパク尿:3.5g/日以上

②低アルブミン血症:血漿アルブミンが3.0g/dl以下

③浮腫

④脂質異常症

 

診断基準を丸覚えするのではなく、機序を理解することが大事です。

 

ネフローゼ症候群の機序

 

ネフローゼ症候群の機序を①→②→③④というように、流れで覚えることが重要です。

 

①タンパク尿

 

先述のとおり、何かしらの原疾患により糸球体が障害されるため、正常であればろ過されない、タンパク質が尿として流出してしまうため、タンパク尿となります。

 

②低アルブミン血症

 

正常であればろ過されずに体内に残るタンパク質が、ろ過されて尿として排出されてしまいます。

 

そのため、体内のタンパク質(アルブミン)が低下してしまい、低アルブミン血症となります。

 

③浮腫

 

アルブミンは血管内に水を引き付ける力(=膠質浸透圧)の源です。

 

低アルブミン血症になると、血管内に水を引き付ける力が弱まり、間質液に水が貯留してしまうため、浮腫となります。

 

④高脂血症

 

アルブミンは肝臓で合成されます。

 

低アルブミン血症になると、肝臓はアルブミンを合成し、元の量に戻そうとします。

 

その際、肝臓はコレステロールも同時に合成してしまうため、コレステロール量が多くなるため、高脂血症となります。

 

ネフローゼ症候群の治療と看護

 

ネフローゼ症候群の治療と看護は、大きく以下の4つに分けられます。

 

①保温・安静

②食事療法

③薬物療法

④感染対策

 

①保温・安静

 

低体温の状態や、運動のように体を動かすと、体内にあるタンパク質を代謝してエネルギーをつくる異化が亢進してしまいます。

 

タンパク質を代謝すると、代謝産物が産生され、腎機能に悪影響を与え、ネフローゼ症候群が悪化する可能性があります。

 

できるだけ、保温・安静を保ち、腎血流を維持することが重要となります。

 

②食事療法

 

◉塩分制限:浮腫を軽減するため。

 

◉高エネルギー食:体内にあるタンパク質の代謝を防ぐため。

 

◉低たんぱく食:タンパク質の代謝産物が腎臓に悪影響を与えるため。(小児の場合は、あまり制限しない)

 

③薬物療法

 

副腎皮質ステロイド薬を用います。

 

ステロイドの副作用として、満月様顔貌、易感染、肥満、多毛、骨粗しょう症などがあるため、観察が必要です。

 

④感染対策

 

低アルブミン血症=低栄養状態であり、免疫力が低いため、易感染の状態です。

 

加えて、ステロイドの副作用で易感染の状態となっているので、感染対策が重要です。

 

まとめ

 

ネフローゼ症候群とは、何かしらの原疾患により、糸球体が障害されたために以下のことが起こる症候群である。

 

①糸球体からのタンパク質の流出(=タンパク尿

②体内からタンパク質の流出による低アルブミン血症

③低アルブミン血症(膠質浸透圧の低下)による浮腫

④肝臓でのコレステロール合成量の増加による高脂血症

 

①~④の治療のため、

 

保温・安静、食事療法、薬物療法、感染対策が重要である。

タグ

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は白血病の種類とそれぞれの特徴について、簡単に解説します。

 

白血病と一言で言っても、種類と特徴を掴むのが難しいので、理解するための手がかりになればと思います。

 

白血病とは

 

白血病は、血液のがんと言われています。

 

血液の造血幹細胞が骨髄の中でつくられる過程でがん化することで、白血病となります。

 

白血病の分類は、がん化した細胞がどの細胞なのか、によって決定されます。

 

血液の細胞ががん化し、血液が正常な働きができないため、主症状は貧血、出血傾向、易感染などになります。

 

そのため、白血病の患者さんは感染に注意しなければならず、部屋は無菌室・陽圧室にいるなどの問題も出題されます。

 

では、細かく見ていきます。

 

白血病の種類

 

『急性』か『慢性』、『骨髄性』か「リンパ性』の組み合わせで、大きくは4つに分類されます。

 

①急性骨髄性白血病

②急性リンパ性白血病

③慢性骨髄性白血病

④慢性リンパ性白血病

 

理由は以下のように、どの細胞が増殖するかで分類されます。

 

◉場所で分類すると、骨髄性リンパ性に分類される

 

骨髄性とリンパ性の違いは、がん化して増える細胞が、骨髄性由来のものか、リンパ性由来のものかで判別ができます。

 

※骨髄性とは、骨髄系肝細胞が好中球や赤血球、血小板など分化する過程。

 

※リンパ性とは、Bリンパ球やTリンパ球に分化する過程。

 

◉白血球の成熟度で分類すると、急性慢性に分類される

 

急性は成熟していない幼若な白血球が増加しますが、慢性は未熟なものから成熟したものまですべての白血球が増加します。

 

他の疾患は、急性が長引くと慢性となることがありますが、急性白血病と慢性白血病は意味合いが違うことも特徴です。

 

 

1.急性白血病(①急性骨髄性白血病・②急性リンパ性白血病)

 

①急性骨髄性白血病と②急性リンパ性白血病を合わせて、急性白血病とひとくくりにされて、看護の問題ではよく出題されます。

 

どちらも『急性』なので、幼若な白血球が著しく増加している状態で、成熟した細胞が減少してしまっています。

 

そのため、造血の3系統(赤血球・白血球・血小板)が減少しているため、

 

貧血や易感染、出血傾向などの汎血球減少の症状がみられます。

 

その他、骨髄や各臓器への白血病細胞の湿潤により、胸骨叩打痛、骨の自発痛、リンパ節腫脹、皮膚浸潤などの症状もあります。

 

骨髄性白血病とリンパ性白血病の違いを問われる問題としては、発生率の差があります。

 

◉成人では、骨髄性:リンパ性=4:1と骨髄性の方が頻度が高い

 

◉小児では、骨髄性:リンパ性=1:4とリンパ性の方が頻度が高い

 

小児看護の問題でも出題されるため、急性白血病の特徴はしっかりと理解しておきましょう。

 

急性白血病の治療と看護

 

抗がん剤投与により白血病細胞を崩壊させる、抗がん剤の効果が乏しい場合は造血幹細胞移植などがあります。

 

抗がん剤投与による白血病細胞の崩壊により、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症などの腫瘍崩壊症候群を起こす可能性があります。

 

そのため、急性腎障害や不整脈などのリスクがあると考えて、観察が必要です。

 

白血病の病態や治療を理解することも大事ですが、その病態や治療の副作用を理解した上でどのような看護(観察)をしていくことが必要かを理解しておきましょう。

 

寛解の目安は、骨髄穿刺で芽球が5%以下となります。

 

(白血病の急性期は芽球20%以上で、白血病裂孔がみられる)

 

③慢性骨髄性白血病

 

『慢性』なので、幼若なものから成熟したものまで、様々な白血球細胞が増殖します。

 

慢性骨髄性白血病の特徴は、染色体異常(フィラデルフィア染色体)が見られ、成人に多く発症します。

 

初期は無症状であり、脾腫などの左上腹部膨満感がみられる程度ですが、急激に悪化する(急性転化を起こす)と、急性白血病同様に、貧血・出血傾向・易感染の状態を示します。

 

④慢性リンパ性白血病(悪性リンパ腫)

 

『慢性』のリンパ性白血病なので、幼若なものから成熟したものまで、様々なリンパ球の腫瘍性細胞があります。

 

リンパ球はリンパ組織に存在しているため、初期はリンパ節の腫脹がみられます。

 

リンパ節の腫大が進むと、圧迫により、上下肢の浮腫などがみられます。

 

リンパ球は血流にのって流れるため、あらゆる臓器に病変が出現する可能性もあり、リンパ節の腫れも様々な部位に起こります。

 

症状も様々ですが、原因不明の発熱、大量の寝汗、体重減少などが見られます。

 

慢性リンパ性白血病は日本では稀なためか、同型の悪性リンパ腫の問題がよく出題されまています。

 

悪性リンパ腫の特徴

 

悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫に分類されます。

 

ホジキンリンパ腫はホジキン細胞やRS細胞などの大型細胞がみられます。

 

一方、非ホジキンリンパ腫は上記の大型細胞を認めないのが特徴で、日本人は非ホジキンリンパ腫が90%以上を占めています。

 

がん化しているリンパ腫の種類によって、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫に分類されます。

 

慢性リンパ性白血病は、B細胞リンパ球が増殖し、リンパ節腫脹や肝脾腫を認めます。

 

成人T細胞白血病T細胞リンパ腫の一種で、レトロウイルス(HTLV-1)がT細胞に感染し、腫瘍化することが原因です。症状は易感染など。

 

 

多発性骨髄腫

 

多発性骨髄腫は、B細胞の分化先の形質細胞に異常を認め、腫瘍性の形質細胞が増殖します。

 

症状は、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変や、異常な免疫グロブリンを産生するために、易感染状態にもなります。

 

まとめ

 

白血病は、血液細胞が分化する過程でがん化した病気で、血液細胞がどの細胞かによって分類される。

 

血液細胞が正常な働きをできないため、主症状は易感染・貧血・出血傾向である。

 

細胞の種類によって、骨髄性かリンパ性か、急性か慢性かが分類される。

 

急性白血病(骨髄性・リンパ性をまとめ)が頻出で、幼若な白血球(芽球)が増加することにより、易感染、貧血、出血傾向を認める。

 

慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体を認める。

 

慢性リンパ性白血病では、ホジキンリンパ腫や非ホジキンリンパ腫などに分類され、それぞれに特徴などがある。

 

白血病に細かく分類はありますが、原則は血液のがんになり、造血能に異常をきたすため、症状は類似しています。

 

それぞれの疾患に特有な症状などは、個別に覚えるようにしましょう。

 

 

タグ

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、ホルモンって何者?という大元となる疑問について解説していきます。

 

ホルモンの作られ方(化学構造)を理解すると、ホルモンの種類がわかり、ホルモンの受容体との関連も分かるので、前提知識として覚えておくことをおすすめします。

 

では、解説していきます。

 

ホルモンの元となるもの 〜3種類を理解する〜

 

ホルモンの種類は、化学構造に分類すると以下の3種類に分けられます。

 

①ペプチドホルモン

②ステロイドホルモン

③アミン・アミノ酸誘導体ホルモン

 

①ペプチドホルモン

 

アミノ酸がペプチド結合した、ポリペプチドから構成されます。

 

ペプチドホルモンの合成は、アミノ酸がペプチド結合するので、タンパク質の合成方法と同じになります。

 

また、アミノ酸が主体なので性質は水溶性です。

 

視床下部ホルモンや下垂体ホルモンなど、多数のホルモンが分類されます。

 

性質が水溶性なので、細胞膜を通過できません。

 

そのため、ホルモンの受容体は細胞膜上に存在します。

 

 

受容体に関する詳しい記事はこちらを参照ください。

 

②ステロイドホルモン

 

コレステロールから合成され、ステロイド骨格を持ちます。

 

(※コレステロールは酢酸から合成されるか、血中のリポ蛋白から供給され、それが酸化反応、水酸化反応し、ステロイドに変換されます。)

 

コレステロールが主体なので、脂溶性です。

 

副腎皮質ホルモンや性ホルモンが分類されます。

 

コレステロールは脂溶性なので、細胞膜を通過できます。

 

そのため、ホルモンの受容体は細胞質内にあります。

 

 

③アミン・アミノ酸ホルモン

 

①と同様、少数のアミノ酸で構成されています。

 

アミン型は、カテコールアミン(アドレナリンなど)が分類されます。

 

アミン型のホルモンは水溶性なので、細胞膜上に受容体があります。

 

要注意:アミノ酸型ホルモン

 

アミノ酸型ホルモンは甲状腺ホルモンだけが該当します。

 

アミノ酸で構成されているため、本来は水溶性のはずですが、甲状腺ホルモンはベンゼン環を2個もつため脂溶性となります。

 

アミノ酸型ホルモン=甲状腺ホルモン=脂溶性ホルモンと例外として覚えておいてください。

 

そのため、ホルモン受容体は細胞質内(核内)にあります。

 

まとめ

 

ホルモンの原料は、アミノ酸コレステロールである。

 

アミノ酸から構成されるホルモンは水溶性である。

 

例)視床下部ホルモン、下垂体ホルモンなど多くのホルモンが該当する

 

コレステロールから構成されるホルモンは脂溶性である。

 

・副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン)

・性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン)

 

アミノ酸型ホルモンである甲状腺ホルモンは例外として脂溶性である。

 

・甲状腺ホルモン(T3:トリヨードサイロニン、T4:サイロキシン)

 

ホルモンは、アミノ酸かコレステロールから作られていることを覚えておきましょう。

 

作られる場所は内分泌臓器(甲状腺や膵臓、副腎など)です。

 

 

 

タグ

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、看護師国家試験、必修問題-出るとこまとめ集-part1です。

 

必修問題出題基準に沿って、出題される問題と重要項目を整理して解説します。

 

問題形式にしていますので、解きながら大事な部分を暗記していくようにしてください。

 

今回は出題基準の目標Ⅰ-1の項目です。

 

必修問題出題基準-目標Ⅰ-1

 

1.健康に関する指標

A.人口静態・人口動態

a.総人口 b.年齢別人口 c.労働人口 d.将来推計人口 e.世帯数

f.婚姻・家族形態g.出生の動向 h.死亡の動向 i.死因の概要

B.健康状態と受療状況

a.平均余命 b.有訴者の状況 c.有病率・罹患率 d.受療行動・受療率

e.入院期間f.外来受診状況

 

 

〔問題 1〕 世界保健機関〈WHO〉が定義する健康について正しいのはどれか。

1. 単に病気や虚弱のない状態である。

2. 国家に頼らず個人の努力で獲得するものである。

3. 肉体的,精神的及び社会的に満たされた状態である。

4. 経済的もしくは社会的な条件で差別が生じるものである。

 

解答 ・解説

解答 3

解説 世界保健機関が定義する健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的、精神的及び社会的に満たされた状態のことである。

 

 

〔問題 2〕 平成29年(2017年)の日本の人口推計で10年前より増加しているのはどれか。

1. 総人口

2. 年少人口

3. 老年人口

4. 生産年齢人口

 

解答・解説
解答 3
解説 老年人口割合だけ増加している。(2019年:28.4%)

 

 

〔問題 3〕 日本における平成28年(2016年)の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。

1. 17%

2. 27%

3. 37%

4. 47%

 

解答・解説

 

解答 2

構成区分 年齢 構成割合
年少人口 0-14歳 12.1%
生産年齢人口 15-64歳 59.5%
老年人口 65歳以上 28.4%

(令和3年データ)

日本の総人口は1億2550万人である。老年人口は増加傾向にあり、28.9%(3,621万人)。老年人口が3,621万人と覚えるより、老年人口は1億2550万人の28.9%で、人数は3,621万人と覚える。(覚える数値をできる限り減らす)

 

 

〔問題 4〕 日本の平成25年(2013年)の生産年齢人口の構成割合に最も近いのはどれか。

1. 52%

2. 62%

3. 72%

4. 82%

 

解答・解説

 

解答 2
解説 2019年は59.5%。

 

 

〔問題 5〕 人口年齢区分における15歳から64歳までの年齢区分はどれか。

1. 従属人口

2. 年少人口

3. 老年人口

4. 生産年齢人口

 

解答・解説

 

解答 4
解説 問題3の表を参照。

 

 

〔問題 6〕 日本の将来推計人口で2020年の65歳以上人口が総人口に占める割合に最も近いのはどれか。

1. 15%

2. 30%

3. 45%

4. 60%

 

解答・解説

 

解答 2
解説 老年人口はおよそ29%

 

 

〔問題 7〕 日本の平成25年(2013年)における家族の世帯構造で最も少ないのはどれか。

1. 単独世帯

2. 三世代世帯

3. 夫婦のみの世帯

4. 夫婦と未婚の子のみの世帯

 

解答・解説

 

解答 2
解説 最も少ないのは三世代世帯。最も多いのは、単独世帯(28.8%)

 

 

〔問題 8〕 平成24年(2012年)の国民生活基礎調査で,世帯総数における核家族世帯の割合に最も近いのはどれか。

1. 30%

2. 45%

3. 60%

4. 75%

 

解答・解説

 

解答 3
解説 2019年では、核家族世帯の割合は59.8%

 

 

〔問題 9〕 平成23年(2011年)の国民生活基礎調査で,単独世帯の占める割合はどれか。

1. 5.2%

2. 25.2%

3. 45.2%

4. 65.2%

 

解答・解説

 

解答 2
解説 2019年では単独世帯は28.8%

補足 平均世帯人数(2019年):2.39、65歳以上の者のいる世帯の割合(2019年):約 49(49.4)%

 

 

〔問題 10〕 日本の平成24年(2012年)における合計特殊出生率はどれか。

1. 0.91

2. 1.41

3. 1.91

4. 2.41

 

解答・解説

 

解答 2
解説 2019年は1.36。

 

 

〔問題 11〕 日本の2019年における出生数に最も近いのはどれか。

1. 56万人

2. 86万人

3. 146万人

4. 206万人

 

 

解答・解説

 

解答 2
解説 出生率は7.0、合計特殊出生率は1.36

 

〔問題 12〕 日本の2019年の死亡数はどれか。

1. 約 47万人

2. 約 87万人

3. 約138万人

4. 約167万人

 

解答・解説

 

解答 3
解説 死亡率は11.2。

 

 

〔問題 13〕 平成29年(2017年)の人口動態統計における主要死因別の死亡率で心疾患の順位はどれか。

1. 1位

2. 2位

3. 3位

4. 4位

 

解答・解説

 

解答 2
解説 死因順位は悪性新生物(27.6%)、心疾患(15.0%)、老衰(9.6%)の順である。4位は脳血管疾患、5位は肺炎である。

 

 

〔問題 14〕 日本における平成28年(2016年)の部位別にみた悪性新生物の死亡数で,男性で最も多い部位はどれか。

1. 胃

2. 肝及び肝内胆管

3. 気管,気管支及び肺

4. 結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸

 

解答・解説

 

解答 3
解説 男性の悪性新生物の部位別死亡率は肺、胃、大腸、膵、肝の順。
女性の悪性新生物の部位別死亡率は大腸、肺、膵、乳房、胃の順。

 

 

 

〔問題 15〕 警察庁の「平成24年(2012年)中における自殺の状況」の自殺者の原因・動機のうち最も多いのはどれか。

1. 学校問題

2. 家庭問題

3. 勤務問題

4. 健康問題

 

解答・解説

 

解答 4

解説 健康問題が6割を占める

 

〔問題 16〕 日本の平成23年(2011年)における主要死因別にみた死亡率が最も高いのはどれか。

1. 肺炎pneumonia

2. 心疾患heart disease

3. 悪性新生物malignant neoplasm

4. 脳血管疾患cerebrovascular disease

 

解答・解説

 

解答 3
解説 2019年における死因順位は、悪性新生物、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎の順である。

 

 

〔問題 17〕 日本における2019年の1歳から4歳までの子どもの死因で最も多いのはどれか。

1. 先天奇形、変形および染色体異常

2. 心疾患heart disease

3. 悪性新生物malignant neoplasm

4. 不慮の事故accidents

 

解答・解説

 

解答 1

解説 小児の死因

第一位 第二位 第三位
1-4歳 先天奇形、変形および染色体異常 不慮の事故 悪性新生物
5-9歳 悪性新生物 不慮の事故 先天奇形、変形および染色体異常
10-14歳 悪性新生物 自殺 不慮の事故
15-19歳 自殺 不慮の事故 悪性新生物

 

 

〔問題 18〕 平成29年(2017年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。

1. 77年

2. 82年

3. 87年

4. 92年

 

解答・解説

 

解答 3
解説 女性は87.45年、男性は81.41年。(2019年)

 

 

〔問題 19〕 平均寿命で正しいのはどれか。

1. 0歳の平均余命である。

2. 20歳の平均余命である。

3. 60歳の平均余命である。

4. 死亡者の平均年齢である。

 

解答・解説

 

解答 1
解説 平均寿命は0歳の平均余命である。

 

 

〔問題 20〕 日本の平成25年(2013年)における男性の平均寿命はどれか。

1. 70.21年

2. 75.21年

3. 80.21年

4. 85.21年

 

解答・解説

 

解答 3
解説 2019年は81.41年。

 

 

〔問題 21〕 平均寿命は[ ]歳の平均余命である。  [ ]に入るのはどれか。

1. 0

2. 5

3. 10

4. 20

 

解答・解説

 

解答 1
解説 平均寿命は0歳の平均余命である。

 

 

〔問題 22〕 平成28年(2016年)の国民生活基礎調査で,男性の有訴者の症状が最も多いのはどれか。

1. 腰痛

2. もの忘れ

3. 体がだるい

4. 目のかすみ

5. 手足の関節が痛む

 

解答・解説

 

解答 1
解説 男性は腰痛、肩こり、鼻汁が出る、咳や痰が出る、手足の関節が痛む、の順番
女性は肩こり、腰痛、手足の関節が痛む、体がだるい、頭痛、の順番

 

 

〔問題 23〕 平成25年(2013年)の国民生活基礎調査による有訴者率(人口千対)で正しいのはどれか。

1. 12.4

2. 112.4

3. 312.4

4. 512.4

 

解答・解説
解答 3
解説 2019年は302.5.

 

 

〔問題 24〕 平成28年(2016年)の国民生活基礎調査における通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。

1. 糖尿病(diabetes mellitus)

2. 腰痛症(lumbago(low back pain)

3. 高血圧症(hypertension)

4. 眼の病気

 

解答・解説

 

解答 3
解説 通院者率が最も高いのは男女とも高血圧症。

 

 

〔問題 25〕 日本の平成22年(2010年)における傷病別にみた通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。

1. 腰痛症

2. 高血圧症hypertension

3. 歯の病気

4. 眼の病気

 

解答・解説

 

解答 2
解説 問題24と同様。高血圧症が最も高い。

補足1:入院受療率と外来受療率

入院受療率 外来受療率
傷病分類別 1位:精神および行動の障害

2位:循環器系の疾患

3位:悪性新生物

1位:消化器系の疾患

2位:循環器系の疾患

3位:筋骨格系の疾患

年齢階級 90歳以上が最も高い 80-84歳が最も高い

 

入院受療率は1,036、外来受療率は5,675(人口10万対)。

 

 

タグ