月別:2023年04月

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、消化管ホルモンの種類と作用機序 〜ガストリンとセクレチンです。

 

消化管ホルモンにはいくつか種類があったり、胃酸や粘液がどの細胞から分泌されるのか、ごちゃごちゃになりやすい分野です。

 

丸覚えするのではなく、実際に食べ物を食べる時に起こる作用順序を理解し、整理して覚えていきましょう。

 

消化管ホルモン①ガストリンの発生=胃内への食物の流入

 

消化管ホルモンの分泌の始まりは、胃内への食物の流入です。

 

胃内に食物が入ることで起こる2つの反応:

 

G細胞からガストリンが分泌されます。ガストリンは壁細胞を刺激し、胃酸分泌が促進します

 

主細胞からペプシノーゲンが分泌されます。ペプシノーゲンは胃酸の作用によりペプシンとなり、蛋白質分解酵素となります。

 

【ポイント】

  1. 1. G細胞からはガストリン

2. 壁細胞からは胃酸

3. 主細胞からはペプシノーゲン

 

◉ペプシノーゲン+胃酸=ペプシン(蛋白分解酵素)

 

消化管ホルモン②セクレチンの発生=十二指腸への食物の流入

 

食物が十二指腸に到達すると、胃の運動を弱めることと、消化酵素の分泌を促すことが必要になります。

 

十二指腸に食物が入ることで起こる3つの反応

 

十二指腸S細胞からセクレチンが分泌されます。セクレチンはG細胞に作用し、ガストリン分泌を抑制し、胃酸分泌・胃の運動を抑制します。また、膵液分泌も促進します

 

十二指腸K細胞からGIP(インクレチン)が分泌されます。GIPは、壁細胞に作用し、胃酸分泌を抑制したり、グルコースに反応してインスリン分泌を促します。

 

十二指腸I細胞からコレシストキニンが分泌されます。コレシストキニンは、胆嚢収縮により、胆汁を十二指腸に流し込む作用や、膵酵素分泌促進作用があります。

 

【ポイント】

  1. 1. 十二指腸S細胞からはセクレチン
  2. 2. 十二指腸K細胞からはGIP(インクレチン)
  3. 3. 十二指腸I細胞からはコレシストキニン

 

食物の流れから見た消化管ホルモンの分泌機序

 

①胃に食物が入るとガストリンや胃酸の分泌が促進され、胃の運動を促進する。

 

②十二指腸まで食物が流れてくると、胃の運動を抑制することと、消化を促進する必要があるため、セクレチン・インクレチン・コレシストキニンの分泌が促進される。

 

③セクレチンとインクレチンにより、胃の運動を抑制され、セクレチンとコレシストキニンにより、膵酵素や胆汁の分泌を促進される。

 

消化酵素と吸収については、以下の記事を参照ください。

 

 

 

覚えるべきポイントのまとめ

 

【胃への食物の流入】

 

  1. ①G細胞からはガストリン

②壁細胞からは胃酸内因子も分泌:ビタミンB12の吸収を促進する)

③主細胞からはペプシノーゲン

 

※補足①:副細胞からは粘液が分泌され、胃の保護をする作用があります。

 

【十二指腸への食物の流入】

 

  1. ①十二指腸S細胞からはセクレチン
  2. ②十二指腸K細胞からはGIP(インクレチン)
  3. ③十二指腸I細胞からはコレシストキニン

 

※補足②

ホルモンとは、下垂体や甲状腺など専門の器官から分泌され、血液にのって標的となる細胞に作用して、その働きを促進したり抑制したりします。

 

それが消化管からも分泌されており、それらを総称して消化管ホルモンと呼んでいます。

 

消化管ホルモンは、ガストリン・セクレチン・コレシストキニン・インクレチンなどになります。

 

他のホルモンと同様に覚えておきましょう。

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、消化と吸収 〜消化酵素の分泌器官とその機能〜についてです。

 

人は植物とは違い、生きるために栄養素を食事からとる必要があります。

 

ただ、ご飯や唐揚げを食べたからといって、そのまま血液の中・細胞の中にご飯粒や唐揚げが入る訳ではありません。

 

ご飯や唐揚げに含まれる栄養素を体内に取り込む必要があり、そのために身体は消化と吸収を行っています。

 

今回は、消化と吸収について細かく見ていきます。

 

消化と吸収

 

消化とは、ご飯粒や唐揚げを、体内に取り込めるまでに細かく分解する働きのことを指します。

 

一方、吸収とは、その消化した物質を体内に取り込むことを指します。

 

吸収は小腸の吸収上皮細胞で行われるので、小腸に達するまでに食べ物を消化する必要があります。

 

(大腸では水分が吸収されます)

 

つまり、消化は口・胃・(上部小腸)で行われます。

 

消化には物理的消化と化学的消化がある

 

物理的消化とはその他の通り、物理的に食塊などを細かくする消化です。

 

化学的消化とは消化酵素などにより分子の鎖を切り、高分子化合物を低分子化合物にする消化になります。

 

物理的消化

 

物理的消化で意識的に行っているのは、食塊を歯で噛み砕く行動です。

 

小さく砕くことで、胃、十二指腸での消化を助けられるので、しっかり噛んで食べることは大事になります。

 

その他、物理的消化には、胃や小腸で行われる振子運動や分節運動も含まれます。

 

消化管で振子運動や分節運動が起こることで、胃の内容部を撹拌したり、つぶしたりすることができます。

 

(蠕動運動は、食べ物を先へ送る働きであり、全消化管でみられる運動です。)

 

化学的消化

 

物理的消化によってどんなに細かく砕いて、撹拌したとしても、まだ小腸の吸収上皮細胞を通り、血液やリンパ管に入るには、まだ不十分です。

 

その細かく砕かれた食塊に消化酵素が混ざり、高分子化合物(糖質・蛋白質・脂質)を低分子化合物(グルコース・アミノ酸・脂肪酸とグリセロール)まで分解することで、栄養素として吸収ができます。

 

糖質・蛋白質・脂質の三大栄養素は小腸で大半が吸収され、水分やミネラルは大腸で吸収されます。

 

国家試験では三大栄養素を消化する消化酵素がよく出題されますので、必ず覚えておきましょう。

 

三大栄養素に対する消化酵素

 

必ず押さえておきたいポイントを記載します。

 

◉糖質→アミラーゼ(唾液と膵液)

 

◉蛋白質→ペプシン(胃液)、トリプシン・キモトリプシン(膵液)

 

◉脂質→リパーゼ(膵液)+胆汁

 

※胆汁は消化酵素ではありませんが、脂質を乳化し、消化を助ける物質です。

 

必ず上記の消化酵素は押さえておきましょう。

 

特に膵液は、糖質・蛋白質・脂質全てを消化する酵素が含まれており、大変重要な消化酵素です。

 

膵液は、膵管を通り、十二指腸に注ぎ込まれます。

 

吸収された栄養素は肝臓へ

 

口から食べた食べ物(高分子化合物)は、物理的消化・化学的消化を受けることで低分子化合物となり、小腸の吸収上皮細胞から栄養素は吸収されました。

 

では、小腸の吸収上皮細胞に吸収された栄養素はどうなるのか?

 

小腸の吸収上皮細胞を介して、血液(一部リンパ管)に入った栄養素は、門脈を経由して肝臓へ入ります。

 

※そのため、小腸などの消化管から出る静脈(上腸間膜静脈・下腸間膜静脈)は栄養素が豊富に入った血管になります。

 

上・下腸間膜静脈→門脈→肝臓に入り、吸収された栄養素は肝臓で代謝され、身体に必要なように分解・貯蔵などを行っています。

 

(栄養素を吸収され、水分も吸収され、最後の老廃物が便となって排泄されています)

 

肝臓の4つの機能

 

消化と吸収の側面から見て、肝臓は様々な栄養素を集め、身体の必要な物質を作ったり、いらないものを排出したりする働きを持っていることがわかります。

 

肝臓の主の働きを最後に見ていきます。

 

三大栄養素の代謝

 

①糖代謝:吸収して集めたグルコースをグリコーゲンとして貯蔵したり、グリコーゲンを分解してグルコースにしたりすることで、血中のグルコース濃度を保つ。

 

②蛋白質代謝:吸収したアミノ酸から血漿タンパク質(アルブミンや血液凝固因子など)を合成する。

 

③脂質代謝:吸収した脂肪酸とグリセロールからコレステロールやリン脂質を合成する。

 

④その他:吸収したビタミンやホルモン、ビリルビンなどを代謝する機能もある。

 

解毒

 

肝臓は、アルコールや薬物、アンモニア、毒素などの有害物質を解毒する機能もあります。

 

胃腸で吸収されたアルコールや薬物は、門脈を経由し肝臓に入ると、上記のような有害物質を解毒し、無害化します。

 

胆汁の生成

 

胆汁は胆汁酸と胆汁色素からなります。

 

胆汁酸は脂質代謝後のコレステロールからつくられる物質で、脂質を乳化させる役割を持ちます。

 

生成された胆汁は、胆のうに貯蔵されます。

 

生体防御

 

肝臓には消化管からの多くの血液が集まり、その血液中に異物がいないかをマクロファージがパトロールしてくれています。

 

血中に異物・有害物質がいた場合、貪食することで、生体防御に関わっています。

 

まとめ

 

普段食べている食事は、糖質・蛋白質・脂質といった高分子化合物の状態であり、そのままでは体内に吸収できません。

 

そのため、消化管の各所で消化が行われ、低分子化された栄養素を小腸で吸収しています。

 

吸収された栄養素は門脈を経由して肝臓に入り、代謝されています。

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第105回 看護師国家試験 必修問題

 

〔問題 1〕 日本の平成25年(2013年)の生産年齢人口の構成割合に最も近いのはどれか。
1. 52%
2. 62%
3. 72%
4. 82%

 

〔問題 2〕 運動習慣が身体機能に与える影響で正しいのはどれか。
1. 筋肉量の減少
2. 体脂肪率の増加
3. 最大換気量の減少
4. 基礎代謝量の増加

 

〔問題 3〕 日本の平成25年(2013年)における業務上疾病で発生件数が最も多いのはどれか。
1. 振動障害vibration disease
2. 騒音による耳の疾患
3. 負傷に起因する疾病
4. じん肺症pneumoconiosis及びじん肺合併症complications of pneumoconiosis

 

〔問題 4〕 介護保険の給付はどれか。
1. 年金給付
2. 予防給付
3. 求職者給付
4. 教育訓練給付

 

〔問題 5〕 臨床研究を行うときに,研究対象者の立場を擁護するために審査を行う組織はどれか。
1. 教育委員会
2. 倫理委員会
3. 医療事故調査委員会
4. 院内感染対策委員会

 

〔問題 6〕 正期産の定義はどれか。
1. 妊娠36週0日から40週6日
2. 妊娠37週0日から41週6日
3. 妊娠38週0日から42週6日
4. 妊娠39週0日から43週6日

 

〔問題 7〕 日本の女性の平均閉経年齢に最も近いのはどれか。
1. 40歳
2. 45歳
3. 50歳
4. 55歳

 

〔問題 8〕 日本の平成25年(2013年)における家族の世帯構造で最も少ないのはどれか。
1. 単独世帯
2. 三世代世帯
3. 夫婦のみの世帯
4. 夫婦と未婚の子のみの世帯

 

〔問題 9〕 保健所の設置主体で正しいのはどれか。
1. 国
2. 都道府県
3. 社会福祉法人
4. 独立行政法人

 

〔問題 10〕 チーム医療で正しいのはどれか。
1. 国家資格を持つ者で構成される。
2. リーダーとなる職種を固定する。
3. 他施設との間で行うことはできない。
4. メンバー間で情報を共有して意思決定をする。

 

〔問題 11〕 内分泌器官はどれか。
1. 乳腺
2. 涙腺
3. 甲状腺
4. 唾液腺

 

〔問題 12〕 臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準に含まれるのはどれか。
1. 低体温
2. 心停止
3. 平坦脳波
4. 下顎呼吸

 

〔問題 13〕 高齢者の体重に占める水分量の割合に最も近いのはどれか。
1. 45%
2. 55%
3. 65%
4. 75%

 

〔問題 14〕 徐脈性の不整脈arrhythmiaで起こりやすいのはどれか。
1. 失語
2. 失行
3. 失神
4. 失明

 

〔問題 15〕 糖尿病diabetes mellitusの血糖コントロールの指標となる検査値はどれか。
1. 総ビリルビン
2. 総コレステロール
3. グリコヘモグロビン
4. クレアチニンクリアランス

 

〔問題 16〕 認知症dementiaの中核症状はどれか。
1. 幻聴
2. 抑うつ
3. 希死念慮
4. 見当識障害

 

〔問題 17〕 ステロイド薬の副作用(有害事象)はどれか。
1. 便秘
2. 口内炎stomatitis
3. 低血圧
4. 骨粗鬆症osteoporosis

 

〔問題 18〕 骨盤底筋訓練が最も有効なのはどれか。
1. 溢流性尿失禁overflow incontinence of urine
2. 切迫性尿失禁urge incontinence of urine
3. 反射性尿失禁reflex incontinence of urine
4. 腹圧性尿失禁stress incontinence of urine

 

〔問題 19〕 口腔ケアで適切なのはどれか。
1. 歯肉出血がある場合は実施しない。
2. 含嗽ができない患者には禁忌である。
3. 経口摂取の有無に関係なく実施する。
4. 総義歯の場合は義歯を入れた状態で実施する。

 

〔問題 20〕 注射針を皮膚に対して45~90度の角度で刺入するのはどれか。
1. 皮内注射
2. 皮下注射
3. 筋肉内注射
4. 静脈内注射

 

〔問題 21〕 薬剤の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法はどれか。
1. 坐薬
2. 経口薬
3. 筋肉内注射
4. 静脈内注射

 

〔問題 22〕 患者が自己採血で簡単に測定できるのはどれか。
1. 血糖
2. カリウム
3. カルシウム
4. アルブミン

 

〔問題 23〕 ベンチュリーマスクの写真を別に示す。

酸素流量の設定と併せて吸入酸素濃度を調節するのはどれか。

 

〔問題 24〕 災害による心理的ストレスが身体反応として最も強く現れる時期はどれか。
1. 発災後3~7日
2. 発災後2週~1か月
3. 発災後半年~3年
4. 発災後4年目以降

 

〔問題 25〕 日本の平成25年(2013年)における男性の平均寿命はどれか。
1. 70.21年
2. 75.21年
3. 80.21年
4. 85.21年

 

〔問題 26〕 日本の平成24年(2012年)の国民健康・栄養調査における男性の喫煙習慣者の割合はどれか。
1. 14.1%
2. 34.1%
3. 54.1%
4. 74.1%

 

〔問題 27〕 地球温暖化をもたらす温室効果ガスはどれか。
1. 酸素
2. 水素
3. 窒素
4. 二酸化炭素

 

〔問題 28〕 終末期に自分がどのような医療を受けたいかをあらかじめ文書で示しておくのはどれか。
1. アドヒアランス
2. リビングウィル
3. セカンドオピニオン
4. インフォームド・コンセント

 

〔問題 29〕 医師の指示がある場合でも看護師に禁止されている業務はどれか。
1. 静脈内注射
2. 診断書の交付
3. 末梢静脈路の確保
4. 人工呼吸器の設定の変更

 

〔問題 30〕 学童期の正常な脈拍数はどれか。
1. 50~ 70/分
2. 80~100/分
3. 110~130/分
4. 140~160/分

 

〔問題 31〕 加齢に伴い老年期に上昇するのはどれか。
1. 腎血流量
2. 最大換気量
3. 空腹時血糖
4. 神経伝導速度

 

〔問題 32〕 医療法には「診療所とは,患者を入院させるための施設を有しないもの又は[  ]人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」と定められている。  [  ]に入るのはどれか。
1. 16
2. 17
3. 18
4. 19

 

〔問題 33〕 介護支援専門員が行うのはどれか。
1. 通所介護の提供
2. 福祉用具の貸与
3. 短期入所生活介護の提供
4. 居宅サービス計画の立案

 

〔問題 34〕 成人の膀胱の平均容量はどれか。
1.  100mL
2.  500mL
3. 1,000mL
4. 1,500mL

 

〔問題 35〕 不随意筋はどれか。
1. 心筋
2. 僧帽筋
3. 大殿筋
4. ヒラメ筋

 

〔問題 36〕 特定の抗原となる物質によって生じるアレルギー反応で引き起こされるショックはどれか。
1. 心原性ショック
2. 出血性ショック
3. 神経原性ショック
4. アナフィラキシーショック

 

〔問題 37〕 咳嗽が起こりやすいのはどれか。
1. 右心不全right heart failure
2. 左心不全left heart failure
3. 心筋梗塞myocardial infarction
4. 肺梗塞pulmonary infarction

 

〔問題 38〕 浮腫が生じやすいのはどれか。
1. 甲状腺機能hyperthyroidism亢進症
2. 過剰な運動
3. 低栄養
4. 熱中症heatillness

 

〔問題 39〕 貧血anemiaの診断に用いられるのはどれか。
1. 血糖値
2. 尿酸値
3. C反応性蛋白値
4. ヘモグロビン濃度

 

〔問題 40〕 C型慢性肝炎chronic hepatitis Cに使用するのはどれか。
1. ドパミン
2. インスリン
3. リドカイン
4. インターフェロン

 

〔問題 41〕 カルシウム拮抗薬の服用時に避けた方がよい食品はどれか。
1. 納豆
2. 牛乳
3. わかめ
4. グレープフルーツ

 

〔問題 42〕 患者の洗髪の介助方法で適切なのはどれか。
1. 脱脂綿で耳栓をする。
2. 43~44℃の湯をかける。
3. 指の腹を使って洗う。
4. 強い振動を加えて洗う。

 

〔問題 43〕 全身清拭時,洗面器に準備する湯の温度で適切なのはどれか。
1. 20~25℃
2. 30~35℃
3. 40~45℃
4. 50~55℃

 

〔問題 44〕 スタンダードプリコーションの対象はどれか。
1. 汗
2. 爪
3. 唾液
4. 頭髪

 

〔問題 45〕 経鼻経管栄養法の体位で適切なのはどれか。
1. Fowler〈ファウラー〉位
2. 仰臥位
3. 腹臥位
4. 側臥位

 

〔問題 46〕 成人用輸液セット1mL当たりの滴下数はどれか。
1. 20滴
2. 40滴
3. 60滴
4. 80滴

 

〔問題 47〕 ゴム製湯たんぽに入れる湯の温度で適切なのはどれか。
1. 40℃程度
2. 60℃程度
3. 80℃程度
4. 100℃程度

 

〔問題 48〕 鼻腔内の吸引で正しいのはどれか。
1. 無菌操作で行う。
2. 吸引圧をかけた状態で吸引チューブを挿入する。
3. 鼻翼から一定の距離で固定して吸引する。
4. 吸引チューブを回転させながら吸引する。

 

〔問題 49〕 母乳栄養で不足しやすいのはどれか。
1. ビタミンA
2. ビタミンB
3. ビタミンC
4. ビタミンE
5. ビタミンK

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は国家試験頻出問題、酸塩基平衡について丁寧に解説していきたいと思います。

 

よく出題される上、とにかく難しいと評判の問題で、受験生から毎年質問のある問題です。

 

確かに難しい問題ですが、根拠に基づいて考えると理解でき、理解できると点数は絶対に落とさない問題ですので、あきらめずに一つ一つ理解していくようにして下さい。

 

そもそも酸塩基平衡って何?

 

酸塩基平衡を一言で表すと、体内にある酸とアルカリのバランスをとる体の能力、のことです。

 

人間の体内には胃酸などの酸性のもの、腸液などのアルカリ性のもの、酸とアルカリどちらも存在します。

 

その体内(血中)の酸性・アルカリ性の状態を表すのがpHであり、正常値はpH=7.4±0.05となります。

 

pH=7.0が中性になるので、体内のpH=7.4は弱アルカリ性になります。

 

なぜ、pH=7.4なのか

 

体温を例にとると、人間の体温は36.5℃±0.5℃が正常値です。

 

これは、36.5℃が人間の代謝などに適しているからです。

 

pH=7.4が正常値の理由も同様で、人間の代謝(酵素の働きなど)に適しているため、pH=7.4をキープしようと体(肺と腎臓)がバランスをとっています。

 

(暑い・寒いという環境があっても、体温は36.5℃をキープしようとしますが、それと同様の考え方です)

 

pH=7.4が変動する理由

 

体温の場合は、外気温の変化や風邪を引いた場合などに体温が変動します。

 

pHの場合は、体内にある酸性物質の量により、pHが変動します。

 

酸性物質はなぜ体内で増えるのか(減るのか)

 

ヒトは、食事や酸素を取り込み、それらの酸素や栄養素は細胞内で代謝されます。

 

その細胞からは、CO2や酸性の代謝産物(塩酸や硫酸)が老廃物として排出されます。

 

まとめると、ヒトは栄養素や酸素を代謝すると、CO2などの酸性物質を血中に排出するということです。

 

そのため、ヒトは生きている以上、体は常に酸性に傾こうとしている状態にある、と考えて下さい。

 

酸性物質は肺と腎臓から排出される

 

代謝する度に排出される酸性物質をそのまま体内にとどめておくと、体内が酸性になってしまいます。

 

それを防ぐために、肺からCO2を排出したり、腎臓から酸性物質のH+(水素イオン)を排出したりしています。

 

この酸とアルカリの調節機構を酸塩基平衡と呼んでいます。

 

酸塩基平衡が崩れる=肺と腎臓に異常

 

今まで説明してきた酸とアルカリの調節機構が崩れるのは、酸性物質を調節するために重要な肺や腎臓に異常が起きた場合です。

 

肺や腎臓に異常が起きると、酸性物質を排出することができなくなるため、体内に酸性物質が残り、体内は酸性に傾いてしまいます。

 

この体内が酸性に傾いた状態をアシドーシス(acid=酸)と呼びます。

 

肺が原因(PaCO2の増加が原因)で引き起こされたアシドーシスを呼吸性アシドーシス、腎臓等が原因(H+などの酸性物質の増加)で引き起こされたアシドーシスを代謝性アシドーシスと定義されています。

 

呼吸性アシドーシスと代謝性アシドーシスの分類については、こちらの記事を参照下さい。

 

 

 

※アルカリ性=アルカローシスにはなりにくい

 

少し戻りますが、ヒトは生きている以上、体は常に酸性に傾こうとしている状態にあるということでしたね。

 

要は、アシドーシスにはなりやすい(酸性にはなりやすい)ですが、アルカローシスにはなりにくい(アルカリ性にはなりにくい)ということです。

 

代謝することで自然と体内に酸性物質が産生されるにも関わらず、それよりも多くの酸を体外に排出するしか方法が無いからです。

 

その過剰に酸を排出するための方法が2つあります。

 

①過換気症候群:CO2を過剰に排出すること(=酸性物質を喪失)。

 

→PaCO2の減少が原因となるため、呼吸性アルカローシスとなります。

 

②嘔吐による胃酸(H+)を過剰に排出すること(=酸性物質を喪失)。

 

→H+の減少が原因となるため、代謝性アルカローシスとなります。

 

アルカローシスにはなりにくく、アシドーシスにはなりやすいということを前提として暗記するようにして下さい。

 

覚えやすくするために、やや限定的に記載していますが、看護師国家試験の問題対策としては上記の2個がアルカローシスの原因と覚えておきましょう。

 

(臨床においても、アシドーシスが問題となることはあっても、アルカローシスが問題となることはほとんどありません。)

 

アルカローシスの詳細な内容についても、先程の記事を参照下さい。

 

まとめ

 

◉酸塩基平衡とは体内にある酸とアルカリのバランスをとる体の能力のこと

 

◉体内の酸性・アルカリ性の状態を表すのがpHであり、正常値はpH=7.4±0.05

 

◉pH=7.4が人間の代謝に適しているため肺と腎臓がpH=7.4をキープする

 

◉肺と腎臓に障害が起こると、酸と塩基のバランスが崩れ、アシドーシスやアルカローシスになる

 

アシドーシスやアルカローシスになる原因については、こちらの記事を参照下さい。

 

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、過換気症候群でなぜテタニーが起こるのか、その原因について解説します。

 

テタニーとは、低Ca血症になった時に起こることです。(既に知っている方も多いかと思います。)

 

過換気症候群だと、二酸化炭素が無くなるため、呼吸性アルカローシスになります。(これもよく知っているかかと思います)

 

しかし、過換気症候群でなぜテタニーが起こるのかは不思議に思っている方が多いです。

 

少々難しい話になりますが、根拠を知ることで丸覚えより覚えやすくなりますので、簡単に解説します。

 

過換気症候群による呼吸性アルカローシスが要因

 

過換気症候群になると、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が低下し、血中のH+が減少するため、呼吸性アルカローシスとなります。

 

すると、血中に低下したH+を補うため、アルブミン(Alb)と結合しているH+が血中に遊離します。

 

アルブミンは負の荷電、カルシウムイオンは正の荷電であるため、単独となったアルブミンにカルシウムイオンが結合する。

 

※下図参照

 

 

結果、血中のカルシウムイオン濃度が低下します。

 

呼吸性アルカローシスと過換気、テタニーと低Ca血症の関係

 

過換気症候群=テタニーを理解するためには、以下のステップを理解しておくことが必要です。

 

①過換気症候群になると、呼吸性アルカローシスとなる

 

何らかの原因(心因性など)により、過換気症候群になると、動脈血二酸化炭素分圧が低下するため、呼吸性アルカローシスとなる。

 

②呼吸性アルカローシスになると、アルブミンと結合しているH+が遊離する

 

呼吸性アルカローシスによる血中H+の低下を補うために、アルブミンと結合しているH+が遊離し、血中のH+を上昇する(代償機構)。

 

③単独となったアルブミンとカルシウムイオンが結合する

 

血中のカルシウムイオンと血漿蛋白アルブミンはもともと結合する性質を持つ。

 

それに加え、呼吸性アルカローシスになると、単独となるアルブミンが増加するため、アルブミンとカルシウムイオンがさらに結合する。

 

すると、血中のカルシウムイオン濃度が低下してしまうため、テタニーが生じる。

 

まとめ

 

『過換気症候群ではテタニーが生じる』根拠を理解するためには、複数の知識を理解しておくことが必要です。

 

このように色々な知識を活用しなければ、理解できない問題もありますので、「なぜ・どうして」と思ったことは色々と調べたり、質問することをおすすめします。

 

『過換気症候群ではテタニーが生じる』と問題無く丸暗記ができるという方は、丸暗記でも問題無いありませんが、少しは根拠を覚えておくと良いかと思います。

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

この記事では、ある程度学習の進め方:どこまで深掘りすればよいのか、具体例を用いてご紹介します。

 

ある程度学習についてはこちらの記事をご参照ください。

 

 

 

ある程度学習の具体例:第111回午後18を活用

 

(第111回午後18)左心不全left heart failureでみられる症状はどれか。

 

1. 肝腫大

2. 下腿浮腫

3. 起坐呼吸

4. 頸静脈怒張

 

解答は3です。

 

基本的な問題ですが、勉強を始めたばかりの頃というのは、心不全という言葉であきらめそうになってしまいます。

 

あきらめずに、どの程度まで深めながら学習をすればよいのかを見ていきます。

 

重要なことは、点で終わらず、線で結び、根拠などで線を太くするということが重要です。

 

点で終わってしまう深め方

 

左心不全left heart failureでみられる症状はどれか。

 

1. 肝腫大

2. 下腿浮腫

3. 起坐呼吸

4. 頸静脈怒張

 

〔頭の中〕

 

左心不全だから・・2?(解答を読む)あ、違う、、3の起座呼吸になるんか。覚えておこう。じゃ、次の問題へ。

 

左心不全は起座呼吸になることだけ覚えても知識は広がらず、すぐに忘れてしまうので、点で終わると一向に知識は増えません。

 

線で結ぶ深め方

 

左心不全だから・・2? あ、違う・・3になるんか。

 

(解説を読む、調べる)左心不全は呼吸困難や泡沫状痰があるんか。

 

(ついでに調べる)右心不全は肝腫大・下腿浮腫・経静脈怒張があるんか。

 

点で終わるのと違い、左心不全の症状を起座呼吸以外にも何があるか調べ、関連の深い右心不全の症状を調べられています。

 

線で結ぶことで、次に右心不全の症状を問う問題が出ても答えることができます。

 

ただ、根拠を調べていないので忘れやすいです。

 

線を太く結ぶ深め方

 

(もう少し深く調べる)左心不全は肺循環のうっ血になるから、呼吸不全や泡沫状痰になるんか。右心不全は体循環のうっ血になるから、全身の浮腫になるんか。

 

左心不全と右心不全は何故そのような症状が起こるのか、機序などの根拠を調べることで、忘れにくい知識となります。

 

このあたりまで学習を進めるとより知識が定着しやすくなります。

 

解答の根拠くらいまでを調べることがひとつの目安かと思います。

 

ある程度を超えてしまう勉強

 

調べた後にすぐ完璧に覚えようとする

 

調べるまでにしておいてください。覚えようとすると時間がかかります。

 

1回の勉強で覚えるのは不可能なので、復習するタイミングで徐々に覚えていくようにすることを推奨します。

 

また、調べたことをノートに詳しく書くというのも時間がかかるので、できれば付箋メモのような形で問題の近くに貼っておき、復習の時に確認して覚えやすくするようにする方が短時間で復習が可能になります。

 

脱線しない

 

調べ出すと脱線してしまう人もいます。

 

浮腫って何だっけ?浮腫の機序も調べてみよう・・

 

浮腫の原因は4種類あるんか・・、心不全は静水圧が原因、膠質浸透圧が原因になるのもあるのか・・、膠質浸透圧って何だろう?肝不全が原因・・、血管透過性が亢進する・・

 

脱線に脱線を重ねると、第111回午後18の心不全の問題だけで簡単に1時間勉強できます。

 

時間効率の面から、最初から脱線するのはおすすめできません。

 

脱線することで、知識が系統的に網羅されていくことになるのですが、最初は絶対に避けてほしいと思っています。

 

浮腫の種類を問うような問題も必ずどこかで出題されます。

 

心不全の浮腫は静水圧の上昇が原因、浮腫の原因は4種類あるんだな、など心不全をメインに調べる程度に留め、妥協して進むことも大事です。

 

気になって進めないなら、気が済む調べる

 

時間配分の関係で、ある程度学習を推奨しています。

 

しかし、根拠などが気になりもっと調べたいという気持ちは、大変素晴らしいことです。

 

根拠を調べることで知識の定着が確実に進みますので、どうしても調べたいということであれば、気が済むまで調べてください。

 

ただ、毎回毎回は調べるのは控えるようにして下さい。

 

まとめ

 

最初に記述した、点で終わらず、線で結び、根拠などで線を太くするという勉強法が今回のポイントになります。

 

知識を系統立てることは重要ですが、始めから調べ過ぎず、ある程度に留めつつ、学習を進めていくことを心がけてみてください。

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