こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、意識レベルの評価方法、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)とGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)について解説していきます。

 

意識レベルの評価はJCSとGCS

 

意識レベルを評価するのに用いるスケールはどれか?という問いがあれば、基本的にこの2個のどちらかが選択肢にあるはずです。

 

意識レベルの評価=JCS・GCSをまずは覚えておきましょう。

 

JCS=ジャパン・コーマ・スケールの評価方法

 

覚醒に応じて3つのレベルに区分されています。

 

Ⅰ:刺激しなくても覚醒している状態

Ⅱ:刺激すると覚醒する状態

Ⅲ:刺激しても覚醒しない状態

(0:意識清明の状態)

 

各項目をそれぞれ見ていきますが、レベル間がどのように違うのか、ポイントをしっかり覚えるようにしてください。

 

Ⅰ:刺激しなくても覚醒している状態

 

 

Ⅰ-1:いまひとつはっきりしない状態

 

名前や生年月日、日付や場所、年齢など、変化する値においても答えることができるが、意識清明状態ではなく、どことなくボーっとしている状態を指します。

 

Ⅰ-2:見当識障害がある

 

名前や生年月日など、変化のないものは答えられるが、日付や場所など変化する値は答えられない状態

 

Ⅰ-3:名前や生年月日が言えない

 

名前や生年月日など、変化のないものでさえ答えられず、ただ覚醒している状態。

 

 

Ⅱ:刺激をすると覚醒する状態

 

 

Ⅱ-10:普通の呼びかけで覚醒する

 

「山田さん」と肩をポンっとたたくくらいで、容易に目を覚ます状態。

 

Ⅱ-20:大きな声で呼びかけると覚醒する

 

「山田さん!起きて下さい!」と大きな声で、体をゆすりながら呼びかけると目を覚ます状態。痛み刺激は加えていない状態です。

 

Ⅱ-30:痛み刺激を加えるとかろうじて覚醒する

 

呼びかけでは開眼せず、痛み刺激を加えることでどうにか覚醒する状態。痛み刺激を加えることで、どうにか目を開ける、ぎりぎりⅡレベルの状態です。

 

Ⅲ:痛み刺激でも覚醒しない状態

 

 

Ⅲ-100:痛み刺激に対して、払いのけるような動作をする

 

痛み刺激で開眼しないが、痛み刺激から逃げようとしたり、払いのけようとしたりする行動がみられる状態。

 

Ⅲ-200:痛み刺激に対して、顔をしかめるなど、わずかに反応がある状態

 

痛み刺激に対して、わずかに反応がある状態。Ⅲ-300は無反応状態なので、なにか少しでも反応がある状態がⅢ-200となる。

 

Ⅲ-300:痛み刺激に対して、全く反応しない

 

昏睡状態にあり、痛み刺激に対しても無反応。

 

GCS=グラスゴー・コーマ・スケール

 

GCSの評価は、開眼(E)・発語(V)・運動(M)の3つの機能ごとに評価します。

 

開眼(E):4段階、発語(V):5段階、運動機能(M):6段階で評価し、最大15点、最小3点の合計点を算出します。

 

開眼(eyes open) 4段階で評価

 

 

4点:自発的に開眼

3点:呼びかけ(命令)により開眼

2点:痛み刺激により開眼

1点:開眼しない

 

発語(best verbal response) 5段階で評価

 

 

5点:見当識がある

4点:意味のない会話をする

3点:意味のない単語を発する

2点:単語にならない発声のみ

1点:反応なし

 

運動機能(best motor response) 6段階で評価

 

 

6点:命令どおりにできる

5点:痛み刺激の部位がわかる

4点:痛みに手足を引っ込める

3点:四肢屈曲反応(病的屈曲)

2点:伸展反応

1点:反応なし

 

※難解問題の補足※

 

3点は除皮質硬直、2点は除脳硬直の姿勢を指します。

 

◉除皮質硬直:大脳皮質の広範囲の障害を示唆し、痛み刺激により、上肢は強く屈曲し、下肢は強く伸展するような姿勢をとります。

 

→そのため、3点は病的屈曲とされています。

 

◉除脳硬直:中脳や橋を中心とした脳幹の障害を示唆し、痛み刺激により、上下肢ともに強く伸展するような姿勢をとります。

 

→そのため、2点は伸展反応とされています。

 

第112回看護師国家試験で問われたGCS

 

JCSばかり問われていた国家試験で、今回はGCSが問われました。

 

 

午後94の状況設定問題なので、2点分です。

 

GCSの評価基準を覚えていれば解ける問題だったので、評価できるようにしておくことが大事です。

 

 

まとめ

 

◉意識レベルを評価する=JCS・GCS

 

◉JCSは覚醒のレベルに応じて、Ⅰ〜Ⅲに分類され、評価される。

 

◉GCSは発語・言語・運動の3つの機能ごとに評価され、合計点で算出される。

 

※除皮質硬直や除脳硬直は難しいですが、異常反射がM3, M2では出現しているということを頭の片隅に置いておいて下さい。

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、ビタミンの種類と機能・ビタミンが欠乏した場合の症状について、解説します。

 

ビタミン〇欠乏になるとどのような症状が出るか、といった問題は国家試験に頻出です。

 

ビタミンの機能を理解し、ビタミンが欠乏した時の症状が分かるようにしていきましょう。

 

そもそもビタミンって何?

 

ビタミンとは、人体の機能を正常に保つため必要な有機化合物になります。

 

三大栄養素に比べると微量ではあるものの、体内ではほとんど合成することができないため、食物から摂取する必要があります。

 

三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)に加え、ビタミン、ミネラルで五大栄養素と呼ばれます。

 

(ミネラルは無機質と呼ばれ、ナトリウム、カルシウム、鉄などがあります)

 

車で例えると、三大栄養素はガソリンで、ビタミンやミネラルはオイル(潤滑油)の役割と例えられます。

 

(車はガソリンがあれば走ることができますが、車の状態を維持するためにはオイルが不可欠なためです。)

 

 

ビタミンの種類

 

現在発見されているビタミンは13種類ほどあります。

 

その中でも、油に溶けやすい脂溶性ビタミンと水に溶けやすい水溶性ビタミンに分けられます。

 

脂溶性ビタミンはD,A,K,Eの4種類だけです。

 

水溶性ビタミンはB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、Cの9種類程度です。

 

 

水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの特徴

 

水溶性のビタミンは水に溶けるため過剰に摂取したとしても、余分な量は尿として排出されます。

 

一方、脂溶性ビタミンは水に溶けないため尿として排出されることがなく、体内では脂肪組織や肝臓等に貯蔵され、毎日少しずつ生体で消費されます。

 

水溶性ビタミンに比べると脂溶性ビタミンの方が蓄積されやすいため、過剰摂取には注意が必要です。

 

脂溶性ビタミンはこれだけ(DAKE)

 

脂溶性ビタミンはDAKEの4種類だけです。

 

 

一つ一つの役割と不足した時の症状を見ていきます。

 

ビタミンD

 

【役割】

カルシウムとリンの吸収を促進し、骨を丈夫にします

 

【不足】

骨軟化症、くる病(小児の骨軟化症)

 

ビタミンDが不足すると、カルシウムを十分に吸収できず、骨軟化症や骨粗鬆症、くる病などになるリスクがあります。

 

ビタミンA

 

【役割】

視細胞での光刺激反応に関与するロドプシンという物質の合成に必要なため、薄暗いところで視力を保ったり、目や皮膚の粘膜を健康に保つ役割があります。

 

【不足】

夜盲症、眼球乾燥

 

ビタミンK

 

【役割】

ビタミンKは血液凝固因子であり、肝臓でのプロトロンビンの生成に必要です。

 

【不足】

血液凝固因子が不足し、出血傾向となる。

 

ビタミンE

 

【役割】

血中のLDLコレステロールの酸化を抑制する、赤血球の破壊を防ぐなどの作用があります。

 

【不足】

赤血球が多く破壊されるため、溶血性貧血となるリスクがある。その他、皮膚炎、血行障害などがある。

 

水溶性ビタミン

 

水溶性ビタミンは、ビタミンB1, B2, B6,B12, C、葉酸、ナイアシン あたりは押さえておきたい内容になります。

 

特に、ビタミンB1, B12, 葉酸、ビタミンCは優先的に覚えておきましょう。

 

 

ビタミンB1

 

【役割】

ビタミンB1はエネルギー産生に必要(ピルビン酸からアセチルCoAへ変換する)。

 

エネルギー代謝に関する記事はこちらからどうぞ。

 

 

【不足】

脚気(足の浮腫、しびれ、動悸など)、ウェルニッケ・コルサコフ症候群(中枢神経が侵される障害)。

 

【補足説明】

ブドウ糖から十分にエネルギーを産生できなくなるため、食欲不振、疲労、だるさなどの症状が現れる。

 

特に脳へのエネルギーが不足すると、脳や神経にも障害を起こすため、ウェルニッケ脳症などが起こる。

 

ビタミンB12

 

【役割】

赤血球の生成を助ける(巨赤芽球性→赤血球に変換に必要なビタミン)

 

【不足】

未熟な赤血球である、巨赤芽球が増加するため、巨赤芽球性貧血となります。

 

【補足】

ビタミンB12の吸収には、胃の壁細胞から分泌される内因子が必要となります。

 

しかし、胃がんなどで胃の切除術をした場合、胃の内因子が欠乏するため、ビタミンB12を吸収することができず、結果として巨赤芽球性貧血となることがあります。

 

そのため、胃切除術後の患者に起こりやすい病態に巨赤芽球性貧血があることを覚えておきましょう。

 

葉酸

 

【役割】

赤血球の生成と核酸の生成

 

【不足】

ビタミンB12と同様、巨赤芽球貧血になります。また、二分脊椎の原因となるため、妊娠初期に葉酸を摂取することが推奨されています。

 

【補足】

葉酸は、ビタミンB群の一種で、ビタミンB9やビタミンMとも呼ばれます。ほうれん草から発見されたので、葉酸と名付けられました。

 

ビタミンC

 

【役割】

コラーゲンの生合成

 

【不足】

壊血病

 

【補足説明】

 

コラーゲンは皮膚や血管などを作っている主要なタンパク質になります。このコラーゲンを作るのに必要なのがビタミンCです。

 

体の中で、ビタミンCが無くなると、血管や皮膚の張りがなくなり、全身のあらゆるところから出血しやすくなります。

 

その他水溶性ビタミン①ビタミンB2、B6

 

市販のビタミン剤に多く含まれる成分で、皮膚炎や口内炎の予防や治療に役立ちます。

 

不足すると、皮膚炎や口内炎のリスクがあります。

 

その他水溶性ビタミン②ナイアシン

 

ナイアシンはビタミンB群の一種で、ビタミンB3とも呼ばれます。

 

様々な酵素の補酵素として働き、摂取不足になるとペラグラになります。

 

ペラグラの主症状は、皮膚炎や下痢、認知機能低下などになります。

 

ビタミンのまとめ

 

・ビタミンは身体の機能を整える潤滑剤のような役割

 

・脂溶性ビタミンはビタミンD, A, K, E

 

・水溶性ビタミンはビタミンB1, B12, 葉酸, ビタミンC(+ビタミンB2, B6, ナイアシン)。

 

ビタミンが欠乏した場合に起こる症状を、各ビタミンの役割から導き出せるように覚えていきましょう。

 

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、必修問題に焦点を当て、これまでの動向や出題傾向を分析していきたいと思います。

 

必修問題のこれまでの動向

 

看護師国家試験は、112回を数えますが、必修問題は当初から設けられていた訳ではありません。

 

第93回の国家試験から30問の必修問題が導入され、正答率80%の絶対基準が設けられました。

 

その後、第99回からは問題数が50問となり、40/50点以上が絶対基準となりました。

 

これまでの必修問題の問題数は全部で880問

 

第93~98回は30問なので、30問×6=180問

 

第99回~112回は50問なので、50問×14=700問

 

合計:180+700=880問がこれまで出題されてきました。

 

880問という数を多いと思う人もいるかもしれませんが、難易度を考えると全て解くことも可能かと思います。

 

余裕があれば、880問全てを解いてみるというのも良いかもしれません。

 

(※統計データなど古いデータもあるので、丸覚えはしないように)

 

必修問題全880問の出題基準とは

 

必修問題は出題基準(テスト範囲のようなもの)が定められていて、その範囲の中から出題されます。

 

テスト範囲と同様に、出題基準から全て出題される訳ではなく、必修にふさわしい問題を毎年50問選んで、出題されています。

 

特徴として、国家試験はプール制(過去の問題を繰り返し出題する方式)を取り入れているので、重要な問題ほど何度も出題されるようになっています。

 

そのため、何度も出題される問題もあれば、今までほとんど出題されていない問題もあります。

 

実際、毎年半分以上は、過去問の出題形式を変えて、同じような問題が出題されています。

 

正答率の高い問題は、ただ単に簡単な問題という訳ではなく、何度も出題される重要な問題であるため、多くの受験者が解け、正答率が高くなっているという仕組みになっています。

 

過去問を何度も解いていると、「これはよく見る問題だ」と気付くようになり、重要な問題を見出せるようになります。

 

ただ、重要なことは、全く同じ問題は出ないので、丸覚えせずに、応用がきくように学習していくことが大切になります。

 

出題傾向の分析

 

出題基準の目標別に、どのような出題傾向にあるのかを分析してみたいと思います。

 

看護師国家試験の出題基準の4つの目標

 

目標Ⅰ.看護の社会的側面及び倫理的側面について基本的な理解を問う

目標Ⅱ.看護の対象者及び看護活動の場について基本的な理解を問う

目標Ⅲ.看護に必要な人体の構造と機能及び健康障害と回復について基本的な理解を問う

目標Ⅳ.看護技術の基本的な理解を問う

 

出題基準の詳細な内容はこちらの記事からどうぞ。

 

 

 

必修問題の目標別の出題数:第104回~109回:300問

 

出題基準別の配点は以下のようでした。

 

目標Ⅰ 68点
目標Ⅱ 52点
目標Ⅲ 108点
目標Ⅳ 90点

 

分野別に出題数を整理すると、おおよそ以下のようでした。

 

1.解剖生理/病態生理/薬理学:108/300(50点換算:16/50)

2.基礎看護学:90/300(50点換算:15/50)

3.社会保障関連:72/300(50点換算:12/50)

 

第104回~109回:300問の分析結果の考察

 

解剖生理/病態生理/薬理学の配点が最も大きいですが、その分範囲はかなり広く、難易度も高いです。

 

一方、社会保障や基礎看護学の配点は解剖生理等に比べると配点は低いですが、学習する範囲は狭く、難易度は低いです。

 

特に、社会保障などの分野は重要な問題は決まっているので、一気に覚えてしまうことで、必修の社会保障の範囲分の得点を上げることが可能です。

 

一方、解剖生理/病態生理/薬理学の範囲は、重要な問題が多く、絞りにくい分野なので、一般問題を見据えながら、丁寧に学習することが大切になります。

 

必修問題とひとくくりにせず、目標別に問題を解き進めることも大事です。

 

必修問題の得点アップのためには

 

先述の通り、必修問題とひとくくりにしてしまわず、目標別に理解度(得点状況)を把握することが重要です。

 

必修問題38/50点だったとしたら、-12点はどこの範囲なのかを知ることです。

 

理解していない、苦手な分野を知ることで、重点的にその分野を強化することができるからです。

 

模試を受けると模試の結果で簡単に情報を得られると思います。

 

ただ、模試だけでは不十分なので、自己学習の中でも出題基準に照らし合わせ、苦手な分野を見出していくことが重要です。

 

その上で、苦手分野の問題のピックアップ集を作っていくなどできればさらに良いですね。