年別:2023年

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、看護師国家試験対策アプリだけで合格ができるのか、についてです。

 

国家試験対策といえば、QBなどの過去問集とレビューブックを購入し、繰り返し学習で知識を定着させていく、というのが一番オーソドックスな方法です。

 

しかし、学生の中には、過去問集やレビューブックを購入しないで、アプリだけで合格してしまう学生もいました。

 

結論、アプリだけで合格することは可能だということです。

 

※補足ですが、学校から配布されるプリントなどは解いていました。

※基本的には自分自身への前投資として、参考書等は購入することをおすすめします。

 

上記2点も踏まえ、アプリ学習のメリットと、アプリ学習のデメリットを克服する学習方法をお伝えします。

 

アプリの種類と特徴

 

看護師国家試験対策のアプリは何種類かありますが、よく学生が活用しているアプリは、看護rooQB(クエスチョン・バンク)です。

 

その他にもありますが、そこまで大きな差は感じませんので、見やすさや使い馴染みの良さで選択すれば良いかと思います。

 

QBを購入している人であれば、連動しやすいので、QBアプリをおすすめします。

 

アプリの利点

 

過去20年相当の全問題を解くことができる

 

②問題を年代別に解くこともできれば、分野毎に解くこともできる

 

③一問一答形式で解き進められ、正誤のポイントとなる解説もすぐに見ることができる

 

アプリも素晴らしい力を秘めていますので、ぜひ活用すべきだと思います。

 

アプリ学習のメリット

 

アプリ学習のメリットは大きく分けて3つあります。

 

①手軽さ

 

移動中や隙間時間を活用して、いつでもどこでも学習することができます。

 

分厚い過去問集やレビューブックを持ち運ぶだけでも辛い、机の上で開くのも辛い、という悩みが一気に無くなります。

 

学習に挑むハードルが低い分、はじめの一歩が出やすいです。

 

②効率的に問題が解ける

 

問題集やレビューブックなど、参考書というのは関連する必要事項はあれもこれも載せてしまう傾向にあり、文字の羅列に圧倒されてしまいます。

 

アプリの場合、問題を解くにあたり必要最低限の知識だけを載せており、あれこれ振り回されることがないので、解くスピートが上がります。

 

効率良く過去問を周回することができます。

 

③苦手分野をピックアップできる

 

問題集でも付箋を貼ったり、目印を付けたりすることで、苦手分野などをピックアップすることはできますが、紛れ込んでしまいがちです。

 

自分自身で理解している問題と理解していない問題を整理することが非常に大事です。

 

アプリの場合は、間違えた問題や自信の無い問題は、要復習問題として保存することができ、要復習問題だけを繰り返し解くこともできます。

 

間違えた問題の分野毎の分析もしてくれますので、自分の苦手分野も分かります。

 

(得点率の低い分野は解剖生理・病態生理など、そもそも国家試験で得点率が低い分野に集まることが多いので、参考程度で良いかと思います。)

 

アプリ学習のデメリット

 

アプリ学習のメリットの裏返しがデメリットになります。

 

①手軽く始められる分、手軽に止められる

 

スマホアプリになるため、誘惑に負けることが多々あります。

 

電話などの通知、様々なSNSを活用できるスマホの中で、勉強アプリを使い続けられるかが鍵となります。

 

紙の参考書の場合は、スマホを手元に置かずに学習するなどの工夫ができるため、集中力を保って学習することも可能ですが、アプリは難しいです。

 

相当の精神力が必要になります。

 

②効率的な解説の分、解説が物足りない

 

関連事項をあれもこれも載せていない分、関連して覚えてほしいことが抜け落ちてしまうことが多々あります。

 

関連して覚えたり、知識を深めたりすることができないという点から考えると、アプリ学習はやや非効率な方法になってしまうかもしれません。

 

系統的に学習するためには、関連した知識をつなぎ合わせていくことが重要になります。

 

一問一答形式のアプリの最大の弱点とも言えます。

 

③苦手分野のピックアップ

 

裏返しで記述してきたので、苦手分野のピックアップ欄も作成しましたが、アプリ学習の苦手分野のピックアップ能力は素晴らしいので、特にデメリットありません。

 

ただ、苦手分野をピックアップしたところで、苦手分野を丸暗記するしかアプリ学習の場合、方法はありません(解説が不十分なところが多いため)。

 

効果的なアプリ学習方法

 

上記のメリット・デメリットを踏まえた上で、おすすめのアプリ学習方法を紹介します。

 

①アプリ学習のためのスマホやタブレットなどを用意する(おすすめはipad)

 

学習専用端末を作ってしまう戦略です。

 

普段使いしているスマホで無ければ、不要な通知がありません。

 

また、他の誘惑のあるアプリを入れなければ、集中力も保ちやすいかと思います。

 

使っていないスマホなどを活用しても良いかと思いますが、学習用の端末としておすすめはipadです。

 

②解説だけでは関連事項が不十分な場合は調べる

 

アプリの解説だけでは根拠などが不十分で、覚えられない、知識が定着ができないと感じた場合は、深く調べることが重要です。

 

一番手軽な方法は、分からない問題をスクリーンショットして保存し、その解説をネットや教科書で調べ、調べた内容もスクリーンショットなどで一緒に保存しておくことです。

 

ipadをおすすめする理由としては、問題のスクリーンショットと解説のスクリーンショットをgoodnotesのアプリなどにまとめていくことができるため、手軽にノートが作れるという点でかなり便利です。

 

③苦手問題は10周解く

 

アプリ最大の利点は、数多くの問題を手軽に進めることができるということです。

 

苦手問題に限らず、何周も過去問を解き続けていきましょう。

 

周回を重ねることで、何回しても覚えられない問題や、何度も出てくる問題が分かってきます。

 

そういった問題をピックアップし、②に挙げたような方法で深く覚えていくようにする、というような段取りで行うのをおすすめします。

 

最初から頻出問題や重要な問題、関連事項を調べた方が良い問題などが分かる訳ではありません。

 

 

④必修問題は100周するつもりで周回する

 

必修問題は8割(40/50点)に満たなかった時点で不合格になる、超重要項目の問題です。

 

絞るまでもなく必修問題はすべて重要項目になりますので、100周するつもりで解き進め、分からない問題はノートにまとめるなどしましょう。

 

必修問題は第93回から設定され、ようやく20年になるので、問題数は850問程度であり、基礎的な項目も多いので、周回するのもそこまで難しくはありません。

 

参考までに、、アプリ学習で合格した学生は、国家試験の1ヶ月前からは、必修850問を毎日解くようにしており、その結果必修は49/50点とれていました。

 

もちろん②のようなまとめ学習も取り入れていましたが、周回による暗記の効果もかなり出ていたと思います。

 

アプリ学習の筆者の意見

 

最後に、筆者の意見は、アプリだけで合格を目指すのは非効率であり、あまりおすすめはしない、ということです。

 

しかし、手軽に多くの問題を周回でき、苦手問題を分析してくれる、というアプリのメリットはしっかり活用すべきだと考えています。

 

アプリ学習のデメリットを補うためには、やはり紙の参考書などをベースとして活用し、参考書で学習した内容を忘れないためにアプリで周回するというサポート的な活用をおすすめします。

 

アプリ学習で合格を目指すための方法のまとめ

 

①学習用の端末を用意する。できればipadを活用し、goodnotesなどのノートアプリと連動させる。

 

②アプリに収録されている20年分の問題(5000問相当)を周回する。

 

③何度も出題される問題、理解しづらい問題が分かってくるので、その問題はノートにまとめたり、調べたりすることで不足を補う。

 

④必修問題は100周するつもりで周回し、満点を目指す。

 

アプリ学習に限らず、国家試験の勉強はいかに周回を重ね、大事な問題や苦手な問題を理解し、勉強に活かしていけるかが重要になってきます。

 

紙ベースではやる気が出ないが、アプリならやる気が出るという人もいるのも事実ですので、自分に合った学習方法を見つけてあげることも大事にしてください。

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こんにちは、講師のサキです。

 

ここでは、必修出題基準に沿って、過去に国家試験で出題された問題を紹介しています。

 

必修問題の出題基準に沿って問題を整理しています。出題基準についてはこちらの記事からどうぞ。

 

 

 

目標Ⅰ-A-b.年齢別人口に関する問題

 

 

問題1 日本における令和4年の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。
1. 19%
2. 29%
3. 39%
4. 49%

 

解答:2

 

老年人口は29.0%である。

 


 

問題2 令和4年における日本の高齢化率はどれか。
1. 9%
2. 19%
3. 29%
4. 39%

 

 

解答:3

 

問題3と同様。高齢化率とは、総人口に占める老年人口の割合のことである

 


 

問題3 日本の令和3年の生産年齢人口の構成割合に最も近いのはどれか。
1. 49%
2. 59%
3. 79%
4. 89%

 

 

解答:2

 

生産年齢人口の構成割合は59.4%である。

 


 

問題4 人口年齢区分における15歳から64歳までの年齢区分はどれか。
1. 従属人口
2. 年少人口
3. 老年人口
4. 生産年齢人口

 

 

解答:4

 

知識を広げよう

 

①年少人口  :0-14歳 :1450万人:11.6%

生産年齢人口:15-64歳 :7421万人:59.4%

③老年人口  :65歳以上 :3624万人:29.0%

 

過去に主題されているのは赤文字の部分ですが、

その周辺知識も必ず押さえておくことで、必修問題の得点が安定してきます。

 

コツコツと大事に覚えていきましょう。

 

レビューブックにはそういった周辺知識をまとめてくれています↓↓

 

 

レビューブックは看護師国家試験のおすすめ図書No.1です

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

必修問題の出題基準に沿って、過去に国家試験で出題された問題を紹介します。

 

必修問題の出題基準に沿って問題を整理していますので、出題基準についてはこちらの記事からどうぞ。

 

 

 

目標Ⅰ-A-a.総人口に関する問題

 

問題1 令和4年(2021年)の日本の総人口に最も近いのはどれか。
1. 1億人
2. 1億500万人
3. 1億2500万人
4. 1億4500万人

 

解答:3

 

日本の総人口は令和4年10月1日現在、1億2,495万人である。

 


 

問題2 令和3年の日本の人口推計で10年前より増加しているのはどれか。
1. 総人口
2. 年少人口
3. 老年人口
4. 生産年齢人口

 

 

解答:3

 

老年人口のみ増加しており、その他は減少している。

 

統計データなどは丸覚えするだけでなく、

現代社会の情勢を一緒に理解していくようにしましょう。

 

 

こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、【免疫学】Ⅰ型アレルギーとIgEについて 〜マスト細胞とは?〜です。

 

マスト細胞は肥満細胞とも呼ばれます。

 

即時型アレルギーであるⅠ型アレルギーの際によく耳にする名称ですが、実際のところ何なのかよく分からない物質かと思います。

 

貪食能を有する好中球やマクロファージ、樹状細胞などとの違いを知り、簡潔に覚えておきましょう。

 

マスト細胞(肥満細胞)とは

 

別名、肥満細胞と呼ばれますが、肥満とは関係無いようです。

 

見た目がふくよかなため、肥満な細胞ということで、肥満細胞と呼ばれているようです。

 

ヒスタミンなど多数の化学物質が含まれているため、大きな細胞となっています)

 

次に、何に分類されるかというと、白血球の一種になります。

 

発現の方法は不明な部分も多いようなので、とりあえず白血球の一種で、免疫応答に関わっている物質と覚えておいてください。

 

マスト細胞の役割とアレルギー反応の機序

 

マスト細胞は、全身に広く分布していますが、特に皮膚や皮下組織に多いです。

 

マスト細胞の表面には、IgE抗体が付着しており、細胞内にはヒスタミンなどの物質を蓄えています。

 

マスト細胞の表面にあるIgE抗体に、アレルゲンなどの抗原と反応するとヒスタミンなどの化学伝達物質を放出します。

 

この化学伝達物質により、血管透過性が亢進し、血流増加や炎症細胞遊走など炎症反応が引き起こされます。

 

この結果、身体症状として、アレルギー反応が出現します。

 

(花粉が鼻粘膜に付着すると花粉症の症状が出現する)

 

マスト細胞はアレルギーを引き起こす不要な物質なのか

 

マスト細胞はアレルギー反応を引き起こす不要な物質ととれそうですが、寄生虫感染防御や細菌感染防御にも重要な役割を担っています。

 

しかし、寄生虫感染が少なくなった現代では、どちらかというとアレルギーを引き起こす原因物質という認識でもあるようです。

 

類似した物質に、好塩基球というのも存在します。

 

厳密に言うと違う物質のようですが、一昔前は同じ物質と考えられていたくらい似た物質なので、試験レベルでは同じ物質と捉えていても問題無いかと思います。

 

好塩基球もマスト細胞と同様に、表面にIgE抗体を有し、抗原と反応することでヒスタミンを放出します。

 

マスト細胞(と好塩基球)のまとめ

 

マスト細胞は、細胞内にヒスタミンなどの化学伝達物質を蓄えたふくよかな細胞。

 

マスト細胞の表面には、IgE抗体が存在し、アレルゲンなどの物質がIgE抗体と反応すると、細胞内のヒスタミンが放出される。

 

放出されたヒスタミンが、細胞周囲の血管透過性を亢進させ、炎症反応が起こり、アレルギー症状が出現する。

 

問題形式としては、Ⅰ型アレルギーに関与するの物質は?

 

IgE、マスト細胞(肥満細胞)、好塩基球、などが正解の選択肢となります。

 

補足

 

好中球やマクロファージ、樹状細胞などはいづれも血液中の白血球の一種です。

 

これらはすべて貪食能(異物を食べて取り込む)を持ちます。

 

特に、マクロファージや樹状細胞はT細胞に抗原提示を行う細胞でもあるため、重要な物質になります。

 

マスト細胞も同じように免疫応答に働きますが、異物を貪食するのではなく、アレルゲン(抗原)に抗体が反応し、ヒスタミンを放出して免疫応答をする物質ということになります。

 

体内で起こる反応なので、イメージするのが難しいですが、それぞれの役割を簡単にでも覚えることが大切になります。

 

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、【薬理学】向精神薬の種類と特徴 〜抗精神病薬と抗うつ薬の副作用が頻出〜です。

 

向精神薬には、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬、抗認知症薬などがあります。

 

精神に効く(向かう)薬剤のことを、向精神薬と一般に呼ばれており、向精神薬には多くの種類があります。

 

向精神薬は、種類が多く、色々と覚えると混乱しますので、優先度の高いものだけをまずは覚え、知識を広げていくことをおすすめします。

 

今回は、抗精神病薬と抗うつ薬を取り上げて解説していきます。

 

抗精神病薬の種類と特徴と副作用

 

向精神薬の中で圧倒的に出題されるのが、抗精神病薬です。

 

抗精神病薬は主として、統合失調症の治療に用いられる薬で、ドパミンの活動を抑えることにより、幻覚や妄想を抑え、鎮静作用を発揮します。

 

抗精神病薬は定型抗精神病薬(旧型)と非定型抗精神病薬(新型)に大きく分けられる

 

非定型抗精神病薬(新型)の方が、副作用が少なく、陽性症状だけでなく陰性症状にも効くという利点から、治療の中心となっています。

 

定型抗精神病薬:クロルプロマジン、ハロペリドールなど

非定型抗精神病薬:リスペリドン、オランザピンなど

 

(あまり薬剤の名称は問われることはありません)

 

抗精神病薬の副作用

 

※副作用は必ず覚えておきましょう。

 

錐体外路症状(EPS)自律神経症状、高プロラクチン血症による乳汁分泌や性機能障害、眠気、悪性症候群、高血糖、体重増加などがあります。

 

錐体外路症状や高プロラクチン血症は定型抗精神病薬、高血糖や体重増加は非定型抗精神病薬で起こりやすい。

 

そのため、糖尿病患者の場合には非定型抗精神病薬を使用できないこともあります。

 

錐体外路症状

 

パーキンソン症候群、アカシジア、ジストニア、ジスキネジアなどの症状の総称です。

 

①パーキンソン症候群:安静時振戦、無動、筋強剛、姿勢保持障害など

 

②アカシジア:静座不能。じっとできず動き回る。

 

③ジストニア:異常な筋緊張により奇妙な姿勢となる

 

④ジスキネジア:咀嚼用運動、舌の突出、顔をしかめるなど

 

自律神経症状:抗コリン作用

 

口渇、排尿困難、便秘などの抗コリン作用が出現します。

 

特に口渇により、多飲となり、水中毒となりやすいのも特徴です。

 

(抗精神病薬の長期投与による抗利尿ホルモン不適合分泌症候群も加わり)

 

水中毒により、低Na血症となり、頭痛、易疲労感、食欲不振などもみられます。

 

悪性症候群

 

抗精神病薬などの向精神薬の服用開始時や増減、中断によって発症します。

 

症状は、先述した錐体外路症状や自律神経症状に加え、高熱などが出現するのが特徴です。

 

 

抗うつ薬の種類と副作用

 

もうひとつ頻出なのが抗うつ薬になります。

 

抗うつ薬はその名の通り、うつ病の患者に投薬されます。

 

目的は、セロトニンやノルアドレナリン神経の機能を正常化することです。

 

抗うつ薬の種類と特徴

 

抗うつ薬には、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、SNRI、NaSSAなどの種類があります。

 

(三環系や四環系は、見た目の化学的構造からその名称となっています。)

 

薬剤の基本性能は、セロトニンやノルアドレナリンを体内へ再取り込みすることを阻害することで、神経の機能を改善しようとします。

 

三環系や四環系は、セロトニンやノルアドレナリン以外の神経物質にも作用し、効果が強いため、副作用も強いです。

 

一方、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、セロトニンだけの再取り込みを阻害するため、副作用が少なく、治療の第一選択薬となっています。

 

SNRIやNaSSAもそれぞれ特徴はあります。名前だけは覚えておいてください。

 

※SNRI:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

※NaSSA:ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動薬

 

抗うつ薬の副作用:セロトニン症候群

 

SSRIの副作用として、セロトニン症候群があります。

 

脳内のセロトニン活性の過剰により、不安・焦燥、発熱、ミオクローヌスなどを生じます。

 

その他、消化器系の副作用(悪心・嘔吐・下痢)なども見られ、三環系抗うつ薬などは抗コリン作用による口渇、便秘、尿閉、起立性低血圧なども見られます。

 

まとめ

 

向精神薬の中で頻出なのは、抗精神病薬、次いで抗うつ薬。

 

抗精神病薬は定型と非定型に分けられ、現在は非定型が治療の中心である。

 

抗精神病薬の副作用は、錐体外路症状、自律神経症状、悪性症候群などである。

 

抗うつ薬は三環系と四環系、SSRI、SNRI、NaSSAなどがある。

 

セロトニン再取り込み阻害による、セロトニン症候群が副作用として頻出である。

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こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、副交感神経作用薬:抗コリン薬の特徴と禁忌についてまとめていきます。

 

神経系のノルアドレナリンとアセチルコリンの記事でも一部触れていますので、合わせてご覧ください。

 

抗コリン薬が禁忌となる疾患は?

 

これがよく出題される問題です。

 

回答となる選択肢は、緑内障と前立腺肥大症になります。

 

逆の作用で、コリン作動薬が禁忌となる疾患は? となると・・

 

気管支喘息や消化性潰瘍が回答となります。

 

これを丸覚えすると忘れてしまうので、根拠を持って覚えるようにしてください。

 

抗コリン薬が禁忌となる根拠は、交感神経か副交感神経か

 

コリン作動薬と抗コリン薬はどちらも、副交感神経作用薬に分類されます。

 

アセチルコリンは副交感神経を優位にさせる働きがありますので・・

 

アセチルコリンを作動させる薬=コリン作動薬は副交感神経を優位にさせる

 

抗コリン薬はアセチルコリンを止める薬=抗コリン薬は副交換神経ではなく交感神経を優位にさせる

 

という特徴があります。

 

つまり、交感神経が優位になった場合、副交感神経が優位になった場合、身体にはどのような変化があるのかを理解しておくことが重要です。

 

交感神経が優位になった場合(抗コリン薬を投与した時)

 

交感神経は身体を活動的な状態にする神経です。

 

身体には以下のような反応が起こります。

 

瞳孔散大、排尿筋弛緩(蓄尿)、消化管運動抑制、血圧上昇、脈拍増加、気管支拡張

 

瞳孔散大すると眼圧が上昇し、緑内障の悪化の可能性があるため禁忌となります。

 

また、排尿筋が弛緩するなど蓄尿状態となるため、前立腺肥大症などの患者に投与すると尿閉に陥る可能性があります。

 

その他、消化管運動を抑制するため、イレウス患者にも投与できません。

 

副交感神経が優位になった場合(コリン作動薬を投与した時)

 

副交感神経は身体を休める状態にする神経です。

 

交感神経とは逆に、以下のような身体反応となります。

 

眼球縮小、排尿筋収縮、消化管運動促進、血圧低下、脈拍低下、気管支収縮

 

気管支収縮すると、気管支喘息を悪化させてしまうため、禁忌となります。

 

同じように、消化管運動促進させてしまうと消化性潰瘍を悪化させるため、禁忌となります。

 

自律神経作用薬の問題を考える時には、自律神経系の働きを理解して、正解となる選択肢を導き出すようにしてください。

 

まとめ

 

①コリン作動薬と抗コリン薬は副交感神経作用薬

 

②コリン作動薬は副交感神経を優位にし、抗コリン薬は交感神経を優位にする

 

③交感神経が優位になると、瞳孔散大、排尿筋弛緩、消化管運動抑制などが起こる

 

抗コリン薬は、緑内障・前立腺肥大症・イレウス患者には禁忌

 

④副交感神経が優位になると、気管支収縮、消化管運動亢進などが起こる

 

コリン作動薬は、気管支喘息・消化性潰瘍の患者には禁忌

 

丸覚えではなく、根拠も合わせて覚えるようにしましょう。

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