こんにちは、さきです。
この記事では、脳科学に基づく記憶術から、看護師国家試験の過去問を進める方法と復習するタイミングについて、紹介します。
記憶にある4つのレベル「セレゴ・メゾット」
「セレゴ・メゾット」によると、記憶の段階を4つのレベルに分類しています。
・ファミリア(familiar)=親近感
・リコグニション(recognition)=見分ける
・リコール(recall)=再生する
・オートマティック(automatic)=自動的→習熟
記憶の4つのレベルを知ることで、今記憶のレベルはどの段階にあり、どのような学習計画で学習していけばよいか分かるようになります。
まずは一つずつ意味とどのレベルまで学習に必要なのかを見ていきます。
ファミリア
「覚えたことがある」という程度の記憶になります。
聞いた、見たことがあり、知っているような気がするが、何かを思い出せるわけではなく、知識としては役に立たないレベルの記憶です。
国家試験の過去問を解く上で、さらっと見て、解き進めてしまうと、このレベルの記憶になってしまいます。
広く浅く・ある程度学習が必要ですが、この段階だと浅すぎる学習になり、ほとんど覚えていない、使えない知識として考えてください。
リコグニション
見分けるという意味にあるように、自力では思い出せないけれど、選択肢を与えられれば見分けることができるというレベルの記憶になります。
記述の試験などでは厳しい記憶のレベルになりますが、国家試験の場合は最低限このリコグニションのレベルまで記憶していれば、正解にたどり着けることになります。
ただ、正確には覚えていないので、似た選択肢を出題されることで簡単に引っかかってしまう可能性もあります。
そのため、ある程度学習を進める中で大事なのは、リコグニションのレベルまで覚えて、次の問題に進み、繰り返し復習することで、次の段階のレベルに引き上げていくという意識が重要になります。
リコール
再生するという意味になり、選択肢が無くとも、自分で思い出すことができるという高いレベルの記憶のことになります。
国家試験において記述はありませんが、リコールまでの知識を増やすことで、正答だけでなく、なぜ他の選択肢が誤答なのかまで理解でき、正答率をさらに高めることにつながります。
ただ、ある程度学習においては、かなり踏み込んで覚えている状態になりますので、1周目の学習からこのレベルを目指してしまうと、時間がかかり非効率です。
エビングハウスの忘却曲線であるように、1時間後、1日後、1週間後くらいを目安に繰り返し、記憶を強化していく中で、リコールの知識まで引き上げるイメージです。
また、看護師国家試験問題には様々なレベルの問題が出題されます。
かなり難解レベルの問題に関しては、リコグニションのレベルでも十分なものもあり、頻出される十分理解してほしい問題では、リコール以上の暗記を超えたレベルにまで到達してほしいようなこともあります。
オートマティック
自動的という意味で。思い出そうとしなくても自然に浮かんでくる高いレベルの記憶になります。自分の名前や今話している日本語などもこれに該当します。
看護師国家試験対策では、オートマティックまで知識を引き上げる必要は無いかもしれません。
しかし、学生を見ていると、実習で学んだ知識などはオートマティックに活用できているように思います(糖尿病→インスリン→低血糖→BS:80未満、HbA1C:6.5・・など)。
これから勤務する専門領域では、このオートマティックのレベルまで知識を増やしていきましょう。
この4段階で重要なこと
・ファミリアのレベルの勉強は意味が無い。リコグニションのレベルまで覚えるような、ある程度学習を進めることが重要。
・リコグニションのレベルから学習繰り返し、リコールのレベル(最大オートマティック)まで引き上げることが目標。
ファミリアレベルのような薄い勉強、リコール以上の分厚過ぎる勉強は無駄になるということを意識してほしいと思います。
復習のタイミングと回数
この記憶の4段階のレベルから復習のタイミングを考えると、リコグニションのレベルまで記憶して学習し、ファミリアのレベルに落ちる前に復習するということが必要です。
そのタイミングは、エビングハウスの忘却曲線から導き出された1時間後の忘却状態がおそらくファミリアの記憶レベルになっていると推測できます。
こういった理由から、学習後1時間経過したら、進めた分の内容を復習するという学習スタイルを推奨しています。
それ以降、リコール以上の段階に進めるためには、4-5回の復習が必要になります。
基本的には1時間、1日、1週間、1カ月後程度を目安に繰り返すことを意識して下さい。
かなり勉強しないといけないように見えますが、1回目の半分の力で2回目の学習ができ、2回目の半分の力で3回目の復習ができ、3回目の半分の力で4回目の復習ができますので、想像以上に短時間で知識を定着させることができると思います。
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