こんにちは、講師のサキです。

 

今回はホルモンの受容体が存在する場所が、細胞膜上にあるのか細胞質内にあるのか、という問いついて解説していきます。

 

例として、以下のような問題が出題されています。

 

【第108回午後27】

標的細胞の細胞膜に受容体があるのはどれか。

  1. 1. 男性ホルモン
  2. 2. 甲状腺ホルモン
  3. 3. 糖質コルチコイド
  4. 4. 甲状腺刺激ホルモン

 

今後も、「受容体が細胞膜上にあるのはどれか」というような問題が出題される可能性があるので、しっかり区別して覚えておきましょう。

 

上の問題の意図が分かるように解説していきます。

 

受容体が存在する場所を決める要因

 

受容体が存在する場所は、脂溶性ホルモンか水溶性ホルモンかによって区別されています。

 

細胞膜はリン脂質二重構造となっており、脂溶性の物質は細胞の中に入ることができます。

 

つまり、脂溶性のホルモンは細胞の中に入ることができるので、脂溶性ホルモンに対する受容体は、細胞質内にあります。

 

一方、水溶性のホルモンは細胞の中に入ることができません。

 

(油と水は分離して混ざりません)

 

そのため、水溶性ホルモンに対する受容体は、細胞膜上にあります。

 

受容体の場所を覚える上で、まずは脂溶性ホルモンの受容体は細胞質内にあり、水溶性ホルモンは細胞膜上にあるということを覚えておきましょう。

 

脂溶性ホルモンに分類されるホルモン

 

脂溶性ホルモンに分類されるホルモンは、大きく分けて3種類あります。

 

①副腎皮質ホルモン

②性腺ホルモン

③甲状腺ホルモン

 

つまり、3つに該当するホルモンの受容体は、細胞質内にあるということです。

 

①副腎皮質ホルモン

 

①コルチゾール(糖質コルチコイド)

②アルドステロン

③アンドロゲン

 

※アンドロゲンは副腎皮質ホルモンであり、性腺ホルモンにも属します。

 

性腺ホルモン

 

①エストロゲン

②プロゲステロン

③アンドロゲン

 

甲状腺ホルモン

 

①T3:トリヨードサイロニン

②T4:サイロキシン

 

水溶性ホルモンとは

 

上記の脂溶性ホルモン以外は全て水溶性ホルモンに分類されます。

 

水溶性ホルモンが多いため、脂溶性ホルモンを覚えておくようにしましょう。

 

まとめ

 

ホルモンの受容体が存在する場所を決める要因は、そのホルモンが細胞膜を通過できるかどうかがポイントになる。

細胞膜を通過できるホルモンであれば、受容体は細胞質内に受容体がある。

細胞膜を通過できるホルモン=脂溶性ホルモン

脂溶性ホルモン=甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、性腺ホルモン

①コルチゾール

②アルドステロン

③アンドロゲン

④エストロゲン

⑤プロゲステロン

⑥T3:トリヨードサイロニン

⑦T4:サイロキシン

 

※よって、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、性腺ホルモンに該当する上記の7種のホルモンの受容体は細胞質内にある。

 

細胞膜を通過できないホルモンであれば、受容体は細胞膜上に受容体がある。

細胞膜を通過できないホルモン=水溶性ホルモン

水溶性ホルモンは数が多いので、脂溶性ホルモン以外のホルモンと覚えておく。

 

丸暗記ではなく、なぜ受容体の場所が違うのか、理論も合わせて暗記するようにしましょう。

 

【第108回午後27】

標的細胞の細胞膜に受容体があるのはどれか。

  1. 1. 男性ホルモン
  2. 2. 甲状腺ホルモン
  3. 3. 糖質コルチコイド
  4. 4. 甲状腺刺激ホルモン

 

細胞膜上に受容体がある=細胞膜を通り抜けできない水溶性ホルモンを選択する

 

解答:4

 

男性ホルモン、甲状腺ホルモン、糖質コルチコイドは脂溶性ホルモンです。

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