こんにちは、講師のサキです。
今回は、副交感神経作用薬:抗コリン薬の特徴と禁忌についてまとめていきます。
神経系のノルアドレナリンとアセチルコリンの記事でも一部触れていますので、合わせてご覧ください。
抗コリン薬が禁忌となる疾患は?
これがよく出題される問題です。
回答となる選択肢は、緑内障と前立腺肥大症になります。
逆の作用で、コリン作動薬が禁忌となる疾患は? となると・・
気管支喘息や消化性潰瘍が回答となります。
これを丸覚えすると忘れてしまうので、根拠を持って覚えるようにしてください。
抗コリン薬が禁忌となる根拠は、交感神経か副交感神経か
コリン作動薬と抗コリン薬はどちらも、副交感神経作用薬に分類されます。
アセチルコリンは副交感神経を優位にさせる働きがありますので・・
アセチルコリンを作動させる薬=コリン作動薬は副交感神経を優位にさせる
抗コリン薬はアセチルコリンを止める薬=抗コリン薬は副交換神経ではなく交感神経を優位にさせる
という特徴があります。
つまり、交感神経が優位になった場合、副交感神経が優位になった場合、身体にはどのような変化があるのかを理解しておくことが重要です。
交感神経が優位になった場合(抗コリン薬を投与した時)
交感神経は身体を活動的な状態にする神経です。
身体には以下のような反応が起こります。
瞳孔散大、排尿筋弛緩(蓄尿)、消化管運動抑制、血圧上昇、脈拍増加、気管支拡張
瞳孔散大すると眼圧が上昇し、緑内障の悪化の可能性があるため禁忌となります。
また、排尿筋が弛緩するなど蓄尿状態となるため、前立腺肥大症などの患者に投与すると尿閉に陥る可能性があります。
その他、消化管運動を抑制するため、イレウス患者にも投与できません。
副交感神経が優位になった場合(コリン作動薬を投与した時)
副交感神経は身体を休める状態にする神経です。
交感神経とは逆に、以下のような身体反応となります。
眼球縮小、排尿筋収縮、消化管運動促進、血圧低下、脈拍低下、気管支収縮
気管支収縮すると、気管支喘息を悪化させてしまうため、禁忌となります。
同じように、消化管運動促進させてしまうと消化性潰瘍を悪化させるため、禁忌となります。
自律神経作用薬の問題を考える時には、自律神経系の働きを理解して、正解となる選択肢を導き出すようにしてください。
まとめ
①コリン作動薬と抗コリン薬は副交感神経作用薬
②コリン作動薬は副交感神経を優位にし、抗コリン薬は交感神経を優位にする
③交感神経が優位になると、瞳孔散大、排尿筋弛緩、消化管運動抑制などが起こる
=抗コリン薬は、緑内障・前立腺肥大症・イレウス患者には禁忌
④副交感神経が優位になると、気管支収縮、消化管運動亢進などが起こる
=コリン作動薬は、気管支喘息・消化性潰瘍の患者には禁忌
丸覚えではなく、根拠も合わせて覚えるようにしましょう。