こんにちは、講師のサキです。
今回は、消化管ホルモンの種類と作用機序 〜ガストリンとセクレチン〜です。
消化管ホルモンにはいくつか種類があったり、胃酸や粘液がどの細胞から分泌されるのか、ごちゃごちゃになりやすい分野です。
丸覚えするのではなく、実際に食べ物を食べる時に起こる作用順序を理解し、整理して覚えていきましょう。
消化管ホルモン①ガストリンの発生=胃内への食物の流入
消化管ホルモンの分泌の始まりは、胃内への食物の流入です。
胃内に食物が入ることで起こる2つの反応:
①G細胞からガストリンが分泌されます。ガストリンは壁細胞を刺激し、胃酸分泌が促進します。
②主細胞からペプシノーゲンが分泌されます。ペプシノーゲンは胃酸の作用によりペプシンとなり、蛋白質分解酵素となります。
【ポイント】
- 1. G細胞からはガストリン
2. 壁細胞からは胃酸
3. 主細胞からはペプシノーゲン
◉ペプシノーゲン+胃酸=ペプシン(蛋白分解酵素)
消化管ホルモン②セクレチンの発生=十二指腸への食物の流入
食物が十二指腸に到達すると、胃の運動を弱めることと、消化酵素の分泌を促すことが必要になります。
十二指腸に食物が入ることで起こる3つの反応
①十二指腸S細胞からセクレチンが分泌されます。セクレチンはG細胞に作用し、ガストリン分泌を抑制し、胃酸分泌・胃の運動を抑制します。また、膵液分泌も促進します。
②十二指腸K細胞からGIP(インクレチン)が分泌されます。GIPは、壁細胞に作用し、胃酸分泌を抑制したり、グルコースに反応してインスリン分泌を促します。
③十二指腸I細胞からコレシストキニンが分泌されます。コレシストキニンは、胆嚢収縮により、胆汁を十二指腸に流し込む作用や、膵酵素分泌促進作用があります。
【ポイント】
- 1. 十二指腸S細胞からはセクレチン
- 2. 十二指腸K細胞からはGIP(インクレチン)
- 3. 十二指腸I細胞からはコレシストキニン
食物の流れから見た消化管ホルモンの分泌機序
①胃に食物が入るとガストリンや胃酸の分泌が促進され、胃の運動を促進する。
②十二指腸まで食物が流れてくると、胃の運動を抑制することと、消化を促進する必要があるため、セクレチン・インクレチン・コレシストキニンの分泌が促進される。
③セクレチンとインクレチンにより、胃の運動を抑制され、セクレチンとコレシストキニンにより、膵酵素や胆汁の分泌を促進される。
消化酵素と吸収については、以下の記事を参照ください。
覚えるべきポイントのまとめ
【胃への食物の流入】
- ①G細胞からはガストリン
②壁細胞からは胃酸(内因子も分泌:ビタミンB12の吸収を促進する)
③主細胞からはペプシノーゲン
※補足①:副細胞からは粘液が分泌され、胃の保護をする作用があります。
【十二指腸への食物の流入】
- ①十二指腸S細胞からはセクレチン
- ②十二指腸K細胞からはGIP(インクレチン)
- ③十二指腸I細胞からはコレシストキニン
※補足②
ホルモンとは、下垂体や甲状腺など専門の器官から分泌され、血液にのって標的となる細胞に作用して、その働きを促進したり抑制したりします。
それが消化管からも分泌されており、それらを総称して消化管ホルモンと呼んでいます。
消化管ホルモンは、ガストリン・セクレチン・コレシストキニン・インクレチンなどになります。
他のホルモンと同様に覚えておきましょう。