こんにちは、講師のサキです。
今回は、【免疫学】Ⅰ型アレルギーとIgEについて 〜マスト細胞とは?〜です。
マスト細胞は肥満細胞とも呼ばれます。
即時型アレルギーであるⅠ型アレルギーの際によく耳にする名称ですが、実際のところ何なのかよく分からない物質かと思います。
貪食能を有する好中球やマクロファージ、樹状細胞などとの違いを知り、簡潔に覚えておきましょう。
マスト細胞(肥満細胞)とは
別名、肥満細胞と呼ばれますが、肥満とは関係無いようです。
見た目がふくよかなため、肥満な細胞ということで、肥満細胞と呼ばれているようです。
(ヒスタミンなど多数の化学物質が含まれているため、大きな細胞となっています)
次に、何に分類されるかというと、白血球の一種になります。
発現の方法は不明な部分も多いようなので、とりあえず白血球の一種で、免疫応答に関わっている物質と覚えておいてください。
マスト細胞の役割とアレルギー反応の機序
マスト細胞は、全身に広く分布していますが、特に皮膚や皮下組織に多いです。
マスト細胞の表面には、IgE抗体が付着しており、細胞内にはヒスタミンなどの物質を蓄えています。
マスト細胞の表面にあるIgE抗体に、アレルゲンなどの抗原と反応するとヒスタミンなどの化学伝達物質を放出します。
この化学伝達物質により、血管透過性が亢進し、血流増加や炎症細胞遊走など炎症反応が引き起こされます。
この結果、身体症状として、アレルギー反応が出現します。
(花粉が鼻粘膜に付着すると花粉症の症状が出現する)
マスト細胞はアレルギーを引き起こす不要な物質なのか
マスト細胞はアレルギー反応を引き起こす不要な物質ととれそうですが、寄生虫感染防御や細菌感染防御にも重要な役割を担っています。
しかし、寄生虫感染が少なくなった現代では、どちらかというとアレルギーを引き起こす原因物質という認識でもあるようです。
類似した物質に、好塩基球というのも存在します。
厳密に言うと違う物質のようですが、一昔前は同じ物質と考えられていたくらい似た物質なので、試験レベルでは同じ物質と捉えていても問題無いかと思います。
好塩基球もマスト細胞と同様に、表面にIgE抗体を有し、抗原と反応することでヒスタミンを放出します。
マスト細胞(と好塩基球)のまとめ
マスト細胞は、細胞内にヒスタミンなどの化学伝達物質を蓄えたふくよかな細胞。
マスト細胞の表面には、IgE抗体が存在し、アレルゲンなどの物質がIgE抗体と反応すると、細胞内のヒスタミンが放出される。
放出されたヒスタミンが、細胞周囲の血管透過性を亢進させ、炎症反応が起こり、アレルギー症状が出現する。
問題形式としては、Ⅰ型アレルギーに関与するの物質は?
IgE、マスト細胞(肥満細胞)、好塩基球、などが正解の選択肢となります。
補足
好中球やマクロファージ、樹状細胞などはいづれも血液中の白血球の一種です。
これらはすべて貪食能(異物を食べて取り込む)を持ちます。
特に、マクロファージや樹状細胞はT細胞に抗原提示を行う細胞でもあるため、重要な物質になります。
マスト細胞も同じように免疫応答に働きますが、異物を貪食するのではなく、アレルゲン(抗原)に抗体が反応し、ヒスタミンを放出して免疫応答をする物質ということになります。
体内で起こる反応なので、イメージするのが難しいですが、それぞれの役割を簡単にでも覚えることが大切になります。