訪問看護をする時、医療保険か介護保険どちらかが適応されているみたいですが、どういう基準で決められているのでしょうか?
訪問看護制度は難しいですが、基本的な決まりを押さえておくことが大事です。
訪問看護の制度は、医療保険制度と介護保険制度において定められています。
医療保険と介護保険による訪問看護の違い
医療保険 | 介護保険 | |
根拠法 | 健康保険法、国民健康保険法等 | 介護保険法 |
対象者 | 疾病等により継続して療養を受ける必要がある者で、居宅での訪問看護が必要と主治医が認めたもの(介護保険の要介護認定の非該当者も含む) | 要介護、要支援の認定を受け、主治医が訪問看護の必要性を認めた者 |
対象年齢 | 全年齢 | 40歳以上(原則65歳以上) |
訪問看護指示書 | どちらの場合も医師の指示書は必要 | |
訪問看護計画 | どちらの場合も訪問看護師が立案。
ただし、介護保険ではケアプランに則り計画を立案する。 |
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回数 | 原則:週3日まで
例外:「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要な者等については週4日以上の訪問が可能。 |
必要性に基づきケアプランによって決められる |
自己負担 | 原則:3割負担
例外:年齢や収入によっては1割負担もしくは2割負担 |
原則:1割負担
例外:収入によっては2割負担もしくは3割負担 |
提供主体 | 訪問看護ステーション、病院、診療所などの訪問看護事業所 |
要介護・要支援認定を受けている者は、原則として医療保険よりも介護保険が優先されます。
ただし、「厚生労働大臣が定める疾病等」や認知症以外の精神疾患の療養者、急性憎悪などにより特別訪問看護指示書の交付があった場合は、医療保険の対象となります。
介護保険で訪問看護を利用する場合
介護保険では、支給限度額の範囲内であれば訪問回数に制限がなく、複数の訪問看護ステーションを利用できる。
介護保険では、利用者の同意のもとで作成される介護サービス計画(ケアプラン)により訪問回数が決まります。
ケアプランの作成は、要介護者に対しては介護支援専門員(ケアマネジャー)、要支援者に対しては地域包括支援センターの保健師などが中心となって行います。
滞在時間により介護報酬が異なり、原則として、30分単位で報酬が決められています。
医療保険で訪問看護を行う場合
医療保険では、原則として訪問を週3日までとされています。
そのうえで、「厚生労働大臣が定める疾病等」などの療養者や指定された医療処置・管理が必要な者、症状の急激な増悪などで主治医より特別訪問看護指示書が交付された場合、週4日以上の訪問可能になります。
医療保険で訪問看護を行う場合、原則3割負担となるため、負担が大きいですが、介護保険非該当者でも利用できます。
細かい部分を考えだすと混乱してきますので、表に示しているような代表的な両者の違いを明確に覚えておくようにすると良いかと思います。