こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、ビタミンの種類と機能・ビタミンが欠乏した場合の症状について、解説します。

 

ビタミン〇欠乏になるとどのような症状が出るか、といった問題は国家試験に頻出です。

 

ビタミンの機能を理解し、ビタミンが欠乏した時の症状が分かるようにしていきましょう。

 

そもそもビタミンって何?

 

ビタミンとは、人体の機能を正常に保つため必要な有機化合物になります。

 

三大栄養素に比べると微量ではあるものの、体内ではほとんど合成することができないため、食物から摂取する必要があります。

 

三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)に加え、ビタミン、ミネラルで五大栄養素と呼ばれます。

 

(ミネラルは無機質と呼ばれ、ナトリウム、カルシウム、鉄などがあります)

 

車で例えると、三大栄養素はガソリンで、ビタミンやミネラルはオイル(潤滑油)の役割と例えられます。

 

(車はガソリンがあれば走ることができますが、車の状態を維持するためにはオイルが不可欠なためです。)

 

 

ビタミンの種類

 

現在発見されているビタミンは13種類ほどあります。

 

その中でも、油に溶けやすい脂溶性ビタミンと水に溶けやすい水溶性ビタミンに分けられます。

 

脂溶性ビタミンはD,A,K,Eの4種類だけです。

 

水溶性ビタミンはB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、Cの9種類程度です。

 

 

水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの特徴

 

水溶性のビタミンは水に溶けるため過剰に摂取したとしても、余分な量は尿として排出されます。

 

一方、脂溶性ビタミンは水に溶けないため尿として排出されることがなく、体内では脂肪組織や肝臓等に貯蔵され、毎日少しずつ生体で消費されます。

 

水溶性ビタミンに比べると脂溶性ビタミンの方が蓄積されやすいため、過剰摂取には注意が必要です。

 

脂溶性ビタミンはこれだけ(DAKE)

 

脂溶性ビタミンはDAKEの4種類だけです。

 

 

一つ一つの役割と不足した時の症状を見ていきます。

 

ビタミンD

 

【役割】

カルシウムとリンの吸収を促進し、骨を丈夫にします

 

【不足】

骨軟化症、くる病(小児の骨軟化症)

 

ビタミンDが不足すると、カルシウムを十分に吸収できず、骨軟化症や骨粗鬆症、くる病などになるリスクがあります。

 

ビタミンA

 

【役割】

視細胞での光刺激反応に関与するロドプシンという物質の合成に必要なため、薄暗いところで視力を保ったり、目や皮膚の粘膜を健康に保つ役割があります。

 

【不足】

夜盲症、眼球乾燥

 

ビタミンK

 

【役割】

ビタミンKは血液凝固因子であり、肝臓でのプロトロンビンの生成に必要です。

 

【不足】

血液凝固因子が不足し、出血傾向となる。

 

ビタミンE

 

【役割】

血中のLDLコレステロールの酸化を抑制する、赤血球の破壊を防ぐなどの作用があります。

 

【不足】

赤血球が多く破壊されるため、溶血性貧血となるリスクがある。その他、皮膚炎、血行障害などがある。

 

水溶性ビタミン

 

水溶性ビタミンは、ビタミンB1, B2, B6,B12, C、葉酸、ナイアシン あたりは押さえておきたい内容になります。

 

特に、ビタミンB1, B12, 葉酸、ビタミンCは優先的に覚えておきましょう。

 

 

ビタミンB1

 

【役割】

ビタミンB1はエネルギー産生に必要(ピルビン酸からアセチルCoAへ変換する)。

 

エネルギー代謝に関する記事はこちらからどうぞ。

 

 

【不足】

脚気(足の浮腫、しびれ、動悸など)、ウェルニッケ・コルサコフ症候群(中枢神経が侵される障害)。

 

【補足説明】

ブドウ糖から十分にエネルギーを産生できなくなるため、食欲不振、疲労、だるさなどの症状が現れる。

 

特に脳へのエネルギーが不足すると、脳や神経にも障害を起こすため、ウェルニッケ脳症などが起こる。

 

ビタミンB12

 

【役割】

赤血球の生成を助ける(巨赤芽球性→赤血球に変換に必要なビタミン)

 

【不足】

未熟な赤血球である、巨赤芽球が増加するため、巨赤芽球性貧血となります。

 

【補足】

ビタミンB12の吸収には、胃の壁細胞から分泌される内因子が必要となります。

 

しかし、胃がんなどで胃の切除術をした場合、胃の内因子が欠乏するため、ビタミンB12を吸収することができず、結果として巨赤芽球性貧血となることがあります。

 

そのため、胃切除術後の患者に起こりやすい病態に巨赤芽球性貧血があることを覚えておきましょう。

 

葉酸

 

【役割】

赤血球の生成と核酸の生成

 

【不足】

ビタミンB12と同様、巨赤芽球貧血になります。また、二分脊椎の原因となるため、妊娠初期に葉酸を摂取することが推奨されています。

 

【補足】

葉酸は、ビタミンB群の一種で、ビタミンB9やビタミンMとも呼ばれます。ほうれん草から発見されたので、葉酸と名付けられました。

 

ビタミンC

 

【役割】

コラーゲンの生合成

 

【不足】

壊血病

 

【補足説明】

 

コラーゲンは皮膚や血管などを作っている主要なタンパク質になります。このコラーゲンを作るのに必要なのがビタミンCです。

 

体の中で、ビタミンCが無くなると、血管や皮膚の張りがなくなり、全身のあらゆるところから出血しやすくなります。

 

その他水溶性ビタミン①ビタミンB2、B6

 

市販のビタミン剤に多く含まれる成分で、皮膚炎や口内炎の予防や治療に役立ちます。

 

不足すると、皮膚炎や口内炎のリスクがあります。

 

その他水溶性ビタミン②ナイアシン

 

ナイアシンはビタミンB群の一種で、ビタミンB3とも呼ばれます。

 

様々な酵素の補酵素として働き、摂取不足になるとペラグラになります。

 

ペラグラの主症状は、皮膚炎や下痢、認知機能低下などになります。

 

ビタミンのまとめ

 

・ビタミンは身体の機能を整える潤滑剤のような役割

 

・脂溶性ビタミンはビタミンD, A, K, E

 

・水溶性ビタミンはビタミンB1, B12, 葉酸, ビタミンC(+ビタミンB2, B6, ナイアシン)。

 

ビタミンが欠乏した場合に起こる症状を、各ビタミンの役割から導き出せるように覚えていきましょう。

 

 

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