こんにちは、講師のサキです。

 

今回は、テタニーについてです。

 

低カルシウム血症の時にテタニーになるというのは頻出問題なので、割と覚えているという方も多いのではないでしょうか。

 

ただ、テタニー=低カルシウムとだけ覚えていると、時折応用不足になることがありますので、もう少し深くテタニーについて解説していきたいと思います。

 

テタニーとは

 

テタニーとは、血液中のカルシウム濃度が低下して、末梢神経の興奮性が高まり、筋肉の持続的な硬直をきたすものです。

 

症状としては、口の周りや手足のしびれ、トルソー徴候やクボステック徴候などがあります。

 

手足のしびれ、低カルシウムというワードがきたら、テタニーとすぐに回答に結び付けられることが確かにまずは大事です。

 

ただそれだけでなく、原因などを理解しておくことも重要です。

 

テタニー(低カルシウム血症)の原因となる疾患

 

以下の2つが有名なので、覚えておきましょう。

 

副甲状腺機能低下症

 

副甲状腺ホルモンはパラソルモン(PTH)です。

 

パラソルモンは血中カルシウム濃度を上げる機能があります。

 

副甲状腺の機能が低下し、パラソルモンが減少すると、血中カルシウム濃度を上げることができず、低カルシウム血症になります。

 

補足:パラソルモンが血中カルシウム濃度を上げる機序

 

パラソルモンは破骨細胞の働きを強め、骨吸収を促進することで、血中カルシウムの濃度を上げています。

 

逆は甲状腺ホルモンのカルシトニンで、破骨細胞の働きを弱め、骨吸収を減弱させます。

 

パラソルモンとカルシトニンの関係はしっかりと覚えておいてください。

 

呼吸性アルカローシス(=過呼吸症候群)

 

酸塩基平衡で頻出のアルカローシスも原因の一つになります。

 

血中カルシウム濃度は血液のpHによって左右され、血液がアルカリ性に傾く(アルカローシスになる)と低カルシウム血症を引き起こします。

 

何故、アルカローシスが低カルシウム血症を引き起こすのか

 

血中のカルシウムイオンは血漿蛋白アルブミンと結合する性質を持ちます。

 

体がアルカローシスの状態にある時、アルブミンは負の荷電となり、カルシウムイオンは正の荷電(Ca2+)となりますので、血中のカルシウムイオンが、アルブミンと結合してしまい、血中のカルシウムイオンが減少してしまいます。

 

結果、低カルシウム血症となります。

 

その他(カルシウムの摂取不足、ビタミンD不足)

 

前提として、カルシウム摂取不足の場合も低カルシウム血症となります。

 

また、カルシウムを摂取したとしても、カルシウムが吸収されない場合もあります。

 

カルシウムの吸収障害の一因には、ビタミンDの摂取不足があります。

 

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、ビタミンDが不足してしまうとカルシウムの吸収が阻害されるため、くる病や骨軟化症になります。

 

ビタミンの摂取不足による障害なども頻出なので、しっかりと覚えておきましょう。

 

まとめ

 

・テタニーの症状とは、手足のしびれ、トルソー徴候やクボステック徴候などがある

 

・テタニーを引き起こす原因疾患は、副甲状腺機能低下症やアルカローシスなど、低カルシウム血症となるものである

 

酸塩基平衡、アシドーシスとアルカローシスに関してはこちらの記事にまとめています。

 

 

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