こんにちは、講師のサキです。
今回は、基礎看護分野で難解の分野、消毒と滅菌について、です。
滅菌と消毒の違い、滅菌と消毒により死滅する微生物の差などを解説していきます。
滅菌と消毒の違い
滅菌:芽胞を含むすべての微生物を死滅させる処理方法のこと。
消毒:生存する微生物の数を減らすために用いられる処理方法のこと。
(※芽胞は、細菌内でつくられ、耐久性の高い物質であり、消毒薬に対する抵抗性が強い。)
滅菌は、その芽胞をも死滅させる強い方法であることをまずは覚えておいてください。
滅菌法の種類
種類が多く、全てを細かく覚えるのは難しいので、ポイントを絞って覚えることが大切になります。
国家試験に出題されたことのある、加熱滅菌法の2種、ガス滅菌法の2種に絞って解説します。
加熱滅菌法①:高圧蒸気滅菌法【オートクレーブ】
安全、確実、短時間で滅菌ができ、コストも低いため、最も推奨されている滅菌法です。
基本的にはオートクレーブで全ての器材を滅菌したいところなのですが、熱や湿度に弱い器材は適用外になってしまいます。
適用器材は、金属、リネン類、ガラス製品、シリコン類など、耐熱・耐水性の器材になります。
加熱滅菌法②:乾熱滅菌法
加熱滅菌法になりますが、オートクレーブと比較すると、時間がかかるため、高温による変形などのリスクがあります。
適用器材は、オートクレーブとほぼ同じです。
一点メリットを挙げるとすると、水を使用しないため、耐水性のないものでも活用でき、錆びにくいということがあります。
ガス滅菌法①:エチレンオキサイドガス滅菌法【EOG滅菌器】
オートクレーブができないような熱や湿度に弱い器材を滅菌することが可能です。
ただ、有害ガスを用いること、コストが高いこと、滅菌に時間がかかることから、第一選択とはなりません。
また、すぐには使用できず、有害ガスを抜くためのエアレーション(空気の入れ替え)をする必要があることもデメリットです。
適用器材は、プラスチック製品、ゴム製品、紙、ラテックス製品、などの熱や湿度に弱い器材になります。
ガス滅菌法②:過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法
EOG滅菌器と同様、熱や湿度に弱い器材を滅菌することが可能です。
②と違う点は、短時間で滅菌ででき、有害ガスも用いないので、すぐに使用できることですが、コストが高いのが難点です。
また、滅菌の過程で減圧するので、減圧に耐えられないものも適応外です。
適用器材は、②と同様の器材に加え、光学機器、電子機器なども可能です。
その他:煮沸消毒法
消毒法になりますが、煮沸消毒法というものもあります。
オートクレープなどの滅菌法では、変質するおそれのあるものに用いられる消毒法です。
適用器材は、ガラス製品や金属、ゴム製品などです。
消毒薬
消毒薬は強い順に並べて解説します。
①グルタラール、次亜塩素酸ナトリウム
芽胞を含む、すべての微生物を消毒することができます。
グルタラールは、人体に強い有害作用があります。
次亜塩素酸ナトリウムは、金属に腐食性あります。
②ポピドンヨード、エタノール
芽胞以外の細菌、ウイルスを消毒することができます。
※エタノールはノロウイルスには無効であるため、ノロウイルスに対しての消毒は次亜塩素酸ナトリウムを用います。
③オスバン、ヒビテン
一般細菌に対してのみ効果を発揮する低水準の消毒薬です。
粘膜や創傷の消毒にも用いることが可能です。
滅菌法と消毒法の問題
第106回国家試験 午前21
オートクレーブによる滅菌法はどれか
1.乾熱滅菌
2.プラズマ滅菌
3.高圧蒸気滅菌
4.酸化エチレンガス滅菌
解答:3
まとめ
滅菌法は、オートクレープ=高圧蒸気滅菌が最も用いられている。
EOG滅菌などのガス滅菌は、オートクレーブの適応外となる、耐熱・耐水性のないものを滅菌する。
消毒薬は芽胞まで適応となるか、芽胞は適応外か、粘膜まで使用できるものか、強度の差を重点的に覚える。