こんにちは、講師のサキです。

 

今回は白血病の種類とそれぞれの特徴について、簡単に解説します。

 

白血病と一言で言っても、種類と特徴を掴むのが難しいので、理解するための手がかりになればと思います。

 

白血病とは

 

白血病は、血液のがんと言われています。

 

血液の造血幹細胞が骨髄の中でつくられる過程でがん化することで、白血病となります。

 

白血病の分類は、がん化した細胞がどの細胞なのか、によって決定されます。

 

血液の細胞ががん化し、血液が正常な働きができないため、主症状は貧血、出血傾向、易感染などになります。

 

そのため、白血病の患者さんは感染に注意しなければならず、部屋は無菌室・陽圧室にいるなどの問題も出題されます。

 

では、細かく見ていきます。

 

白血病の種類

 

『急性』か『慢性』、『骨髄性』か「リンパ性』の組み合わせで、大きくは4つに分類されます。

 

①急性骨髄性白血病

②急性リンパ性白血病

③慢性骨髄性白血病

④慢性リンパ性白血病

 

理由は以下のように、どの細胞が増殖するかで分類されます。

 

◉場所で分類すると、骨髄性リンパ性に分類される

 

骨髄性とリンパ性の違いは、がん化して増える細胞が、骨髄性由来のものか、リンパ性由来のものかで判別ができます。

 

※骨髄性とは、骨髄系肝細胞が好中球や赤血球、血小板など分化する過程。

 

※リンパ性とは、Bリンパ球やTリンパ球に分化する過程。

 

◉白血球の成熟度で分類すると、急性慢性に分類される

 

急性は成熟していない幼若な白血球が増加しますが、慢性は未熟なものから成熟したものまですべての白血球が増加します。

 

他の疾患は、急性が長引くと慢性となることがありますが、急性白血病と慢性白血病は意味合いが違うことも特徴です。

 

 

1.急性白血病(①急性骨髄性白血病・②急性リンパ性白血病)

 

①急性骨髄性白血病と②急性リンパ性白血病を合わせて、急性白血病とひとくくりにされて、看護の問題ではよく出題されます。

 

どちらも『急性』なので、幼若な白血球が著しく増加している状態で、成熟した細胞が減少してしまっています。

 

そのため、造血の3系統(赤血球・白血球・血小板)が減少しているため、

 

貧血や易感染、出血傾向などの汎血球減少の症状がみられます。

 

その他、骨髄や各臓器への白血病細胞の湿潤により、胸骨叩打痛、骨の自発痛、リンパ節腫脹、皮膚浸潤などの症状もあります。

 

骨髄性白血病とリンパ性白血病の違いを問われる問題としては、発生率の差があります。

 

◉成人では、骨髄性:リンパ性=4:1と骨髄性の方が頻度が高い

 

◉小児では、骨髄性:リンパ性=1:4とリンパ性の方が頻度が高い

 

小児看護の問題でも出題されるため、急性白血病の特徴はしっかりと理解しておきましょう。

 

急性白血病の治療と看護

 

抗がん剤投与により白血病細胞を崩壊させる、抗がん剤の効果が乏しい場合は造血幹細胞移植などがあります。

 

抗がん剤投与による白血病細胞の崩壊により、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症などの腫瘍崩壊症候群を起こす可能性があります。

 

そのため、急性腎障害や不整脈などのリスクがあると考えて、観察が必要です。

 

白血病の病態や治療を理解することも大事ですが、その病態や治療の副作用を理解した上でどのような看護(観察)をしていくことが必要かを理解しておきましょう。

 

寛解の目安は、骨髄穿刺で芽球が5%以下となります。

 

(白血病の急性期は芽球20%以上で、白血病裂孔がみられる)

 

③慢性骨髄性白血病

 

『慢性』なので、幼若なものから成熟したものまで、様々な白血球細胞が増殖します。

 

慢性骨髄性白血病の特徴は、染色体異常(フィラデルフィア染色体)が見られ、成人に多く発症します。

 

初期は無症状であり、脾腫などの左上腹部膨満感がみられる程度ですが、急激に悪化する(急性転化を起こす)と、急性白血病同様に、貧血・出血傾向・易感染の状態を示します。

 

④慢性リンパ性白血病(悪性リンパ腫)

 

『慢性』のリンパ性白血病なので、幼若なものから成熟したものまで、様々なリンパ球の腫瘍性細胞があります。

 

リンパ球はリンパ組織に存在しているため、初期はリンパ節の腫脹がみられます。

 

リンパ節の腫大が進むと、圧迫により、上下肢の浮腫などがみられます。

 

リンパ球は血流にのって流れるため、あらゆる臓器に病変が出現する可能性もあり、リンパ節の腫れも様々な部位に起こります。

 

症状も様々ですが、原因不明の発熱、大量の寝汗、体重減少などが見られます。

 

慢性リンパ性白血病は日本では稀なためか、同型の悪性リンパ腫の問題がよく出題されまています。

 

悪性リンパ腫の特徴

 

悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫に分類されます。

 

ホジキンリンパ腫はホジキン細胞やRS細胞などの大型細胞がみられます。

 

一方、非ホジキンリンパ腫は上記の大型細胞を認めないのが特徴で、日本人は非ホジキンリンパ腫が90%以上を占めています。

 

がん化しているリンパ腫の種類によって、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫に分類されます。

 

慢性リンパ性白血病は、B細胞リンパ球が増殖し、リンパ節腫脹や肝脾腫を認めます。

 

成人T細胞白血病T細胞リンパ腫の一種で、レトロウイルス(HTLV-1)がT細胞に感染し、腫瘍化することが原因です。症状は易感染など。

 

 

多発性骨髄腫

 

多発性骨髄腫は、B細胞の分化先の形質細胞に異常を認め、腫瘍性の形質細胞が増殖します。

 

症状は、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変や、異常な免疫グロブリンを産生するために、易感染状態にもなります。

 

まとめ

 

白血病は、血液細胞が分化する過程でがん化した病気で、血液細胞がどの細胞かによって分類される。

 

血液細胞が正常な働きをできないため、主症状は易感染・貧血・出血傾向である。

 

細胞の種類によって、骨髄性かリンパ性か、急性か慢性かが分類される。

 

急性白血病(骨髄性・リンパ性をまとめ)が頻出で、幼若な白血球(芽球)が増加することにより、易感染、貧血、出血傾向を認める。

 

慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体を認める。

 

慢性リンパ性白血病では、ホジキンリンパ腫や非ホジキンリンパ腫などに分類され、それぞれに特徴などがある。

 

白血病に細かく分類はありますが、原則は血液のがんになり、造血能に異常をきたすため、症状は類似しています。

 

それぞれの疾患に特有な症状などは、個別に覚えるようにしましょう。

 

 

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