こんにちは、講師のサキです。
今回はタンパク質の合成のメカニズムについて、まとめていきます。
解剖生理学を学ぶ時に、最初に登場し、最後までよく分からないという学生が多い範囲です。
そもそも論から簡単に解説していきたいと思います。
なぜタンパク質の合成が出題されるのか?
三大栄養素には、糖質や脂質もあるのに、タンパク質だけがなぜここまで取り上げられるのか。
それは、身体を構成する成分の20%程度はタンパク質で構成されており、身体は日々タンパク質を合成し続けなければならないからです。
今でも身体の各細胞はタンパク質を合成し続けており、そのタンパク質はどのように合成されているのか、理解することが重要であるため、解剖生理の基礎問題となっている訳です。
では、タンパク質の合成方法を一つずつ見ていきます。
DNAにはタンパク質合成のための設計図が保存されている
DNA=遺伝子、と用語から判断してしまいがちです。
もちろんDNAには遺伝情報なども含みますが、DNAには身体に必要なタンパク質の設計図も保存されています。
身体がタンパク質を合成するためには、DNAの設計図が必要になります。
DNAは核の中に保管されている
DNAは細胞の核の中に保管されています。
タンパク質の合成は細胞質にあるリボソームで行われるため、DNAを核の外のリボソームへ持ち出す必要があります。
核外へ持ち出すために複写する=転写
しかし、DNAは機密文書のようなものなので、核の外へ持ち出すことができません。
そこで、核内でDNAの情報を(RNAポリメラーゼが)写し取り、mRNAを作成します。
このDNAを写し取り、mRNAという複製品を作成することを転写と呼びます。
リボソームでタンパク質を合成する
mRNAは核膜孔という核の穴を通り抜け、細胞質内にあるリボソームへ行きます。
転写されたmRNAの情報をリボソームは解読し、タンパク質を合成します。
このリボソームがmRNAの情報を解読し、タンパク質を合成することを翻訳と呼びます。
リボソームでのタンパク質合成の方法
リボソームはmRNAの情報を以下のように解読していきます。
①mRNAにある塩基配列、3つの塩基配列を1つのコドンとして認識します。
②コドンに応じたアミノ酸を、tRNAがリボソームへ運搬します。
③リボソームはtRNAが運搬したアミノ酸をつなげ、タンパク質を合成します。
補足:塩基の種類
塩基は4種類あり、A:アデニン、T:チミン、G:グアニン、C:シトシン。
RNAはT:チミンの代わりに、U:ウラシルとなります。
二重らせん構造となっている時、アデニンはチミンと、グアニンはシトシンと結合し、塩基対を形成しています(相補的塩基対)。
まとめ
タンパク質は身体に重要な物質であり、身体にとってタンパク質合成は非常に大事である。
タンパク質合成のための設計図は核のDNAに保存されている。
核外にあるリボソームに情報を伝達するためにDNA情報を転写してmRNAを作成する。
リボソームはmRNAの情報を翻訳し、タンパク質を合成する